
おこもり映画生活⑦:「天使のくれた時間」もしも、別の人生があったら
少し早いですが、クリスマスムービーが見たい時期がやってきました🎄洋画のクリスマス映画は、ホリデー感にあふれてて本当に好きです。現実の街のクリスマス雰囲気にはダメージをくらうんですけど、先にこっちが準備してたら多分大丈夫ってことで、2000年のニコラス・ケイジをみることに👼
あらすじ
優雅な独身生活を謳歌していたビジネスマンが昔の恋人との“もうひとつの人生”を体験することで本当の幸せに目覚める姿を描いた大人のファンタジー。成功を夢見て恋人ケイトと別れロンドンへ旅立ったジャック。13年後のいま、ジャックは大手金融会社の社長として、優雅な独身生活を満喫していた。クリスマス・イブ、昔の恋人ケイトからの電話があったが、かけ直すことはしなかった。その夜、自宅で眠りについたジャックだが、目覚めると、ケイトと我が子2人に囲まれた家庭人ジャックになっていた……。
月並みな人生とグレートサクセスストーリー
主人公ジャックはおもしろい。とにかくおもしろい。悲哀や哀愁がある。意地悪な天使に試されて遊ばれて、お金持ちの感覚&ドライな成功者の気持ちのままで、突然の家族生活に送り込まれるジャック。
こっちの世界のジャックはボウリングが好き。勤め先はタイヤ屋さん。そんな生活に慣れないジャックは、家族ででかけた郊外のモールで、2400ドルのスーツを買えないことに怒りまくる。
たしかに、NYの高級マンションで寝てたはずが、犬によだれで起こされて、子供が二人いて、あの日別れたはずの彼女が奥さんになってて、クリスマスの朝に親戚が自分の名前を呼ぶとびっくりするよね。
そして彼女ことケイトがかわいいすぎる。かわいすぎて泣いちゃう。
「なんで僕は、こんな月並みな人生を送ってるんだ?君はどう思うんだ?」と聞いた時に奥さんが「んー、偉大なるサクセスストーリーね!」と返す。
グレイトな人生ってなんだろうね
かなり意地悪な天使がくれた時間。ジャックは慣れないながらも、ひょっとしたら自分が選択したかもしれない人生を楽しみはじめる。
それと同時に、これまでの自分の成功、自分はこんなもんじゃないんだ、という気持ちと戦う。チャンスを掴み、昔の生活はきっと家族も幸せになると、高給をNYでまた掴み取ろうとする。
「人から羨ましがられる人生が手に入るんだよ!」
「そんなの…もう持ってるじゃない」
ケイトは、これまでと違うジャックの選択にあきれて、怒るけれど、最終的には「わかったわ。あなたを愛しているから住所を変えるわ」と選択を受け入れる。
そのときに「この家でおばあちゃんとおじいちゃんになって、孫の顔をみて、静かに過ごそうと思っていたけど…」とつぶやく。
意地悪な天使は、人生を変えてはくれない
この映画に出てくる天使は天使なのかもわからないくらいにまあ意地悪!ずっと人を試して、チェックしてる。
強がったジャックに与えたのは、ほんの少しの時間だけで、ジャックがわかり始めた頃に、また現れて、「きらめきは一瞬なんだよ」と告げる。
ジャックは、その言葉を理解して、本当は自分ではない別のジャックの人生・家族にひとつひとつお別れをして、またNYの最上級の部屋で目を覚ます。
クリスマスには奇跡は起きない
"ないない"づくしですが、この映画は一部を除いて、都合の良いことは起きません。じわーっと「あちゃー」って目を覆いたくなる感じとか、「それをやっちゃったか〜」なんてことも起きて、人生は選択の連続であることをグーで殴られてる感じです。
こちらの世界での"奇跡"を探してしまうジャック。でもそんな都合の良いことはまるで起きない。どれもじんわり。ふんばる。ここで踏ん張る。次でも踏ん張る。さらに踏ん張る。
自分がもしかしたら得ていたかもしれないものを、ジャックはこちらの世界でも必死で掴もうとする。
2020年、ハッピーホリデー
もしかしたら自分は成功していたかも?この選択をしていたら?あの選択をしたら?幸せな家庭を得ていたかも?全くの別の人生を歩んでいたかも?
そんなことを一度でも思ったことのある人に、じんわり効く、冬空の下で飲むようなスパイス香るホットワインの感じ。ホットワインや甘いお菓子が食べたくなる、大人なクリスマスムービーでした。
ロマンティックなことがそうそう起きない感じのリアルさがすごい良かった。ニコラス・ケイジのナチュラルな演じ分けも、ケイトのキュートな奥さんっぷりや子供の可愛らしさ、田舎の感じと都会の感じ。対比がとても良い。
どの人生もその人の人生なのだけど、どの人生もどの自分も大切にしたらいいんだよね。皆様メリークリスマス🎄✨