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はじめてのライブビューイングとアイライナー
私は映画館好き。話題の映画は映画館で観る派。なので、ライブビューイングの存在は知っていた。少し値段が張ることも。
先日、映画館の近くに泊まったので、好きな映画、気になっていた映画を見ようと、上映作品を探していた。その日は難しそうだったので、翌日の日曜日に行こうと日付を変えて再検索した。
すると
ヒプノシスマイク の文字が
Huluで配信していることは知っていた。一回くらいは配信で見ようかなくらいに思っていた。Twitterのターゲティング広告は素晴らしく効くと思う。
結局映画館で観たので、Huluにはお金は動いていないが、きちんとこうやって効果があったことを声を大にして言いたい。どこが流入口、きっかけになるかわからないから、接触回数大事だと。そして次ちゃんとHuluにお金払うから安心してね。
ごめんなさい、ノーラン。愛してるわ。
さて、ターゲティング広告はさておき、ヒプマイのTrack3(オオサカディビジョンとナゴヤディビジョン)の千秋楽だけ、映画館でライブビューイング配信があった。価格は4000円くらい。
私は震える指で、IMAXで見るTENETを捨てた。
ごめんなさい、クリストファー・ノーラン…。いつかまたIMAXでみるし、多分重厚で謎がいっぱい残りそうだから、いまは楽しげに歌って踊るイケメンたちを今は見させて…何も考えたくないの…。頭を使うのは仕事だけで十分なの…。これまであなたの作品は全て観てるし…、それにヒプノシスマイクの舞台については全然観るつもりなかったのよ。本当は。でも、YouTubeで2.5次元俳優さんたちの歌のうまさに驚いていたから…ずっと、頭の中にあったし、ナゴヤディビジョンの完成度が高くて…
とまあノーランに届くこともないが、「推しは出ないけど、でもナゴヤのクオリティ高いし」「舞台に行けないけど人混みも避けて観られるし」「これは運命」と、ひとしきり自分に言い聞かせて、かなり勇気を出して2.5次元ライブビューイングのチケットを買ったのである。
開始30秒で回収される4000円
オープニングの一番手が出てきてラップ初めて30秒くらいで「4000円は安かったな」と感じるクオリティのダンスとキャラ感とラップ。派手な舞台装置。
4000円なんて、あの衣装の布切れの端くらい、いや、演者のカラコンの片目分くらいしかないのではなかろうか、いやあの電飾何個分や…くらいの気持ちにさせてくれる。そして思う、この舞台は黒字なのか。
何回稽古を積んだら、あんな暑そうな毛皮着て汗も見えない感じで踊れるようになるのかとか、足の角度、歩き方、立ち振る舞いをよくここまで設定してなりきったな…という驚きです。これが、"いくらだ、いくらつめばいい?"という感情なのか…、確実に人類は進化している。
ノーラン、忘れてた、これ世界観ヒプノシスマイクだった
ノーランに「頭使いたくない、重い話は遠慮するねごめんね⭐︎」と言っておきながら、ヒプノシスマイクは設定が重いこと忘れてた。
なんと物語のキーに宗教トラブルである。
しまった!ヒプノシスマイクはイケメンがラップしてかっこいいで終わるやつじゃなかった!麻薬、洗脳、ブラック労働、重税&圧政ほかの世界観!武力の代わりにマイクで精神攻撃!
チームメンバーに詐欺師、弁護士、なまぐさお坊さん、お笑い芸人、教師に騙されやすいビジュアル系ボーカル。坊さんいる時点で宗教系ありうる…!不覚ッッッ!
あわあわしながら、ことの顛末を見守るわたくし。
この舞台、気迫負けする
2.5次元の舞台は初めて見た。そして劇場で舞台を鑑賞するのとはわけがちがい、映画館なのでカメラワークでアップで映るわけです。
みんなすごい全力。そして目力。眼力。カラコン飛び出るんじゃないかってくらい目を見開くし、二階席まで届けようという気持ちが所作の振り方でわかる。素晴らしい。
半沢直樹の歌舞伎役者さんたちかな?というくらい決めポーズと決めダンスと決め台詞とキャラになり切る俳優さん。
普段通りの薄いメイクで映画館にいたわたしは、自分の顔の作りの薄さ、いや、気合の足りなさがとても恥ずかしくなった。
カーテンコールが終わり、次回なんと我が領土「福岡」に来るとの発表があり、思わず胸に手を当てて「わぁ…!」と感嘆の声をあげてしまった。
今回見た舞台は名古屋と大阪の2ディビジョン6名だったが、なんと次の公演は「イケブクロ」「ヨコハマ」「シブヤ」「シンジュク」の4ディビジョン、合計12名が来る。
そう、「シブヤ」が来る。
そう、"推し"が福岡に来るのである。
推しが福岡に来る。みなさん、事件です。
「オイオイ!いまは俺たちの時間だぜ〜!」
「ほんますみません、自分意識飛んでました!」と謝る暇もなく、名古屋と大阪は再び現れて私たちの気持ちをかっさらっていく…。
ひと席ずつ離れた映画館の中で、興奮冷めやらないまま、ライブビューイングは終了した。いつか、隣の見知らぬ人に話しかける日が来そう。多分来る。
これが2.5次元舞台か…
わたしが幼い頃に、こんな世界観はなかったので、俳優さんってやっぱ顔もいいんだな。縮尺も頭身もなんか違うな。舞台俳優さんは踊りも歌もうまくてアドリブ力もあり、2階席まで届けようと命かけてんだな…。歩き方や振る舞い方まで気を配っていたな…。
これはもう、ガラスの仮面に近いわね、マヤ…2.5次元俳優…、恐ろしい子…!
と誰に伝わるかわかんない表現だけど、ガラスの仮面の演技対決のシーンを思い出していたいんとぅなのでした。
女神様、わたしにもっと眼力をください
今のわたしに足りないのは「目力」、いやあの圧力に対抗するために「眼力」というべきだろう。とにかくわたしは薄化粧のままでは、推しが福岡に来た時に、舞台を観られない、目を開けていられないと感じている。
映画館から出たあと突然、心の底から「ア、アイライナー、漆黒のアイライナーを新調せねば…!」という気持ちが込み上げてきた。ちなみに、これがどういう感情なのかは自分でもわからない。
普段使っているアイライナーは茶色で、少しでも目力を落とそうとその色にしていた。顔の圧がつよいので、黒のアイライナーだと、相手に気の強さを感じさせてしまうかもと判断したからだ。10年くらい茶色を使い続けてきた。
最寄りのマツキヨに入り、アイライナーを探す。舞台を見ることを想定すると、泣いても大丈夫なウォータープルーフ・よれない系を探す。そしてもちろん、色は漆黒だ。
推しにいつ何時でも会えるように
人は誰かのために綺麗になるのではない。自分のために綺麗になる、いや、いつ推しに会っても「眩しくて目が開けないッ」とならないように、こちらも完全体で後光をしょっとかないといけないと腹落ちした。
メイクや服装は異性を意識し着飾るものと前置きされがちだが、その理論はわたしにまるで当てはまらず、異性を意識した婚活では反動が来るなどなど、大変に無言のストレスを与えるものだった。
だが、今回の件で理解した。
推しを見届けるため、推し負けしないために着飾るのである。Head to Toeまでパーフェクトにするのはそのためだ。
推しはいわば普段お目にかかることのない異世界の武将であり、こちらも武将として戦場にいないと即死である。尊すぎてストーリーとか推しの良さとか多分涙で見れない。
県外から福岡の嵐のコンサートに遠征しにきて、美容室の隣の席でセットしていた三人組のお姉様方の気持ちがいま、わたしに繋がった。あれはそういうことだったのか、と。
みなさん、推しに会う日時に合わせてコンディションを整えていたんだね。今すごくわかるよ。とてもわかるよ。
というわけで、漆黒のアイライナーを手に入れ、クローゼットも片付けて、推しに対峙する日に向かってじわじわと整えはじめたわたしなのでした。おしまい。