「あの人は信頼できるから」って?
「そういう時はちゃんと書類を作った方がいいですよ」
って言うと
「先生大丈夫。あの人は信頼できるから」
っていう返し。
「あの人は信頼できる」ってどういうこと?
その人はどんな場合であってもあなたに不利益を与えない人ってこと?
人間の関係性は永続的なものではありませんよね。
盛り上がって仲良くなった関係ほど早く終わったりしませんか?
しかも契約の場合、契約時の相手が変わっても関係が続くことの方が多い。
売られて持ち主が変わる
亡くなって相続人が引き継ぐ
会社の社長や担当者が変わる
それでも大丈夫ですか?
そもそも、契約書類は
トラブルのない良い関係を続けるためのもの
ちゃんとした書類があればそもそもトラブルにはならない。
文字というのは本当に偉大。
口で何となく話していたことが、文字として書き出してみると、思ってもみなかったことに気付くことはありませんか?結論すら変わってしまうことってないですか?
そして、文字にしたことを相手に見せると、自分が思っていたことと相手が思っていたことが同じということは稀です。
たいていは「あれ?そういうことだったの?」ってことになる。
来歴も置かれた環境も違う人と人の考えを合わせることってそんなに簡単ではない。
同じに見えて、じつは全然違う。
日本人は見た目や言葉が同じなので、相手も自分と同じだと誤解してしまいやすい気がする。
文字にして、それを見せて相手の考えを確認すると、お互いの認識にズレがないところから関係がスタートできる。
この作業をしないと、そもそもズレていたのにお互いズレに気づかないまま関係が始まることになる。
これは大きなリスク、トラブルのタネ。
あとで、「こういう話だった」「話が違う」「裏切られた」と言ってトラブルに発展する。
相手への好意が大きかった分だけ、憤りや不満が大きくなる。
むしろ、「ここは意見が一致してるんだけど、ここはちょっと違って。だけどまあそれはいいかなと思って」という関係の方が長続きしたりする。
「契約書」って聞くと「なんかめんどくさそう」って感じだけど、つまるところお互いの考えが確認できればそれでOK。
ノートの切れ端だってチラシの裏だって大丈夫。
法律的にどうかなんて最初から考えなくていい。
難しいことは考えずに、まずは目の前の紙に、「自分は相手とどういう関係を持ちたいのか」をありのまま書き出してみてはどうでしょう?
誰との関係?
あなたは何をして、相手は何をする関係?
いつまでの関係?
もしも状況が変わったら何か変えなければいけないことはある?
もしも終わりにしたくなっちゃったらどうやって終わらせる?
などなど。
それによって見えてくるものは、あなたが思っていたよりもずっと大きいはず。
いつか、「あの人とはずっといい関係でいたいからこういう書類を作りたいんです」って言ってくれる人が現れますように。