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その5~東京から少し離れた街で起業する選択肢

社員が自分だけという、いわゆる「ひとり法人」として起業して、もうすぐ8年になります。

起業する前は20年以上、東京でサラリーマンをしていました。
都内で賃貸マンションを借りて、そこから毎日オフィスへ通勤していました。

いろいろあって起業することになり、はじめはひとり法人のままでやっていくのか、それともいずれ社員やパートを雇って規模を大きくしていくのか
、曖昧で決めてはいませんでした。

とはいえ、いずれ社員やパートを雇うとしても、少しでも家賃が安い地域の方が良いのは言うまでもありません。
本当に僅かな資金しかありませんでしたので、少しでも事業にかかる経費を節約したいという切実な事情もありました。

そこで、思い切って妻の出身地である栃木県宇都宮市に借家を借りて、家族全員で引っ越しました。
その借家の一室を仕事場にして起業することにしたのです。

とはいえ、当初、東京から離れる事には抵抗もありました。

人が多過ぎたり物価が高かったりと不便も多い東京ですが、それでもやはり、ビジネスや文化の中心です。

東京から離れる事で
「自分だけが取り残されてしまうんじゃないか」
「それによって事業も上手く回らなくなり、失敗するんじゃないか」
という漠然とした不安がありました。

それから8年が経過して今に至ります。

振り返ると、ひとり法人として宇都宮で起業した事は、メリットの方が圧倒的に多かったと実感しています。

この記事では、これからひとり法人で起業を検討している方向けに、私の実際の経験をいくつか紹介していきます。

まずは、少し東京から外れた土地で実際に起業したエピソードとして、
「宇都宮でのひとり法人経営」の実態を紹介し、皆様が関心を持ちそうな点を深堀りしてみたいと思います。

検証1:東京を離れると本当に取り残されるのか?

序文でも書きましたが、東京を離れて起業する事については、当初、私の中には相当な不安がありました。

私は出身は茨城県なのですが、就職してからの20年以上、ほとんどの期間は東京の会社で働いていました。
職場やプライベートの人間関係も東京都内で形成されていました。
当然、生活にまつわるあれこれ(買い物をする場所、かかりつけの病院、子供の幼稚園など)も都内でした。

先に結論ですが、東京を離れても、宇都宮あたりであれば
大して変わりは無い
と言い切れます。

まず仕事面について。
厳密には業種によっては、東京から離れる事が多少デメリットになるケースもあるとは思います。

例えばエンタメ業界のような、未だに人と人の濃密な人間関係が重視されるような事業に就いている場合は、
「東京の磁場」
の中に身を置いていた方が、なにかと事業に有利なケースもあるかもしれません。

ただ、コロナ禍も通過した2025年の現在、そのような業界はごく一部だと思います。

実際には、東京のオフィスに居ても、同じフロアの同僚や近くの取引先との間ですら、メールやチャットで会話するような時代です。
同じく、東京に自宅を構えて都内のオフィスに通っていても、ほとんどの情報をネットから得ている時代でもあります。

それが良いか悪いかはさておき、
「東京都内にいないと取り残されてしまう」
などというのは、ひと時代前の感覚に捕らわれたままの思い込みに過ぎません。

ちなみに私のひとり法人としての事業ですが、自分で健康食品の企画を立て、外部に製造委託してプロダクト化し、amazonを通じて販売したり、他社へ卸売りをしています。

企画に特化しているので、大きなオフィスも設備も必要ありません。
なんならPC1台あれば、どこでも仕事が可能です。

私の場合は、宇都宮市内の一戸建ての借家を法人の社宅扱いで借り、家族4人で住みつつ、その一室の4畳半の部屋を事務所として使用しています。
それとは別に在庫の一部を保管する小さな倉庫を借りてはいますが、住居と倉庫の賃料はトータルで10万円程度です。
それで問題なく事業が回せています。

ちなみに宇都宮駅までは車で10分弱の立地なので、取引先との打ち合わせで東京へ出張する際も余裕で日帰りが可能です。

宇都宮駅からは東北新幹線が利用できます。
東京駅行きはだいたい1時間に4本位のペースで運行されていますので、ふらっと駅に行ってもあまり待たずに乗車できます。
東京駅までの運賃は、自由席で4,490円です(2025年1月現在)。
仙台へも1時間程で行けますし、大宮まで出れば上越や北陸への出張も容易です。

また、在来線を利用する場合でも、東京・品川方面、新宿方面のどちらへも出ることが可能です。
特に新宿駅までなら、快速の湘南新宿ライナーを使えば、直通で1時間40分程で付いてしまいます。宇都宮は始発駅でもありますので、通勤ピーク時間を避ければほぼ100パーセント、座ることもできます。
さらにはグリーン車も付いていますので、私も仕事が立て込んでいる時には、グリーン車のテーブルでPC作業をしながら都内へ向かう事もよくあります。

これらの移動の利便性を享受しつつ、インターネットを組み合わせることにより、東京で高い家賃や光熱費、生活費を払い続けるよりも、はるかに合理的で快適に、そして特に情報や流れに取り残される事もなく、ひとり法人で事業が継続できています。




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