おこもり映画生活⑦ 「鍵泥棒のメソッド」倍返しできない堺雅人と記憶喪失の香川照之
わたしは内田けんじ監督の作品が好きである。「運命じゃない人」がすごく面白かったからだ。
脚本とテンポと役者さん、全部が良くて、映画とはお金をかければよい、というものではないんだなー、とこの作品を見て思った。
「運命じゃない人」も「鍵泥棒のメソッド」も、ちょっとした人の欲が起こすトラブルや物語性をうまく表現している。
みんなそれぞれ悪気がなく、罪悪感や、遠慮や、欲を小出しにしながらストーリーが進む。人間らしい展開でとてもいいなと思う。少しの見栄や思い込み、勘違いがこの映画を面白くしている。
ダブルではないよ、トリプルキャストだよ
突然結婚することにしたと宣言するヒロインが最高に良い。広末涼子が演じている。ヒロインが本当にいい味を出しており、作品のキーマンといえる。
半沢直樹の影響で、大和田さんと半沢のペアで語られがちだが、どうか広末涼子に注目して欲しい。
恋愛トラブルと、雑な男と、丁寧な殺し屋、そしてお金。
はじめ、香川照之は記憶をなくしてしまう。入れ替わりもので良く表されるのは、結局外見が変わっても、人間の中身によってその人生はもともとあったその人の中身と同じものに似てくる、ということだ。
元売れない劇団員が、どんどん丁寧な仕事や生活をし改善していく一方、突然お金を手に入れてウハウハで使いすぎて、またカップ麺をすすって放置する男。
そのふたりがバラバラなのに、ある日つながって、クライマックスへと向かう。起承転結の、起承のふくらみがすごくよくて、予想する転とは違う転がこれまた楽しい大人の作品。ドタバタというよりはじんわり効くような、邦画のよさがつまってます🎬
半沢ロスの皆さんはぜひ見てね!
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