カードゲームオタクがApex Legendsの競技シーンについて考察する
1.まえがき…巨大タイトルに立ち向かう無職
どうも、イヌ科です。
ワタクシTwitterのフォロワーが4000人くらいいるんですけど、なにゆえかというとDMGP9thというデュエマのでかい大会で優勝したことが大きな要因です。
つまり僕のTwitterにはデュエマの攻略情報的なものが求められているのですが、自分からそういった情報を呟くことはほっとんどありません(カードゲームは情報のゲームなので、一緒に練習しているチームに迷惑がかかる)
それどころか最近はシャドバばっかやってたりeスポーツの記事なんて書き始めたもんだから、デュエマ目的のフォロワーがすごい勢いで逃げ出しています。逆に気持ちがいいです。
さて、今回の記事タイトルには○○事情ではなく考察と書いてあります。考察ということは、今回の記事はただの調べ学習に留まらず自分の考えを発信するということになります。
僕は記事を前から順番に書き始めるタイプなのでこの時点で自分の考えを衆目に晒すことが確定してしまいました。ああ胃が痛い。
そして何に対して物申すかって、タイトルにあるよう名実ともに現在日本で最も勢いのあるゲーム「Apex Legends」様に、です。胃が痛すぎる。
以下Apexと略します。Legends様、誠に申し訳ございません。
ということで今までカードゲームを競技的に取り組んできた目線から、現在のApex、そして日本のeスポーツに起きている現象についてまとめて、自分の考えを物申していきたいと思います。
2.日本のApex Legendsについて
最近は配信技研さんというデータまとめサイトがあり、最も視聴されたゲームタイトル、配信者の名前が月ごとにデータ化されています。助かる。
こちらを見ればお分かりの通り、現在日本で最も視聴されているゲームはApexです。2位のマイクラに2倍以上の大差をつけてぶっちぎり。
確認できる限りだと2020年4月は3位に甘んじていましたが、2020年5月以降は常に2位以下に2倍以上の大差をつけての1位。1年以上続けて日本で最も注目されているゲームとなっています。
……が、同様に競技シーンも盛り上がっているのかと言われると話が異なります。
こちらは2020年のデータになりますが、日本国内で開催されたゲームの競技的大会のライブ配信の合計視聴時間になります。
その中でApexは1億分以上のTier1ではなく、3000万分以上のTier2に分類されているのです。
同じバトロワ系シューティングであるPUBGや、FPSとしては後発組にあたるVALORANTがTier1に入っていることも考慮するとこの数字はゲームの勢いに対してあまりに不十分であるといえます。
この結果になった理由はいろいろ考えられるのですが、
・そもそも開催される大会が少なかった
・大会に対しての視聴者が少なかった
大雑把に言うとこの2つが要因であると考えられます。
そして今回は後者、「競技シーンの大会に対しての視聴者が少ない」という部分について注目しながら考察していきたいと思います。
3.カジュアル大会と競技的大会
ところで皆さん、Apexの大会をなんでもいいから1つ挙げてくれ……と言われたら答えることができますか?
実はこの質問、Apexに多少触れていたり、配信を見たりしている人なら間違いなく答えることができると思います。実際にApexに対する事前知識がそれくらいの僕でもいくつかは答えられます。
CRカップ、えぺまつり、VTuber最協決定戦。僕の乏しい事前知識でもこれくらいは話題に上がったのを見たことあるな~となっています。
これらの大会の主役はVTuberやプロゲーマーを含むストリーマー、いわゆる配信者。彼らが招待されることによって大会が成り立っています。
これらの大会は視聴者数もすさまじく、CRカップにおいては同接20万人とか行った~みたいな記述も拝見しました(ソース無)。
話は先ほどの配信技研のEsports Tiersに戻ります。
こちらで集計されていたのは、日本国内で開催されたゲームの競技的大会に限ります。
そして、先ほど挙げたCRカップのような大会。このような大会は配信技研において定められた競技的大会に含まれない、とページ内に記載されています。
以下配信技研より引用(所々中略、注釈有)。
今回算入した「日本国内で開催されたゲームの競技的大会」について、特に「競技」とは何かについて申し上げます。
ローカル規模であれ国際規模であれ、勝利を目指しゲーム内のスキルのみで優劣を競う大会のみを指しています。基本的には誰でも参加可能で且つゲームスキルで勝敗を決める大会は対象となります。
この法則で、例えば参加条件にフォロワー数や視聴者数を含めたものは算入していません。つまりは、参加条件として過去の競技に基づいていない invitational (注:招待)は算入しておりません。
例)「VTuber最協決定戦」はゲーム内レートに基づいていましたが、レシオ制であったことと、出場資格が VTuber であるという条件があることから、競技シーンの範囲ではないとみなし除外。
ここには議論の余地があると思いますが、もし VTuber やストリーマーの大会を算入する場合、対象はより広範囲まで見渡さなければならず、結果は「配信技研NEWS」 と類似したものになります。それですと esports として今回個別に区切って発表する意味がないと考え、特に狭義な枠で純粋な competition (注:競技)に基づいた統計を作成しました。あくまでそのゲームタイトルの「競技シーン」への興味を抜粋しています。改めて、ゲーム会社が「大会」や “esports” と銘打っていても(もしくはいなくとも)、弊研で「競技的な大会」を判別していることを申し上げます。
引用をざっくり要約すると、先ほど挙げた日本で圧倒的な人気を誇る招待制大会は競技的大会の枠に含まれないことになります。
本稿では、これらの大会を競技的大会と区別する目的でカジュアル大会と呼称することとします。
Apexにおいてこのようなカジュアル大会が多くの視聴者を稼いでいる一方で、2020年の競技的な大会においてはTier2に落ち込むほどに視聴者を稼ぐことは叶いませんでした。
これらが意味することは、視聴者のニーズはeスポーツとしてのApexよりもカジュアル大会が開かれる媒体としてのApexに傾いているということです。
4.プロゲーマーとストリーマー
ゲーム全体を通した話ですが、ゲームプレイによって生計を立てている人は大きく2種類。プロゲーマーとストリーマー(ライブ配信に重きを置いたVTuberなども含む)です。
多くのプロゲーマーはストリーマーとしての活動も行っています。
そして現在の日本においてプロゲーマーとストリーマー、どちらの方が視聴者数を稼いでいるのか。
これに関しては配信技研を見れば一目瞭然、ストリーマーの方が圧倒的に人気を博しています。(釈迦さんのように元々プロゲーマーとして活動していた方もちらほらいますが)
この現状、そして3章で語ったカジュアル大会の需要を見るにつき、Apexの視聴者層に競技シーンを求めている人はカジュアル、ストリーマー層のそれと比較すると圧倒的に少ないことがわかります。
5.疑問と考察
2~4章をまとめると、
・Apexは日本で最も勢いのあるゲームである
・が、国内競技シーンにおいては他タイトルに劣る
・Apexにおいて競技的大会よりもカジュアル大会のほうが需要が高い
・日本国内においてプロゲーマーよりもストリーマーの方が需要が高い
とすると、いくつか疑問が生まれてくるわけです。
・日本一のゲームにおいて、競技的大会よりもカジュアル大会の需要が高い
→競技シーンに投資するよりもカジュアルシーンに投資する方が効率的
→日本ではゲームの競技的側面で競い合う、eスポーツに投資する意義が薄いのでは?
・プロゲーマーよりもストリーマーのほうが価値が高い
→ゲームプレイで生計を立てようとするなら、ゲームと同時に配信でのトークスキル、つまりストリーマーとしての技術を磨いた方がより効率的
→純粋にゲームが上手くなることに対する付加価値が少ないのではないか?
そもそもこの疑問が生まれてくるの、何かおかしいと思いませんか?
海外ではゲームの純粋な強さが周りに評価されてプロへの道に繋がり、eスポーツが盛り上がり、視聴者もそれを期待している。
それに対して日本で起きている現象は、ゲームの純粋な強さよりもストリーマー同士の掛け合いであったりカジュアル大会に向けた取り組みに視聴者が需要を生み出している。
日本で1番勢いのあるゲーム、しかもeスポーツタイトルにおいてこれが起きている。
なんとなくなんですけど、このままだと日本のeスポーツ界やプロゲーマーはストリーマーやカジュアル層の人気に追いやられ、陽の目を見る未来がなくなってしまうと思っています。
6.原因
現在のApex界隈がこのような歪な構造になっているのは、視聴者側の行き過ぎたストリーマー需要と、競技シーンの需要の低さにあると考えています。
前者に関しては仕方のない現象だと思います。
ニコ生やVTuberの流行…これらを経た日本におけるストリーマー需要の高さは、もはや文化と言っても差し支えないレベル。これはこれで誇るべきことです。
であれば解決すべきは2つ目。より視聴者が競技シーンに需要を求め、身近に感じるためにはどうすればいいのでしょうか。
7.対策…強くなりたいと言えェ!!!!
僕も一応カードゲームの競技シーンに身を置いていた人間です。
いつ競技シーンの生配信や動画に需要が生まれるのか、ある程度把握しているつもりです。
それは「トップレベルの試合を見て、自分のプレイレベルを上げたいとき」。
つまりはプレイヤーの「強くなりたい」という気持ちから、競技シーンの生配信や動画に需要が発生するのです。
Apexをプレイしていない、できない人はストリーマーの配信に需要を置くのも仕方ないと思います。
でもApexをプレイしている人なら誰しも持っているはずです。今よりもっと上手く立ち回りたい、もっとエイムが上手くなりたい、もっと勝てるようになりたい。
その思いをより強く持つことで、競技シーンやプロゲーマーの配信、動画への興味が生まれてくるはずです。
ということでこの記事を読んで、Apexをやっている人は一度大きな大会の動画やプロゲーマーの生配信を見るのもいいのではないでしょうか。
自分とはかけ離れすぎて参考にならない……と思うかもしれませんが、立ち回りや細かい動き、エイムの練習法など参考になる部分は多々あるはずです。(でも僕自身がFPSプレイヤーではないので具体的なことを言えない)
また、カジュアル大会に参加しているプロゲーマーを応援する、という形から競技シーンに興味を持つのもいいですね。
そういう意味ではカジュアル層と競技の架け橋をカジュアル大会が担ってくれるかもしれません。
8.あとがき…Apexとデュエマって同じなのか!
実は今回の議題に近いこと、つまり競技シーンへの注目度を高めるためにどうすればいいのか……ということをデュエマやってたときにも考えてました。確かプロリーグやるよ~ってあたりからかな。
デュエマの絶対的インフルエンサーであるZweiLanceとかカーナベルに就職してガチまとめを立ち上げたF野くん、あとはけみくろ放送局のけみーさんもだいたい同じことを考えてると思うんですけど、
僕たち競技シーンでしのぎを削り合ってきた者同士、やっぱり後世に伝えていきたいのは競技シーンの面白さなんですよね。
目の前の大会で勝つためにあれこれ試行錯誤して、負けてめちゃくちゃ悔しがって、1戦1戦勝つごとにヒリヒリした感情と安堵感が混ざった変な感情になって。
どうしてもその場にいる人間の中で1番になりたがる、そういうゲームの楽しみ方をみんなに伝えていきたいんです。
でも実際みんなに伝わってるのはカジュアルな楽しみ方のデュエマな気がして……なんか違うんだよな~って思ってます。
今のZweiLanceの信奉され方なんてまさになんか違うって感じそのもの。お前らもっとZweiLanceを倒す気で来いよ、みたいな。
日本で1番盛り上がっているゲーム、Apexでも似たような現象が起きているのを見て、まあなんというか日本人の性質的に仕方ないのかな~って思っちゃったりもします。
でも負けたら悔しい、だから強くなりたいし、自分より上手いやつを見て感動する。
そういう原動力を持ってゲームの競技シーンに興味を持ってもらうユーザーがもっと増えてほしい。
そうでないと、日本のeスポーツはいつまで経っても注目されない……そんな気がしてなりません。
僕は視聴者視点での解決策しか見出せませんでしたが、実現可否を考えないのであれば最も優れた解決策は国内でCRカップレベルの注目度を持った競技的大会が開かれることだと思っています。
どんな大会かは想像もつきませんが、ストリーマー大国日本において競技シーンのトップ層が主役に躍り出る。
その日のために磨き上げてきた純粋なゲームの実力のみで競い合う。
思わずみんなが注目し、話題に挙げ、SNSや配信サイトのトレンドを搔っ攫ってしまう。
こんな大会が開かれてしまえば、今日までの歯がゆい現状を打破することだって簡単にできると思います。
まあeスポーツ業界の偉い人たちがとっくにこういう大会を開くために動いていることでしょう!ガハハ!
ということでしがない無職は筆を置くことといたします……。
さてと、拙者はえるえるの朝活Apexのアーカイブでも見てくるとしますかなw
それではみなさん、おつえるえる~w
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?