転職実況中継 その6

オファーレターにサインした。

辞めたいなってずっと思ってた。
変えたいってずっと思ってた。

いざそれが現実になると、ぽっかり心に穴が空いたような気持ちになった。
半年後のイベントの親睦会とかでチームでランチをした。これから一緒に頑張りましょうって。正直言ってこのイベント関連の無数のコールはほとんど話を聞いていない。上の空。だからコールの内容の話になるとよくわかんないんだけど。みんな、ちょっとでもいいものにしようって、頑張ろうって、私の顔は引き攣っていたように見えたかな。これからよろしくお願いしますって、嘘なのに言ってる自分はサイコパスなのかな。

チームの上司に、7月パリ出張だよ、行きたい?行きたいよね!!って、興奮気味に言われても、お、、マストで行かなきゃなら行くよ、、パリか、、いいよねヨーロッパ、、みたいな濁した返事で。チームにインターンの子がやっと来るよ!人手足りてないからインターンフルタイムで欲しいくらい!!とこれまたテンション高めに報告され。そうだね、若者でもいいからほしいよね、と若干白目になりながら返事を振り絞る。

今日、月末金曜だからか、どうやら辞める前の同僚から今までお世話になりましたメールが来てたな。そして来週の金曜にも突然の部内招集。また誰か辞めるのかな。とか他人事だった今までだけれど、私もそのひとりになるのね。もうじき。

私ってなんて薄情者なんだろう、サイコパスなのかな、とか思ったり。というのも、去年の年末ごろには、私は今の上司に自分を見送らせない、的なことを言ってたのに。悲しませたくないって言ってたのに。それは達成できないや。なんだかんだずっと一緒に仕事してきて、上司だけど友達のような世話の焼ける姉のような不思議な存在で。彼女を傷つけることはしたくなかったのに。きっと私が辞めるって言ったらショックを受けると思う。私は彼女の初めての部下だから。部下が辞めたらそれはショックだよね。どうでもいい人はどうでもいいけど、どうでもよくない人を悲しませるなんて本当はしたくない。色々自分のできる限りで、私のことを考えてくれてたのも、守ろうとしてくれてきたのもよくわかってる。とても感謝してる。でも、これって、何か関係性を美化しているのかな。

もう一人、半年一緒に頑張ってきた新しい同僚。ニコイチ的に頑張れっていろんなプロジェクトを託されてきて、なんとか頑張ってきてたけど。ごめんなさい途中で居なくなることになっちゃって。これからのプロジェクトが多いから、私が抜ける負荷は全部その人に行くのはわかってるんだけど。ほんとにいい人だし仕事もきちんとするから、申し訳ないなって思っちゃう。一人じゃないから大丈夫な気がする、二人で頑張ろうねって言ってくれたのに。

でも月曜には言わなくちゃ。決めたんなら早く言わなくちゃ。
相変わらず精神的に休まらない週末を過ごして。

新しい会社の人やエージェントの人を見れば、おめでとうの陽の気があって、去る会社の方は少し煌めいて、でも燻んでいるように感じる。
ずっとずっと出たかったのにね。

たまには早く寝て心身ともに整えようと思う。じゃないときっと不必要な罪悪感とかに呑み込まれちゃいそう。
結局自分の人生のことだから、誰かのためとか、誰かを傷つけないように、というだけでは決断できない。

というか、決めたからこそ、余裕が少し滲み出してきて、エモーショナルな何かと反応したのかもしれない。これから1ヶ月、引き継ぎだとか、気まずいこといっぱいあるかもなのだから、立ち向かえる気力を養っておかないと。

いつもは平日でも自炊したり運動したりするけれど、最近仕事もずっと忙しくて、でも転職活動の云々もあり、流石に今日はもう何もできなくて、したくなくて、久々に一人で夜外食して、ふらっと歩いていつもと違う駅に行って。家に帰ろう、帰らなくちゃと思ってはいるのに体力的にも動く気力がなくて、心のどこかでは家にはまだ帰りたくなくて、駅のそばのベンチでうずくまって、ずっとホームから出たり入ったりする電車を眺めてた。なんで今こうなってんだろうって、謎な感慨に浸ってた。お酒のせいか。ただの不審者。

はー。これでいいのかなって。
これでよかったって思えるようにしていくのは自分だよ。
ね。


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