
センスを磨くためにいいものを見る。「どう」見るかがポイント
そもそも「センス」ってなんなんだ?
まずは言葉の意味を調べてみる。コトバンク掲載「精選版 日本国語大辞典」の解説一部抜粋がこちら。
人それぞれの内面にある感覚的なもので、感じ方、理解の仕方、あるいは表現の仕方に現われ出るもの。特に、ちょっとした行為や微妙な事柄についていう。「センスのある服装」「音楽的センス」など。
つまり、感性が鋭い、勘がいい、みたいな感じかな。
んじゃ感性って?こんどはWikipediから解説抜粋。
感性は、人間の持つ知覚的な能力のひとつである。美や善などの評価判断に関する印象の内包的な意味を知覚する能力と言える。これは非言語的、無意識的、直感的なものであり(中略)情報統合的にくだす印象評価判断能力。
まとめて噛み砕くと、直感的な判断やチョイスの積み重ねが「センス」なのかもしれませんね。
最初からセンスの良い人はいるのでしょうか?もちろんゼロではないでしょう。でも、センスがいいね!という評価は周りのみんながするもの。つまりは多数の人が心地いいものをチョイスしていて、さらにそこに印象に残るインパクトがあるというのが条件になりそうです。
センスを磨くには?
直感とはいえ、多数の人が心地いいと思う判断をするわけですから、まずベースにあるのは知識だと思うのです。その知識が積もり積もって、当たり前、無意識になった上に、いい意味で裏切るから「おっ!」ってなる。
例えばアメリカ雑貨屋さんでインテリアを見ていたとしましょう。クッションカバーを2枚買う。このお店に売っているものはすでに「アメリカ」がテーマですから、大枠で言うとどれを買ってもおかしな組み合わせにはなりません。なぜなら全く違う文化のもの、例えばベルベットにくるみボタン、フリルがついたクラシカルなもの(ヨーロピアンの代表例)はこのお店には売ってないから。でもセンスの良い人はキリム柄とカントリー柄の組み合わせはあまり選ばないでしょう。ここでアメリカの歴史とキリムについての知識が出てきます。どちらも開拓時代のアメリカを代表する柄ですが、キリムはインディアンの織物で、カントリー柄は開拓者側。つまり敵対していたそれぞれの文化ということになります。しかし選ぶ時に「これは遊牧民の…」なんてわざわざ考えない。この組み合わせはなんか違うな、となるわけです。これが知識に基づいた無意識となります。
でも、部屋全体をインディアンテイストで固めたら、落ち着くけどつまらないですよね。そこに、違和感にならない程度のいい意味の裏切り、ちょっと斜め上をいく感じ(?)の雑貨を選ぶことによって、部屋にインパクトが生まれる。「センスがいい部屋」として人の印象に残るのではないでしょうか。
一流を「こう」みる!
「センスが良くなりたければ、一流を見なさい」とよく言われます。じゃあどう見るのか?
1)まずはベースの知識部分の積み上げをしましょう。例えばファッション。一流ブランドのコレクションには必ずテーマがあります。当たり前ですが、そのテーマに沿ってデザインがなされています。例えばフォークロアなら、服全体にフォークロアに代表されるティップが盛り込まれています。共通項を探すことでフォークロアについての基礎知識を得ることができます。
2)フォークロアの意味や歴史とファッションをググりましょう。1)の答え合わせです。そして、検索して出てきた王道のフォークロアファッションと、コレクションの差異を探します。だいたいミックスされていることが多いです。フォークロアなのにスポーツ要素がミックスされているとか。(どんなコレクションだ???笑)それもちょっとの割合のはずです。例えばメッシュ素材が使われているとか。フォークロアの意味や歴史を知れば、普通はどんな素材を使っているのかが想像でき、素材の違いに気がつけるのです。そのミックス加減がまさにセンスですね。
センスの良い人は「普通となんか違う」わけです。つまりいい感じにハズしていることが重要なんですね。
などといいながら、自分のセンスのなさに凹む毎日… いくら調べても知識は無限大ですし「いい感じ」って何だよ?という質問に答えは出ず… そんななかで私が心がけているのがいいものの「質感」を感じること。とどのつまり、いいものがまとっている雰囲気は質感に宿っている気がするのです。まずはしまむらに売っているツイードとシャネルのツイード、生地の違いを観察してみてはいかがでしょうか?
美容師はヘアデザインでお客様の人生を変えるビジュアルプロデューサー!その源となるデザイン力アップに少しでも貢献できれば嬉しいです。