見出し画像

2/14(金)タイミーのせいで加速する?ガキの安易な闇バイト。

ここしばらく、単発のバイトを探している。

その結論として、ぼくは「ガキは闇バイトするだろ!」と思った。

現状

ぼくは去年から、昼に出版社で働き(週3)、深夜にバーで働き(週1〜2)、あとは大学院に行く(平日の夕方〜夜)、というような生活をしていた。

けれども、年が明けてからバーへの勤務が激減し、事情は割愛するが2月に至ってはいまだにシフトの希望を提出していない(本日、2月13日)。

そういうわけで、月収の3割ほどが減ってしまった。その分を補填するため、タイミーやショットワークスといったスキマバイトアプリで数時間、ないしは1日単位で働ける仕事を探している。やったことのないいろいろと思うところがあった。

タイミーは無資格、無経験者に不利

チェーンの飲食店での洗い場や、スーパーでのレジ打ち。タイミーといえば、そんな職場での短時間勤務がイメージされるのではないだろうか。

しかし、最近のタイミーは違う。

一枚目、勤務時間1時間で1,000円いくらの仕事だ。内容としては主に「説明会」。たとえば「営業アシスタント募集!」の案件なら、対面、オンラインのいずれかで担当者から営業アシスタントとして「長期の就業を前提とした」業務の説明を聞き、もし条件が合えばスキマバイトではなく正規のバイトとしての就業するのだ。要は長期で働くための面接を金払って集めている、ということ。

この亜種として「無料で就活相談」というのもある。就活エージェントをやっている会社が「25卒・26卒の大学生、大募集!」といった売り文句でやはり1,300〜1,600円程度の給料で募集をかけている。そこで担当者から「就活をどれぐらいやっているか」「どういう業界を目指しているのか」などと質問され、そこから就活エージェントサービスへの登録へと誘導される。

ちなみにぼくは今日、これに応募していたのだが時間の関係上、開始時間に外にいるしかなくなってしまい、強風が吹き荒ぶなか面談を受けようとしたところ「またにしましょう」と断られてしまった。

全然、外でやっても良かったが?

やさしいね

これらの「面談系バイト」はいずれも1,000いくらなので、交通費を差し引けば大した金額にはならない。そのうえ、大量に求人を出しているように見えるが、たいてい同じ企業の案件なので何度も応募することはできない。はした金をコツコツ稼ぐ、という方法が取れないのだ。

二枚目、こちらは給料こそ高い。しかし、内容を確認すると整備士、理学療法士、ソムリエ、美容師などの専門職が募集されている。専門的なスキルや資格が必要な、一般人にはできない仕事だ。こういった案件の求人は大量に出ているが、当然ながらほとんどの人間は応募できない。

「なるほど、この業界ってタイミーに応募しないといけないぐらい人手が足りないんだな……」ということを察せるのは面白いが、そんなのは1、2度で飽きる。そんなのどうでも良いからぼくに仕事をくれ。

また、特別な資格こそ必要ないが、誰でも応募できるわけではない案件も多くある。たとえば、チェーン店の就業条件に書いてありがちなのがこういった文面だ。

特定のバイト経験やタイミーでの実績がなければ、応募できないのだ。資格が必要な案件よりはマシだが……低いハードルとは言えない(コンビニやファミレスでの就業経験を求めるものも多いので、そういうのならまだ……残念なことにぼくは該当しないが)。ちなみに、ぼくは知らないが数年前はこういった飲食ホールなどの案件が大半だったらしい。

しかし。

そもそも、こういった仕事は、資格や経験といった生産手段をすでに持っている人間のためにあるものなのだろうか?

何の資格も、経験もないような人間であっても、とりあえず働くことが出来るような仕事であるべきではないのか。

ただし、「その日の夜に勤務するわりと誰でも入りやすい案件」などが当日朝にばーっと増えるようなことはある。急遽人手が欲しくなったのだろう。これ幸いと入れれば良いのだが、すでに他の案件(それも採用が厳しい)に応募して選考中だったりすることも多い。結局そちらも落ちてしまい、もっと早く出してくれていれば……!と感じることは珍しくない。

……こういった現状はこれはタイミーだけの話ではない。たとえば「LINEスキマニ」もこんな感じだ。同じような企業が求人を出しているのだろう。

余談だが、スキマニでは以前すこしユニークな求人があった。

好きなスイーツを食べるだけで10万円……この「#だけバイト」は他にも「映画を見るだけ」「ラーメンを食べるだけ」といったパターンもあった。文面だけ見ると怪しすぎるが、以下の記事によれば本当に10万円もらえるらしい。


では、タイミーやLINEスキマニといった割と有名どころ以外のスキマバイトアプリはどうなのだろうか?……と考えて色々見てみたが、やはり初めから長期勤務を希望する者や、資格や特定のスキルの保有者に対象を絞ったものが多かった。

人材派遣系も状況はあまり変わらず

少し違うのは、人材派遣会社や引越し・運送業者が出している求人を多く出しているアプリだ。「shot works」「ゴーゴー バイト」などがこれにあたる。

タイミーなどが「学生が暇なときに小遣い稼ぎで働く」ものだとすれば、こっちは本業として働いているひとも多い。日雇い派遣で生活している労働者、流行りの言葉でいえば「スポットワーカー・ギグワーカー」だ。

ぼくが先日、東京ビッグサイトでの会場準備仕事で一緒になったひとも「明日も同じ時間にここ来なきゃいけないんだよ」と言っていた。同じ現場になったひとたちも半分ぐらいは知り合い同士だったようで、それなりに長い付き合いに見えた。同じように、主に肉体労働の日雇いで生活費を稼いでいるのだと思う。

そういった仕事は、何か応募に際して経験を求められることは少ない。もちろん、求められることがないというだけで当然近しい仕事の経験があれば、役に立つ。備考欄などでアピールするのも良いかもしれない。

ぼく自身、未経験ながら午前中に清掃がやりたかったのでかなり無限に応募し、

不採用が続いたので、備考欄で大嘘をつき

ダメでした。なんだよ。

そういうわけで、アピールしたとてあまり意味はないのかもしれない。やはり、こちらも経験者優先なのだ。もちろん、基本的に雇う側だって楽に利益を得たいのはわかる。経験豊富で、どうすれば良く仕事を進められるか把握している者を雇いたいだろう。……わかるが、最初の一回をやらせてもらえない限りこちらはいつまでも未経験のままだ。

また、タイミー等と違って明らかに「労働者をなめている」。働き先で出会った方も「大宮の事務所はふざけてる」と苛立ちをあらわにしていた。たとえば、一度採用された仕事を向こうの都合でキャンセルされたりすることもあるのだ。

アプリが不調で途切れ途切れに連絡を送った

それに、彼らは突然電話をかけてくる。口調こそ丁寧だけれど、突然電話をかけてきて明日空いたけどどうか、などと聞いてくる。それはある意味親切かもしれないし、確かに助かることはあるのだが、一方でそこに扱いの雑さを感じることも事実だ。

……少し話を戻す。現状「経験も資格もスキルもない」ついでにいえば「長時間の体力仕事に応募する度胸や自信がない」人間にとって、現在のスキマバイトというのは少し難しい。

後者に関しては「いや頑張れや!」と思われるかもしれないが……苦手意識のある仕事に気合を入れて取り組めるタイプの人なら、普通の長期バイトに問題なく就業できるのではないか、と思う。

資格や経験や根性がなくても働ける仕事ばかりであれ、とまでは言わない。けれども、現状ではあまりに「持ってないひと」に不利じゃないか、と思うのだ。そんな若者が「あーもうできる仕事ねぇじゃん!」と言いながら、Twitterで「#バイト」と検索をかけて闇の世界へ突入していく様子が容易に想像できてしまう。もちろん、闇バイトを肯定するわけではない……が、その導線の出発点にはこの「スキマバイトの有資格・有経験主義」が大きく影響しているのではないか。

想像力の欠如について

去年末、iLIFE!というライブアイドルグループのオタクが闇バイトに手を染めて逮捕された。


まず、この記事で最初に疑問なのは「イケメンなのに」というのは、どこにかかっている言葉なのだろうということだ。「イケメンなのに」アイドルにハマるなんて、なのか、「イケメンなのに」闇バイトをするなんて、なのか。

イケメンがアイドルにハマることも闇バイトをすることもあると思うで、どちらにしろよくわからないが、本題ではないためそれは置いておこう。

この事件の反応として「闇バイトで作った金でチェキを撮っても推しは喜ばないぞ」という類のものがあった。ぼくもそう思う。正確に言えば、人間は

「この人にとって、自分の存在は負担になっているのだ」と感じたとき、そこで嫌悪とは微妙に異なる種類のネガティブな感情を抱くのではないか、と考えている。

自分は何もしていないにも関わらず「お前がいるせいだ」と責められているような気がする。と同時に「たしかに自分がいなければこの人はこうならなかったのだ」と、確かにその責めを負わなけばならないような気もする。そんな、突然の「責任」がのしかかってしまったひとは、その原因となった対象──それは例えば「自分への推し活をするため犯罪を犯したオタク」──に、当たり前だが良い感情は抱かない。

しかし、ぼくはそんなオタクに「推しのためにここまでする俺」と酔っていた可能性を見る。推しのために一線を越えること、そんな自分へと自己陶酔するあまり、その事実を知った相手の心情を推し量ることをしない想像力の欠如があると思う。

そして、この「想像力の欠如」あるいは「無責任」さを、ぼくはここまで批判的にレポートしてきたスキマバイト・人材派遣の運営についても感じる。

彼らは労働者のことを「なめている」し、その帰結として闇バイトへと走る人間の存在などはもちろん想像していないし、ニュースで見る「闇バイト」事件の報道を見たとしても、自分たちの責任が一端でもあるかもしれない、という可能性を彼らが想像することはないだろう。

とはいえ、ぼくも散々スキマバイトアプリの恩恵を受けている。けれども、それは問題だと感じた事実を否定する理由にもならない。

というわけで、これから渋谷の居酒屋で皿を洗ってきます。さようなら。

おまけ

山梨で募集しろ

いいなと思ったら応援しよう!