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燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)の使用

ロシアの燃料気化爆弾(FAE)、あるいはサーモバリック爆弾の使用が報じられています。

ウクライナのマルカロワ駐米大使は2月28日、ロシア軍が戦術核兵器の次に殺傷能力が高いとされる燃料気化爆弾(サーモバリック爆弾)を使用したと公表した。燃料気化爆弾は周囲の酸素を取り込んで猛烈な爆風と高熱を発生させるものだ。

日本経済新聞、2022年3月9日朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO58913310Y2A300C2EA2000/

ロシア国防省もそのことを認めました。

ロシアによる燃料気化爆弾の使用状況について、こちらでもレポートが出ています。


FAEの使用が特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)議定書III(焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(1980年採択、1983年発効)(原文))に反するかは論点になっています。ロシアも同議定書の加盟国です。

第一条 定義
この議定書の適用上、
1 「焼夷兵器」とは、目標に投射された物質の化学反応によって生ずる火炎、熱又はこれらの複合作用により、物に火炎を生じさせ又は人に火傷を負わせることを第一義的な目的として設計された武器又は弾薬類をいう。
(a) 焼夷兵器は、例えば、火炎発射機、火炎瓶、砲弾、ロケット弾、擲弾、地雷、爆弾及び焼夷物質を入れることのできるその他の容器の形態をとることができる。
(b) 焼夷兵器には、次のものを含めない。
(i) 焼夷効果が付随的である弾薬類。例えば、照明弾、曳光弾、発煙弾又は信号弾
(ii) 貫通、爆風又は破片による効果と付加的な焼夷効果とが複合するように設計された弾薬類。例えば、徹甲弾、破片弾、炸薬爆弾その他これらと同様の複合的効果を有する弾薬類であって、焼夷効果により人に火傷を負わせることを特に目的としておらず、装甲車両、航空機、構築物その他の施設のような軍事目的に対して使用されるもの
第二条 文民及び民用物の保護
1 いかなる状況の下においても、文民たる住民全体、個々の文民又は民用物を焼夷兵器による攻撃の対象とすることは禁止する。
2 いかなる状況の下においても、人口周密の地域内に位置する軍事目標を空中から投射する焼夷兵器による攻撃の対象とすることは禁止する。
3 人口周密の地域内に位置する軍事目標を空中から投射する方法以外の方法により焼夷兵器による攻撃の対象とすることも、禁止する。ただし、軍事目標が人口周密の地域から明確に分離され、焼夷効果を軍事目標に限定し並びに巻添えによる文民の死亡、文民の傷害及び民用物の損傷を防止し、また、少なくともこれらを最小限にとどめるため実行可能なすべての予防措置をとる場合を除く。
4 森林その他の植物群落を焼夷兵器による攻撃の対象とすることは、禁止する。ただし、植物群落を、戦闘員若しくは他の軍事目標を覆い、隠蔽し若しくは偽装するために利用している場合又は植物群落自体が軍事目標となっている場合を除く。

焼夷兵器の使用の禁止又は制限に関する議定書(議定書III)

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