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原産国にこだわる

日本にほとんどいない犬種に恋してしまって、自分で輸入するなら
(さらにブリーディングとかを考えているなら)
どんな僻地でも、地の果てでも
とりあえず原産国の犬を見に行き、本来の姿を知ることが大切。

というのが私の持論である。


世界にはたくさんの品種の犬がいる。
太古の昔から犬は人と暮らしてきたという。
狩りのお供、家畜や家を守るセキュリティアラーム、
残飯処理係、湯たんぽ代わりだったり、人の心の隙間を埋める犬などさまざま。
暮らしている土地、そこに住む人の風習の影響を受けてさまざまな純血種犬が生まれてきた。現代のような純血種の「血統書」による登録システムができたのは
いまから100年以上前のイギリスが最初であるとされている。
そうして品評会たるドッグショーが盛んになり、
各地で生まれた犬たちが世界中で犬好きに愛され輸出入されるようになる。


買える犬、飼える犬。

世代によるだろうが、ムツ○ロウさんの番組で世界を旅しつつ
犬を探しに行く番組を見ただろうか。原産国を訪ね、
その犬の本来の姿を見せてくれる番組は今思えば貴重だった。
図鑑をみたり、いまはネットでみたりしながら
お気に入りの犬種を探すことができる時代だ。

珍しい犬を手に入れるのは比較的容易になった。
中間業者もいるし、SNSで探してお金さえ積めば
売ってくれる繁殖者は世界中どこにでもいる。

ただ、憧れの犬と飼える犬は違う。
超大型犬はそれなりの広い家やそれを賄う経済力が必要だし、
トリミングが必要な犬種は定期的なペットサロン通いを欠かせない。
小型犬でもテリアのような活発な猟犬種として生まれた犬たちは
膝の上で犬を撫でていたいだけの家族には合わない。
極寒地の犬を暑すぎる場所で外で飼うのは福祉に反するし、そのまた逆もしかり。
犬が人や環境とミスマッチを起こすと、当然、不幸になる。
飼うこと即ち「犬の福祉」を満たすことでもある。
本来の性質に基づいて運動や作業をさせ、環境を整える。
できる能力を奪い常に大人しく無気力、やる気を失った犬は
多くの日本人にとって飼いやすいかもしれないが、
それは犬の福祉を満たしているだろうか?


原産国

その犬種が生まれた場所へ行くと、気候、草原や森、
はたまた砂漠といった環境面が自然と目に入るし実際に体感できる。
うまくアプローチできれば、地に根付いた使役犬が人とどういう仕事をしているかも見ることもできる。ボーダーコリーなど牧羊犬で人の声をしっかりと聞き指示を受けながら作業をこなす犬か、はたまたサイトハウンドのように自分の頭で考えながら狩猟行動するタイプなのか。
たとえば人と屋外で一日中仕事をしているように作られた犬種を
閉じ込め一人ぼっちで長時間留守番をさせて飼うのは
不幸以外のなにものでもないと私は思う。

近年は欧米でも犬を使った狩猟は残酷だと法律で禁止になったりして
原産国でも「仕事」を失っている犬がたくさんいる。
代々その犬種のブリーディングを続けてきたブリーダーたちは転換を迫られている。いっそ辞めるか、それとも気質を現代向きに変化させていくか。

使役犬猟犬から家庭犬として変化させていったとしても、
本来の性質を失わせないように様々な試みを行っている
ブリーダーや愛好家もいる。
猟犬であれば擬似狩猟体験が最適で、
擬似獲物を追いかけるルアーコーシング、
鼻を使ったノーズワークや、Barn huntなどの
犬の能力を活かしたドッグスポーツが生まれている。
擬似作業でも本来の姿を見せている時の
生き生きしたと姿の犬は本当に美しい。
そして犬の適応能力は素晴らしい。
工夫次第で犬の心身を満足させながら、ともに暮らすことができるはずだ。


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