犬さんごはん 第七回「長芋のお浸し」
みんなー!!ごはんたべてるー?!?
私は今日、母上生誕65年祭のため寿司でした。
皆黙々と食べた。旨い。
さて、今回のアンケートの結果です。
何となく今回票数集まらないような気がしてたんですけど、RTしてくれた方がいてグンと伸びました。ありがとう善意の人!!!
いやー、中盤までカリカリ梅と長芋が同票だったので、まさかの二回連続決着投票を考えましたよね。
という訳で、今回は「長芋のお浸し」です。
ちまっとな。
お浸しとは言いますが、単なる短冊切りです。
鰹節と醤油でいただきます。
これ、実家の食卓にのぼるようになったのが比較的最近なんですよね。
民俗的に言うところの「三日とろろ」は毎正月に食べているんですが。
なに?「三日とろろ」を知らない?
特定の地域で、正月の三ヶ日にとろろで飯を食うことです。うちは元旦からなくなるまで続きます。
「おせちいらずじゃーん!」と思うかもしれませんが、ちゃんと煮しめと伊達巻とかまぼことかずのこと黒豆は用意する。
とろろの方はうちの実家の伝統で、「ごぼう、干し椎茸、昆布」でとった出汁を使用し、婆上が「一気に作らんともう体力がない」と七年も前に作ったオソマの匂いがする味噌を溶かして、これでとろろを伸ばす訳です。
すげー肥溜めの匂いがするけど何故かこの味噌でないととろろは美味しくないんだな……。
食べる時はぼだっご(塩鮭の辛いやつ、秋田弁)とさらしネギを加えてどんぶりで食べます。
で、まあ長芋はとろろ用に栽培してるんですね。
ある日父上がテレビに啓蒙されたらしく、それまでの食生活をちょっと変えたいと言い出した。
うちの父は私曰く「修行僧」なんですよ。
毎日たんぼの様子を見て、神様に感謝し、盆は必ず墓参り。
村一番の孝行息子と知られ、婆上は父のことを溺愛しています。
雨が降れば蔵の様子を見に行き、雪が降れば雪かきをしに行き、昼に母が付き合えないとなれば婆上と共に菓子パンやカップ麺を文句も言わずに食べる。足りなくても不平不満は言わない。
まあこれだけなら別に誰にも迷惑かけてないので好きにしてくれという感じなんですが、この人、食べるものにめちゃくちゃうるさいんです。昼飯の反動だと思います。
決まったものを食べて健康を得ようとするんですよ。
一例をご紹介しましょう。
朝:バナナ一本、カスピ海ヨーグルトスプーンで5杯、すりごまときなこを合わせたものスプーンで2杯、キャベツのお浸し、ほうれん草のお浸し、ひじき入り卵焼き、白米、味噌汁
夜:納豆、おかず(日替わりだけど肉以外)、白米、味噌汁
ぐあー!!!!
めんどくせぇ~~~~!!!!!!
毎日ですよ。
カスピ海ヨーグルトなんて自分で育てて15年も経つんですよ。
納豆なんか10年以上食ってんじゃないか。
よく毎日同じもの食べてて平気だなあ、と私なんかは感心してしまいますね。
毎日違う味を楽しみたい……。
しかしこれも父なりの健康法です。
いっつもピロリ菌引っ掛かってんのはご愛敬です。緑茶も飲んでんのになんでだ。
元々父、気に入ったものを連続で摂取する癖があります。
ゴールド○レンドなんて私が物心ついた時から飲んでますよ。違いもわからん割には。
で、テレビに啓蒙された父が、この食事を少し変えたいと。
具体的に言うと、「長芋のお浸しを食べたい」と。
よって、長年のルーティーンはやや変更になりました。
納豆は朝に繰り上げされ、長芋が夕飯にイン。
それがここ半年ほど続いております。
たまに私も夕飯に呼ばれるときに食べるんですが、私はこれにわさびを加えて食べます。めちゃくちゃ旨い。
母は今日も帰り道に「長芋買わなきゃ」と言っていました。
父が取り入れて以来、蔵のものは食べ尽くしてもはや購入しないと食べられないのです。
父よ、長芋代を母にやってくれ。
さて、長芋といえば「精がつく」という噂もありますね。
私が昔遠距離で付き合っていたひとが、訪ねていったら夕飯に長芋短冊切りを注文しました。
私はそれまで長芋を外で注文した経験がなく、「へー、お金出してまで食べたいものなんだ」というカルチャーショックと、「……どういうつもりなんだろうか」という疑惑で胸中がいっぱいになった小話で、今回はおしまいです。
父は今日の寿司にも長芋のお浸しをつけていました。
皆、自分のスタイルを貫き過ぎると嫌がられることもあるから気を付けろよ!!