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メキシコに行った-その8

<メキシコシティ3日目>
怒涛の旅の日々も、ついに最終日。

のんびりとフリーダカーロの美術館の方へUBER。ここに行くまでの道、今思えばちょっと危なっかしいエリアだったなぁとか思いつつ。そういえばこの美術館だけ、事前にチケットが予約だった。どうやら人気らしい。閑静な住宅街に、真っ青な派手な家。サンディエゴに住んでいた時、フリーダカーロのことをメキシコ系の友達から聞いたことがあったり、母がなぜかフリーダカーロのことを気に入ってたり、なんとなーく名前は聞いたことあったんだけど、いまいちどういう絵を描いていて、どんな人なのかは知らなかった。そして、ほぼ前情報のないまま美術館へ入る。

あああおいいいいえ、、、知ってる?本当にあるんだよ
キッチンらしい。なんていうか、不思議。

なんというか、、、ある意味悲惨な人生で、不運にもめげず、芸術に命を燃やした、という人なのだろうか。フェミニズム的な何かなのか、メキシコの芸術(ずっと民族衣装着てたり)の昇華、なのか、色々な要素が彼女や彼女の名声を形成していたのだろう。たぶん。なんというか、私は基本女性が独立して活躍する、みたいなのはいいと思う方だけれど、なんだかちょっと腹落ちしないというか共感は薄めだった。多分だけど、彼女が恵まれて境遇・家庭環境にいて、すでに有名で成功していた伴侶を得て、でもお互い愛人が複数人いて、みたいな、なんか歪んでいるような、美化されているような、崇められすぎなんじゃないか、みたいにも感じた。私の理解のレベルが浅いのかもしれないけれど。何か、心に残る絵があるか、と言われると、記憶に残るような痛々しい絵だったり、眉毛の印象の強い絵だったりはあるけれど、(この美術館にはそこまで多くの彼女の作品はないが)心に残るもの、感動するものは正直なかった。

ざっと美術館を見て、コヨアカンエリアを散策。体調が回復したので、長距離でも歩けるようになった。市場に寄ったり、公園に寄ったり、とりあえずもう行くあてもないので、ランチの場所を適当に探して。ここでまた事件発生。(個人的すぎるけど)ようやく復活したのでタコス(みたいなの)を頼んで、付け合わせに大きめのシシトウみたいなChileとかポテト、サボテンついていて。サボテンやポテトが、ちょっと辛いな〜くらいに思ってて、Chileを一口齧った瞬間に、身体中の穴が開くような刺激が。人生で一番辛かった。飲み込むことも噛み切ることもできず、ただ齧っただけで、唇も舌も全てが痛くて。その後しばらく口に入れるもの全てが辛くて。間違いなくやばい唐辛子だった。堂々とこんな風に現れるとは。油断してたかもしれないけど、あまりにも辛かった。泣いた。というか涙が勝手に出てきた。

音楽隊がいたり、物売りがいたり、メキシコってそんな感じ
ちょっとだけ見える赤い唐辛子。あなたが、私の人生最辛を簡単に凌駕し君臨しています。
辛すぎて多分記憶のいくつかは消えた。
コヨーテちゃんたち。

そして、特にすることがないので、ふらふらとローマ・コンデサ地区へ散歩。大きい公園があって、友人がこのあたりなら散歩してても楽しいはず〜みたいなこと言ってたから、その言葉を信じる。なんというか、のどか。公園にはドッグランがあって、犬だらけ。メキシコは野良犬もそうだけど、飼い犬も含めて、犬がたくさんいる。犬飼っている人めちゃくちゃ多そう。いい国だ。で、チュロス屋さんがあったから、テイクアウト。サクッとして軽くて美味しい。チョコをつけてもよかったけど、シンプルにシナモンシュガーにした。まだ夕方だけど、飛行機は夜中便で、本当に行くあてもなく。

公園、バカでかい。結構いい感じの公園。
チュロス、美味しかった。安かったし。人気だったな。

昨日行ったポランコエリアにも行ってみた。昼間はさらに高級な感じがした。観光客もそこそこいる感じ。何か買うわけでも、夕食を食べるわけでもなくふらふら。現金を使い切りたいのに、この辺りの物価が高すぎて、微妙に現金が足りない。時間はあるのにお金がない。苦し紛れでレストランに入って、飲み物だけを頼むという不思議なことをする始末。

こんな感じの豪奢なエントランスのレストラン、バーが集まっているポランコのエリア。

メキシコシティを満喫できたかは謎だけれど、お土産や服とかを買うわけでもないので、こんなものなのだろうか。夜中便とはいえ、本当に夜中に空港に行くのはあまりに怖いので、、陽のあるうちに空港へ向かう。なんというか、道から見える地下鉄の駅の怖さ、空港の近くのエリアの危なっかしさ。やー、、、なんかもうこの辺りを見ると、家族や友人に「メキシコ行ってきなよ!」と手放しで言いづらくなる。いい人たちばっかりだし、日本と異世界だし、食べ物も結構口に合うの多いし、いいところなはずなんだけど、気を張っていないといけない感じがするところも結構あった気がする。ヨーロッパとかアメリカに最近行ってないけど、iPhone持ってたら狙われる、とかブランドバッグ持ってたら狙われる、とかそういうのが頭にずっとあるんだよなー、って。無事に空港には着いたけど、流石に早すぎて。空港内で少し時間を潰して、さっさとラウンジに入る。ここには日本人のビジネスマンが沢山居た。この度で、ほんっとに日本人、アジア人会わなかったからなんとなく新鮮だった。ただ、このラウンジはちょっと微妙でフードのクオリティも空間自体も変な日本語の曲が流れていたりで不思議すぎたんだけど、贅沢は言えない。もう疲れ果ててたし、あとはもう無事に日本に帰りたかった。

文句は言えないけど、今まで行った世界のラウンジの中で、
ぶっちぎりでよろしくない方の記憶で残っている。

憧れ続けて、なんでかわからないけど、今年のこのタイミングで、しかもなぜか父親も一緒に来てくれて、遠いはずのメキシコは、近くなったようで遠いままの分もあった。何よりも、行けたらいいな、と思っていた国に、実際に行くことができたという単純な事実が本当に嬉しかった。半分、行けないかもな、と思っていたのに、行くことができて、楽しい思い出がいっぱいできた。行ったことのある国やエリアじゃないからこそ、ものすごく緊張もしていたし、楽しみでもあったし、ワクワクしていたし、怯えてもいたし、ものすごく調べたし、いろんなエネルギーを注ぎ込んだ。なんならこの半年弱ずっとメキシコのことで頭がいっぱいだったし、仕事も「メキシコのため!」と頑張れていた気がする。実際に行ってみて、いろんな「初めての体験」をこの歳でもたくさん味わえて、最高だった。正直、もっと先進国の雰囲気を想像していて、衝撃度が大きすぎる。インドや東南アジアの田舎の方と、欧米の最先端を組み合わせたような、混沌の世界。人はあったかくて、優しくて、明るい。結構悲惨な状況かもしれないのに、毎日を多分逞しく生きる人々。はー。すごいな。また行きたいかと言われたら、ぜひまた行きたい。まだまだ私はメキシコへの興味が尽きないし、帰国してからもナルコスのメキシコ編をずっと見ている。結果的に繁忙期に休みを取ってしまったけれど、何の後悔もない。本当に行ってよかった、行けてよかった、無事に帰れてよかった。自分の知らないところへ行くことは、とてもとても面白くて刺激的で、楽しい。想像していた世界を飛び越えて目の前に現れる世界、表現のしようのないもの、食べたことのない、見たことのない何か、そういう全てが大好きだ。一緒に行ってくれた父にも感謝。一緒に楽しんでくれて、よかった。

だんだん体力はなくなるのかもしれないけれど、気力とお金はあると思うので、またいろんな挑戦をしたり、知らない世界や人に触れていきたい。

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