【イントランス】当社グループの事業についての考察(不動産事業 その3/不動産ファンド)
こんにちは、株式会社イントランスのIR担当でございます。
前回は、「不動産投資」といったある程度大きなテーマについて解説させて頂きましたが、今回は、「不動産ファンド」といった当社の事業にも関連する内容について考察していきたいと思います。
よろしければ最後までお付き合いください。
目次
1.不動産ファンドの概要
不動産ファンドとは、不動産投資信託とも呼ばれており、複数の投資家から資金を集め、その資金を元手に不動産へ投資し、開発、管理、売却などを行う仕組みや組織のことを指します。
不動産ファンドの投資先は、一般的にはマンションやアパートなどのレジデンス、オフィスビル、ホテルや商業施設、物流施設、介護・医療施設など多岐にわたり、それらを複数組み合わせているファンドもあります。
また、不動産ファンドは、不動産を資産として賃料収入や売却益を得ることにより、その収益を投資家に分配する仕組みであり、投資に係るリスクやリターンはすべて投資家に帰属することになります。
その他、不動産ファンドは、複数の不動産案件へ投資することが一般的であり、個人や法人により単独で一つの案件へ投資するよりも、専門家等の選定により複数案件へ投資することが可能であることから、投資家にとっては投資リスクを分散し、不動産市場へのアクセスを容易にするといった利点があります。
こうしたことから、不動産へ投資するための手段として、不動産ファンドは投資家の間で人気を集めており、投資を考える個人、法人にとっては、外せない手法となっています。
2.不動産ファンドの種類
不動産ファンドには大きく2種類あり、「不動産投資信託」と「不動産特定共同事業」に分けられますが、これらについて解説を進めてまいります。
(1)不動産投資信託
不動産投資信託とは、投資家から集めた資金により投資対象とする不動産を買付け、その養子により得られる賃貸料収入や不動産売買益を原資として投資者に配当する金融商品です。
REIT(Real Estate Investment Trust/リート)と呼ばれ、投資家はREITを保有することで間接的に不動産のオーナーとなり、不動産投資の運用収益を得ることができます。
REITには、「公募REIT」と「私募REIT」があり、主な違いは以下のとおりです。
①公募REIT(REIT)
公募REITは、証券会社で毎日売買が自由にできる投資信託です。レジデンス、オフィス、商業施設、物流施設など様々な不動産への投資を目的としたREITがあり、現在では数十ものREITが株式市場に上場し、日々取引がされています。
②私募REIT
私募REITとは、証券取引所に上場していないREITであり、一般の投資家ではなく、年金や金融機関などの機関投資家といった特定の投資家が対象となり、投資金額もかなり大規模なものとなります。
(2)不動産特定共同事業
REITとは異なり、投資家から出資を受けた上、不動産資産へ投資し、その収益を投資家に分配する事業を「不動産特定共同事業(不特法事業)」といいます。
このスキームは、1994年に不動産小口化商品の売買から投資家を保護する目的で「不動産特定共同事業法」が制定されたものであり、ようやく不動産の小口化投資のルールが誕生しました。
REITは、金融商品で金融庁管轄であるのに対し、「不動産特定共同事業」は、不動産実物投資と同じ扱いになるため、国土交通省の管轄になります。
不動産特定共同事業の中には、「任意組合型」、「匿名組合型」、そして「賃貸借型」がありますので見ていきましょう。
①任意組合型
任意組合型(任意型)は、民法によって定義されたルールにより、不動産特定共同事業者と投資家との間で締結する任意組合契約に基づき運用される投資商品となります。
投資家が組合員として出資し、共同で事業を行う仕組みですが、組合員は不動産特定共同事業者を業務執行者として選出し、不動産特定共同事業者が実際の物件管理・資金管理等を行い、収益をもとに組合員へ分配金を支払います。
一般的には、1口で10万円から1,000万円といった程度の価格帯であり、投資家が不動産の所有権を実際に有することとなります。
また、所有する持分については、不動産による資産の圧縮効果が得られるため、相続税対策に有効とも言われています。
②匿名組合型
匿名組合型(匿名型)は、不動産特定共同事業者と投資家との間で締結する匿名組合契約によって運用される投資商品となります。
投資家が事業者の事業のために出資し、事業者が事業から得た利益を投資家に分配する仕組みです。
不動産特定共同事業者は、営業者となって匿名組合を組成し、不動産投資を行います。
これらは、1口で数万円から上は相当な金額となるものが多いことに加え、匿名なので事業者と投資家との間で不動産の売買契約は発生しないため、登記費用や取得税などの初期費用は不要となります。また、匿名組合型は、出資した投資家は不動産を所有しないため、任意組合型のような相続税対策にはならず、あくまでも収益を目的とした投資商品と言えるでしょう。
その他、匿名組合型には 対象不動産変更型匿名組合契約といった、契約期間中に事業者の判断で不動産の変更が可能であるものなどがあります。
③賃貸借型
賃貸借型は、複数の投資家が共同で出資をして、投資した不動産を不動産特定共同事業者に貸出し、不動産特定共同事業者から賃貸収入の分配を受ける方式の不動産特定共同事業です。また、投資した不動産の所有権は、出資した投資家が持つこととなります。
その他、任意組合型や、匿名組合型と比較して、商品数が少ないという現状があります。
3.不動産ファンドと現物不動産投資の違い
不動産投資には、不動産ファンドとは別に現物の不動産へ直接投資をする方法がありますが、現物不動産投資は、投資家が土地やマンションを直接購入してオーナーとなり、賃貸運用することで収益を得る方法です。
一方、不動産ファンドは、複数投資家からお金を集めた上で、投資を行なっていくものとなります。
スキームとしては、複数名で投資するか、投資家が単独で投資するかの違いとなりますが、現物不動産への投資は、不動産ファンドのように低額からの投資を行うことはできません。
また、現物不動産投資は管理なども自分で行うことになるので、不動産に関する知識を持っていないと比較的難しい投資と言えるでしょう。
その他、不動産ファンドは収益もリスクも分散しますが、現物不動産投資は収益及びリスクとも自身のものとなります。
さらには管理費用や修繕費も負担していくこととなりますので、それらも自身で適切に管理することとが必要です。
4.不動産ファンドのメリット・デメリット
不動産ファンドには、様々なメリット・デメリットがあります。
具体的にどのようなものがあるのか見ていきましょう。
(1)不動産ファンドのメリット
不動産ファンドは、投資証券や不動産小口化商品の購入を通じて投資を行うため、対象とする不動産を直接購入するよりも少額で投資可能であることが、一番大きなメリットと言えるでしょう。
自身で不動産投資を直接行う場合も対象とする不動産物件により、安価で購入できることもあるかもしれませんが、当然ながら不動産の購入にはある程度まとまった資金は必要となるでしょう。
その一方、不動産ファンドは、少額で投資をスタートできるため、投資の始めやすさという点でメリットと言えるでしょう。
また、不動産ファンドは通常、複数の不動産物件に分散投資するため、リスクを分散できるということもメリットと言えるでしょう。
(2)不動産ファンドのデメリット
不動産ファンドは、少額投資が可能であることはメリットですが、その一方、出資者が多いため、分配金が少額になりやすく、リターンが少なくなる可能性があります。
また、不動産ファンドの運営には、管理費用が必要であり、投資家に対する報告書作成や契約書保管など様々な費用があり、投資家はファンドの運営にかかる費用を負担しなければなりません。
その他、運用は専門家が行い、ファンドの規模や種類にもよりますが、出資者としては自身の投資対象等の意向が必ずしも反映される訳ではなく、専門家に任せても運用が想定したとおりにいかないケースもあると思われます。
さらに、不動産ファンドが仮に破綻するなどの事象が発生した際は、配当金がもらえないリスクや、ファンドによるものの売却制限等の措置が講じられているものもありますので、重視すべきリスクと言えるでしょう。
5.不動産ファンドの投資対象
不動産投資ファンドにより投資される不動産の対象は、一般的にマンションやアパートなどのレジデンス、オフィスビル、ホテル施設、商業施設、物流施設、その他、医療施設など、全ての不動産が対象となります。
6.不動産ファンドの収益
(1)賃料収入
不動産ファンドの収益として、まず賃料収入があります。
対象となるレジデンスやオフィスビルなどを個人や事業者に賃貸し、受け取る家賃収入のこととなります。
こうした収益はインカムゲインと呼ばれ、保有する資産によって安定的に得られる収入です。
インカムゲインは、比較的安定した収入である点が特徴であり、一定の入居者を確保することで、定期的に収益が発生します。
(2)売却益
不動産ファンドの収益としては、次に購入した不動産を売却した際に得られる売却益があります。
こうした売却益はキャピタルゲインと呼ばれ、不動産価格の上昇や、投資した不動産の収益性を高めることにより当該不動産の資産価値を上昇させることにより、より高い価格での売却益が期待できます。
このように、不動産ファンドでは、賃料収入と売却益の2種類の収益パターンががありますが、基本的には賃料収入の確保が目的とされ、投資状況やポートフォリオ戦略により、不動産の売却を検討していくことが多いようです。
また、不動産の中でも建物部分は、月日が経過すればするほど資産価値は低下するため、リノベーションなどにより不動産価値を維持もしくは向上させ、より収益性を高める工夫が必要となります。
7.まとめ
このように、不動産ファンドでは、投資者が個人か法人か、もしくは投資金額、投資期間、投資目的などにより、投資対象とする不動産ファンドの選定が異なってくるかと思います。
このため、投資金額はどれくらいにするのか、投資リターンはどれくらいを狙うのか、流動性はどこまで求めるのか、リスクはどこまで取ることができるのか等、様々な検討を行った上で、自身の要求に見合った投資先を見つけていただければよろしいかと思います。
今回の「当社グループの事業についての考察(不動産事業 その3/不動産ファンド)」は以上となります。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後とも、イントランスをよろしくお願いいたします。
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