【日記】 『キミがこの本を買ったワケ』 〜あなたの欲求は本当にあなたの欲求だろうか? 広告の面白さと怖さ〜
◆本書との出会い
本書との出会いは約10年ほど前、古本屋で背表紙を見てなんとなく手に取り、表紙を見た瞬間購入を決めました。まだWEB広告も今ほど盛んではなく、また精度も低かった頃の話・・
いま思えば、正直内容を見る前に『負けた』という感想でした。
この本を買う前から『買った』という過去形タイトルにされている。
そして実際に書店で本を手に取った時、本の表紙にはこの本を手に取った自分が写っている(正確には手に取った自分が投影されている)という構造。
私の潜在的な購買意欲に『上手く』『気持ちよく』働きかけてきたんです。
非常に良くできた仕掛けだと思います。
この非常に優秀な表紙のイラストは高田真弓(kameko)さんという方が描いたそうです。応援をかねてぜひご紹介させてください
▼参考ページ
『イラストレーター 高田真弓(kameko)さんのWEBサイト』
http://www.9taro.net/work.php
◆本書の出会い〜広告についての話。
この本を買った時に感じた『してやられた感』はある意味で快感でした。
内容はマーケティングについて、特に購買意欲についての本なのですが、2020年の今でも通じる普遍的な部分もあれば、状況が変わっている部分もあります。ただし本書を購入するに当たっての自分の心の動き。購買意欲という『欲求』が発生してから購入に至り『欲求を満たす快感』を味わうまでの心理的な流れは、今でも鮮明に覚えています。
今でも『広告』という物を考える時に立ち戻る原点でもあり、そしていまだに応用されている普遍的な内容でもあるので、ぜひ小噺としてお話させてください。
◆僕にとっての広告
私は学生時代の個人的な活動から考えると、通算10年以上広告に携わっています。業種や形は変われど続けて来れたのは『自分が良いと思った物を広く知って欲しい』という純粋な欲求が根底にあった事、またその面白さを知っているからだと思います。
◆広告の面白さ
改めて考える私にとっての『広告』とはなんだろう。
私にとって『広告』とは『広く知ってもらう』という事。
そして面白さは『良い物』『知って欲しい事』を沢山の方に広く知って頂く事ができる喜びです。
しかし、恐ろしさも同時に兼ね備えています。
今回はその点についても触れたいと思います。
◆広告の恐ろしさ
沢山の人々に良い物、知って欲しい情報を知ってもらえる反面、過剰な広告、行きすぎた広告はマインドコントロールになりかねない。
ではマインドコントロールとは具体的に何か。
あなたの心の奥の奥に問いかけて見てください
今あなたが感じている『欲しい』『食べたい』『観たい』『聴きたい』という欲求は、本当にあなたの欲求だろうか?自分自身から自然に発生した欲求だと自信を持って言えるだろうか?
もっと言ってしまえば
欲求の発生から欲求を満たした時の快感まで含めて、誰かに刷り込まれている可能性はないか?という事。
現代社会における広告(特にWEBやアプリの広告)の技術発展は非常に早く、精度も日進月歩でどんどん高まっています。
※それは皆さんも体感していると思います。。
あなたの欲求は本当にあなたの欲求でしょうか?
上記の質問に正直答えはありません。
極端な事を言えば『あなたが幸せならOK』なのであって、あなたの幸福度が最大化されていれば良いのです。
ここで重要なのは、
むしろ幸福度を高める手段として『欲求を満たす快感』を味わう為には、先に『欲求』を人工的・意図的に作り出す必要があるのです。
ただし、それは雇用を生み出す為に必要のない公共事業を生み出す仕組みの様なもの。(そこに投下される税金の使い道には賛否があるでしょう。)
実は世の中に溢れる欲求のほとんどは内側から自然に生まれてくるものでは無く、意図的に人工的に作り出されているもの。私はそう考えています。
それが行き過ぎた広告がマインドコントロールになりかねないという『恐れ』の正体です。
◆そもそも欲求とは何か
本来であれば人間の欲求は三大欲求と言われる様に、大きく分類すれば3つ程度なんです。生存の為に必要な物を自動的に求めるシステム=欲求と言っても良いでしょう。
もし上記意外の欲求が発生したのであれば、それは生きる為に必須な『欲求』ではなく、快楽を得る為に『人口的・意図的に作られた欲求』であり、極端な事を言えば『無駄な欲求』であるといえるでしょう。満たされなくても死に直結しないという意味では無駄な欲求なんです。
◆無駄な欲求の必要性
しかし、私はその『無駄な欲求』自体を否定しません。
前述したとおり、欲求を満たす喜びを感じ、幸福度を上げる為には一定の無駄な欲求が必要になるからです。そして現代社会においては『無駄な欲求』こそが『経済』を回していると言っても過言ではありません。
なので現代社会で人間が幸せに生きていく為には、無駄な欲求は必要なのです。
◆無駄な欲求の副作用(経済面・精神面)
ただし欲求の供給バランスが崩れ、過剰な欲求が世の中に溢れかえれば、満たされない不満感が残ります。そんな状態は健全とは言えませんし、今後のサスティナブルな経済という観点で考えれば、『無駄な欲求が経済を回す』という仕組み自体を考え直さなければいけないとも思います。
本来に立ち返れば、無駄は無駄なのだから。
あなたから生まれ欲求が、本当にあなたの内側から自然に発生した欲求なのか、そして無駄な欲求が不全感(=満たされない思い)に繋がってないか。良く見極めて欲しいと思い、この日記を書きました。
◇最後に
マーケティングやその一部である広告は、社会にとっても非常に重要な立ち位置にあります。またあらゆる環境が『市場』に置き換えて考える事が出来ます。転職市場、友人市場、人材市場、婚活市場、、、
誰もが何かの市場の『マーケター』です。
あなたの発信する言葉や振る舞いはある意味、あなたの魅力や価値を示す『広告』です。
そう考えた時、この本の事やこの日記を思いだしてみて下さい。
何かのヒントになる事を願います。