東北6県、『ココロイキルヒト』探訪レポ | #04 伊藤真結さん(AKIU SCHOLĒ 代表)
みなさん、こんにちは!
INTILAQメンバーの神尾です。
東北のココロイキルヒトの活動拠点をINTILAQメンバーの神尾が訪ねる『東北6県、「ココロイキルヒト」探訪レポ』
第4弾となる今回は、
伊藤真結さん(AKIU SCHOLĒ 代表)の活動拠点にお邪魔してきました!
[ココロイキルヒト紹介]
AKIU SCHOLĒ 代表 伊藤真結さん
大学卒業から8年間、宮城県内の高校にて数学教師として勤務。増つづける10代の自死の理由として学校問題があること、学力によって生徒が評価され序列化されること等、「学校」のあり方に疑問を感じ、2020年に生徒たちが自分自身と向き合い、たくましく人生を切り拓いていけるようサポートを行なっていく学校「AKIU SCHOLĒ」を開校。「すべての人が、自分の心に正直に挑戦し、輝ける社会」をvisionに掲げ、学校創りをしている。SIA2019卒業生(共感賞受賞)。
「AKIU SCHOLĒ」 HP
伊藤さんのSIA発表動画↓
(奥羽の杜HPより引用(https://sendai-startups.org))
[探訪レポ | #04 伊藤真結さん(AKIU SCHOLĒ 代表)]
とある土曜日。「AKIU SCHOLĒ」開校日に合わせて見学に行ってきました。
授業が行われるのは、「Akiu-Canada(秋保カナダ)」という仙台市秋保町にあるキャンプ場内の建物の一室。
Akiu-Canada(秋保カナダ)HP
すぐ目の前には、川が流れていたり、森があったり。
そんな自然豊かな環境の中で、授業は行われます。
<授業の流れ>
11:30ー12:30 授業①
12:30ー13:30 自由時間
13:30ー14:30 授業②
14:30ー15:00 チェックアウト
この日の授業テーマは、「伝える力」
『自分も相手も大切にできる"アサーティブ"なコミュニケーションができているのか?』
という問いから、様々なワークを通して、自身を内観していきます。
自分も、生徒さんと一緒になって授業を受けさせていただきました。
ワークは大きく3つ
①アサーションチェックシート
②アサーティブネス(伝える力)テスト
③感情インベントリ
①②のワークで、自分自身の「伝える力」を内観し、③のワークで「伝える力」を鍛えるという流れで進んでいきました。
[アサーションチェックシート]
5×3個の質問から行う性格診断テスト(下記の3つのタイプに分類)です。
・自分の気持ちは伝えられるが、相手の気持ちを汲むのが苦手な「アグレッシブタイプ」
・相手の気持ちは汲めるが、自分の気持ちを伝えるのが苦手な「ノンアグレッシブタイプ」
・相手の気持ちも汲め、自分の気持ちも伝えられる「アサーティブタイプ」
自分は、予想通り「アグレッシブタイプ」でした(笑)。
[アサーティブネス(伝える力)テスト]
30個の質問から、自身の「伝える力」を診断するテストです。
男性の平均値は「+11」とのこと。
自分はというと、、
なんと、「-12」、、
いかに、ひとりよがりの発信になっていたかを思い知らされました(汗)。
[感情インベントリ]
その日に味わった感情を10分間で書けるだけ書き出すと言う「伝える力」を鍛えるトレーニングです。
多い人だと男性で30個、女性で60個の感情を書き出せるそう。
(女性、凄いですね、!)
自分も書き出してみましたが、
「楽しい」「暑い」「きれい」・・・と、3つでストップ。
なんとか、10分間で18個を絞り出しました(汗)。
こんな、授業時間を過ごしながら、間には自由時間も。
自分は、中学生の生徒さん、大学生の見学の方と外遊びに。
・キャンプ場オーナーの方が設置したという"神様"を探したり
・笹藪の中を探検したり
・川で水切りをしたり
などなど。ただ、教室内で考えるだけでなく、遮るものの無い豊かな自然を思いっきり満喫しました。
最後には、チェックイン!
皆で、今日の学び・体験を振り返っていきます。
ひとりでワークをやるだけだと「ふ〜ん」で終わってしまいますが、みんなで体験・感想をシェアすることで、新たな気づきがあり、自分自身を見つめなおせたりと価値のある時間となりました。
<現場訪問を終えて>
"10代の自死。そのおよそ3割が学校問題です。
みなさんはこの数字を聞いて、多いと思いましたか?少ないと思いましたか?
私は、この数字が1%でも1人でもあってはならないと思っています。"
これは、SIA2019最終発表会での伊藤さんの言葉です。
自分は恥ずかしながら、最初にこの数字を聞いた時「7割は別な要因であることを考えると、相対的にみたら少ないのかな」なんて思っていました。
しかし、今回の訪問中、とても印象的なやり取りがありました。
それは、ワークの中で、伊藤さんが投げかけた問いをきっかけとしたある会話でした。
(下記やり取りの文言は伊藤さんのブログ記事より引用)
==========
伊藤さん:
「私は自分の気持ちを大げさに表現するよりも、ため込んでがまんする方だ。」
どのくらい当てはまりますか?
生徒さん:
ため込んで、どっかで吐き出すってこと?
伊藤さん:
ちなみに〇〇〇君は、ため込んだらどこで吐き出すの?
生徒さん:
ここ。(AKIU SCHOLĒ)
==========
このやり取りを耳にした時、
ふと、SIA2019での伊藤さんの言葉が頭に浮かびました。
"10代の自死。そのおよそ3割が学校問題です。
みなさんはこの数字を聞いて、多いと思いましたか?少ないと思いましたか?
私は、この数字が1%でも1人でもあってはならないと思っています。"
「社会起業家」「ソーシャルベンチャー」「ソーシャルインパクトボンド」などなど、社会課題をビジネスで解決しよう・それを支援しようという動きが広がってきています。
その中で、事業価値の判断材料として、重要視されているのが、『社会的インパクト』です。
▷その事業を通じて、どれだけ多くの子どもたちを支援できたか
▷その事業を通じて、どれだけ自死の割合が減ったのか
などなど、より多く・広く影響を与える活動が求められます。
その点から見れば、100%のうちの30%にアプローチをしようとする伊藤さんの事業より、70%に向けてアプローチをする事業の方が評価されるのかもしれません。
けれども、今回の訪問を通じて感じたのは、「定量的」な観点だけでなく、「定性的」な観点も重要であると言うことです。
"1%であっても、1人であっても、学校を理由に自分を見失い死を選ぶことがあってはならない"
"子どもたちが、自分だけの好奇心に突き動かされ、思いっきり生きられる環境を作りたい"
という熱い想いを持つ伊藤さんがいて、
100人、1,000人というような大きなインパクトはなくても、
今、目の前にいるその1人の子どもの心のよりどころになっている
そんな場「AKIU SCHOLĒ」があるということ。
それ自体が、大きな『社会的インパクト』であるのだと思った1日でした。
ライター | 神尾真大郎
2019年に岩手大学農学部を卒業後、岩手県内の2市町3温泉地9旅館で運営されている観光DMC((株)いわてラボ)に就職。事務局担当として、商品開発業務やイベント企画・運営業務に従事。その他、同年12月からは、大学時代に参加していた起業家塾OB・OGらとweb開発や人材育成講座を実施する(株)カルティべを創業し取締役として活動。
2021年からは、東北エリアにて社会起業家の育成・支援を展開するINTILAQに参画。プログラム担当として、社会起業家育成プログラムやプロボノプログラム等に関わる。