
趣味としてのアートについて
アート鑑賞という楽しみ
今回は趣向を変えて、徒然に趣味について書いてみたいと思います。
私はかなり多趣味・・・というより、どれも広く浅く手を出してしまう「趣味の器用貧乏」タイプです。バイク、音楽、読書(特に歴史)、食、カフェ、映画、旅行等々。
人生が3回あっても消化しきれないほどやりたいことがあります。その中のひとつがアートです。
そもそも「アートとは何か?」という問いに明確な答えはありません。誰かがアートと言えば、それはもうアートなのだと思います。いまこの原稿を書いているPCにもデザインの面でアート的要素がありますし、マウスやキーボードも立派なアートになりうるでしょう。
ものすごく狭い定義では、美術館やギャラリーで「鑑賞するために用意された人工物」と言えるかもしれません。ただ、お寺や仏像もアートなので、この定義はかなり大まかなものです。
そんなことを考えつつも、私はアート鑑賞が好きです。作品そのものを眺めるのも楽しいですが、作品の背景や作者の想いを想像するのもまた一興です。
アートの世界にはほぼ無限ともいえる広がりがあります。縄文土器もアートですし、日本の古美術もあれば西洋絵画もあります。こうした無限の広がりを「ある視点」で切り出し、提示してくれるのが美術館の展示です。
宇宙を感じる中国陶磁
私は幅広くアートを鑑賞しますが、特に好きなのは中国の宋代から明代にかけての陶磁器と、江戸時代初期から中期の日本美術です。
中国の昔の陶磁器には、ひとつの作品の中に宇宙があると感じます。例えば、永楽帝の時代(明の初期)に作られた青花(染付)磁器は、細かい文様と大胆なデザインのバランスが絶妙で、時を超えた美しさを持っています。実際、当時の中国の陶磁器は世界的に影響を与え、日本の有田焼やヨーロッパのマイセン磁器にも大きな影響を与えました。
(参考:https://theme.npm.edu.tw/exh106/yongleporcelain/jp/page-2.html)
東洋と西洋の影響の交差
モダンアートの展示もよく観に行きます。モダンアートといっても、過去のアートに影響を受けた作品が多く、その系譜を追うのも楽しいものです。意外と西洋と東洋も影響し合っていて、そのつながりを発見するのも面白いです。
例えば、日本の浮世絵の青色(ベロ藍)は、実はドイツの化学技術が関係しています。18世紀末にドイツで発明された人工顔料「プルシアンブルー」が日本に伝わり、葛飾北斎や歌川広重の作品に使われるようになりました。その鮮やかな青が、浮世絵をさらに魅力的なものにし、ゴッホをはじめとするヨーロッパの画家たちに影響を与えたのは有名な話です。
美術館を歩くという贅沢
専門的な知識が私にあるわけではありませんが、美術館をゆっくりと歩きながら作品を眺めていると、それだけで一日が終わります。
東京は、飽きることを許してくれないほど、次々と新しい展示を企画してくれる都市です。隠遁生活に入ったら、アート鑑賞をメインに据えて過ごすのも悪くないと思っています。
もちろんコスト削減のために地方移住も考えていますが、どうしてもアート系の企画は東京に集中します。美術館巡りを楽しむためには、やはり東京に住み続けるのがベストかもしれません。
結局のところ、人生もアートと同じで「自分がどう見るか」がすべてです。自由気ままに、自分の感性の赴くままにアートを楽しんでいきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。