HOTALOOP東名阪ツアーファイナル『夢一期』in 東京 全12,000字イベントレポート&感想──覚めても消えない夢の続き。(前編)
鋭く感性豊かな情感溢れる歌声と、緩急のついたダンスが綺麗な“HOTALOOPの歌姫”麗月ある、長い手足を使った身体表現とコロコロ変わる朗らかで柔らかい表情が魅力の“照れ屋な高身長”愛瀬あおいの二人で構成されたアイドルグループ、HOTALOOP。
4/5は、その二人による現体制最後のライブでした。麗月あるは卒業、グループ自体も7/27の新体制お披露目まで一時的に活動休止となります。また、このライブはHOTALOOP初の東名阪ツアーのラストを飾る東京公演です。名(古屋)も(大)阪も行っていない自分が何を一丁前にライブレポートなど書いているんだ……!とは思うのですが、そこは勘弁して欲しいです。
それに、あんな良いライブだったんだし誰も書かないのはもったいない!!というわけで、まだ追い始めて日の浅い自分がなんか色々書いています。
より感情のこもった叫びは、ずっと追い続けてきたファンたちがTwitterで書いてくれているはずです……!この記事はあくまで、新参視点のライブレポートだと思って読んでもらえたらと思います。
最初は会場となったClub Asiaについて書いているので、ライブ本編の感想を読みたい場合は「ステージ」まで飛んでください!
それでは、どうぞ。
会場
Club Asia
なんだこの瓶……。
あっ
ハブ酒だ……。
Club Asiaのバーカウンターでは、ハブが漬け込まれていました。驚きです。ドリチケと交換でハブ酒が飲めるのでしょうか。見たところメニューにはなかったので、こいつはとりあえず漬けるだけ漬けられているみたいです。可哀想。
ハブ目撃から少し前に時間を戻しましょう。僕が会場についたころ、外にはもう20人弱のお客さんが並んでいました。半分くらいは見知った顔で、この人たちが一緒に最前でペンラを振るのだなぁ……とどうでも良いことを考えていると、目の合った一人が笑顔で会釈してくれました。
最近、ちょっと他のファンの方たちと仲良くなりつつあります。思えば二度目の現場に行った際、マネージャーの若林さんに「皆良い子たちだから仲良くしてあげて〜」と言われ、他のHOTALOOPファンの集まっているところへ連れて行ってもらい「なんか転校生みたいな待遇だ……!」と思ってから、だいぶ経つんですね。
自分は「最前+2人からのお手紙つきチケット」を取っていたので、一番最初のロットで入りました。入り口で手首にリストバンドをつけてもらい、事前にメンバーから書いてもらっていたお手紙を受け取ります。中はこんな感じ。
せっかくなので早速フロアに入ってみます。
club asia、かなり天井が高かったですね。おかげで正面の壁(旗が掲げてあるところですね)に、かなりたくさんの照明が設置されていた印象です。また、HOTALOOPのステージでは使われていませんでしたがスポットライトにかなりインパクトがありましたね。
斜めではなくほとんど頭上から射していたのですが、これを普通のハコでやろうとすると演者は熱いし眩しいし、あまり綺麗に見えないはずです。ただ、club asiaだと照明からステージまでの距離がかなりあるので真上から射してもあんまり問題がない。ここでライブをやるなら、スポットをつかわないともったいない感じがしますね。
とはいえ、フロアで内装を観たり、バーカウンターでハブを撮影したりしていただけではありません。
今回、終演後物販での混雑が予想されるということで、開演前物販が開かれていました。今回あるさんは卒業、あおいさんもHOTALOOPとしては活動休止となるので当然ですね。
自分は普段あまり物販を買う方ではないのですが、今回はいつもより枚数を買いました。個別撮影券(サインつきチェキ+トーク)をあるさん3枚、あおいさん2枚、ついでにランチェキも1枚ずつ購入しました。
では、そろそろフロアに戻ろうと思います。
ステージ
今回、出順としてはHOTALOOP(1回目)→Noreco→透明写真→遥か、彼方。→可愛いって言わないと呪う!→HOTALOOP(2回目)という感じです。自分はすべてのグループを鑑賞したので、一つずつ感想を書いていこうと思います。
フロアでぼーっとステージを観ている途中、ふと振り返ったら推しが2mぐらい先に立って同じくステージを観ていたのでびっくりしました。びっくりして0.5秒ほど挙動不審になったのですが、気づかれたかな……?気づかれていないと嬉しいです。
それではどうぞ!
HOTALOOP
ステージのくだりで「club asiaには照明が多い」と書きましたが、HOTALOOP入場の際も照明が効果的に使われていました。
HOTALOOPのロゴには青&白と青&黄色の2パターンがあるのですが、SEが流れているときの照明にそれが反映されていたんですよね。青と黄色が一斉にわーっと点滅したあと、黄色が白に変わってもう一度綺麗に輝く。最後に青が消えて白のみで発光し、HOTALOOPの二人が入ってきました。
1曲目は夏夢。あおいさんが作詞を担当した、奮起して新たな道に進む心情を描いた楽曲です。2曲目はユメ途上。今回は「夢一期」ですから、スタートにはバッチリです。二人が向き合って顔を見る瞬間があったのですが、そのときあおいさんの表情がなんかいつもと違った気がします。いや、なんとなくそんな気がしただけですが……。
そしてMC。
「HOTALOOPの東名阪ツアー「夢一期(ゆめいちご)」に来てくれたみなさん」……。
「ゆめいちご」!?
……最初に書いた通り、僕は今回の東名阪ツアーのうち、名阪には参加していません。ファイナルの今日が初めてです。なので、これまで「夢一期」が発音されるのを聞いたことがありませんでした。
「ゆめいっき」じゃないの!?
……僕は、こう思っていました。
「「夢一期」!HOTALOOPは何かと「夢」に縁のあるグループだし、夢一期ってのは良いね〜!でもちょっと居酒屋チェーンっぽいな!!魚民、白木屋、山内農場、笑笑、夢一期……あんまり違和感がない。HOTALOOPがオフィスビットからモンテローザグループに移籍したら間違いなく名前は「夢一期(ゆめイッキ)」だ。ハイハイハイハイ!あるぴ〜?あおい〜?飲み干しちゃうから愛しいの?飲まなきゃ夢は始まらない!ループループループ♪ループループループ♪夢イッキ!!じゃん!」
何が「じゃん!」なのか。HOTALOOP夢イッキコールはさておき、僕は「夢一期」の読み方を間違えたうえ、勝手に「ちょっと居酒屋っぽいな」と思っていました。そんな二重の失礼から始まった今回のツアーファイナル。2曲歌ったあと、いったんHOTALOOPは退場して次のグループが出てきます。
Noreco
低音が響く〜!
この「低音が響く〜!」という感想、最初は全グループに書いていたのですが、読み返して「そんな全グループの低音が響きまくってる訳ないだろ……」と思い、よくよく振り返ってみると自分がスピーカーの真下にいただけでした。とはいえ、Norecoはアイド“ロック”グループ。本当に低音がビリビリしていて良かったです。
アイドロック
ぶっちゃけアイドルにもロックにも詳しくないので、その二つが掛け合わさったものが普通どうなるのかはよくわからないのですが、今回観たNorecoのステージは「なるほど!これがアイドロックか」と納得させられました。アイドル×ロックというよりは、アイドル+ロックみたいな感じがしますね。シンプルに「曲はロックなのに振りは完全にアイドルだ!」という印象。なんかさっきから当たり前のことしか書いてないな。
とはいえ、その二つを違和感なく一つのパフォーマンスに仕上げるのってすごく大変なんじゃないかなー、と思うんです。Norecoは「アイドルっぽくしたロックサウンド、も「ロック風にしたアイドルの振り」も使っていません。シンプルに「ロックサウンド」に「アイドルの振り」を合わせているように感じました。前者がさっき書いたところの「アイドル×ロック」です。そしてそれは、ちょうど折り合う地点が見つかれば案外できてしまうのではないでしょうか。
そうではなく「アイドル+ロック」……どちらの要素も削ることなく足し算でパフォーマンスを構築している。多分、振りだけ見ればアイドル要素しか感じないし、曲だけ聴けばロック要素しか感じないと思うんですよね。これはなかなか凄いのでは?と、観ていて思いました。
透明写真
なんかオシャレ……。
そんなふわふわした浅い感想だと、イベントレポートの意味がないのでもうちょっと書きます。でもまず「なんかオシャレ……」というのが第一印象です。透明写真のファンは「レタッチャー」と呼ばれているらしい。オシャレすぎる。
音楽のジャンルとしてはテクノとか、エレクトロポップです。3人いて、テクノっぽくて……とかいうと「へー、Perfume?」と言われそうですが、そういう感じではなかったです。Perfumeはかなり未来的、SF的な印象のあるアーティストですが、透明写真はなんというか……たとえるなら「妖精っぽい」感じです。フェアリッシュ。そんな言葉ないか。無いなら提唱していこうと思います。フェアリッシュです。
フェアリッシュ
この印象を強めているのは、おそらくスノーホワイト担当のRINさんではないか、と思います。声が3人の中でもわりと特徴的で、声質はいわゆるウィスパーボイスっぽいのに発声は囁くような感じではない……という、ちょっと変わった聞こえ方をしていたんですよね。これぞ「フェアリッシュな歌声」つまり「妖精が歌っているような」という意味です。早く「フェアリッシュ」を世界に広めたい。
とはいえ、妖精というのは単にフワフワニコニコしているだけの存在ではありません。人間に悪戯を仕掛けたり、ときには洒落にならない罠に嵌めて楽しむ怖い一面もあります。僕が「透明写真」のステージに妖精っぽさをイメージしたのは、その一面も含めてです。
というのも「無邪気な妖精さん🧚」みたいな感じで歌っている曲もある一方で「人を惑わす魔性の生物😈」感がある、蠱惑的なパフォーマンスもあったからです。人魚が美しい歌で船乗りを惑わして遭難させる、そういう感じでしょうか。二つの面はわりと明確に照明でわけられていた印象です。緑が前者、紫が後者。どちらも好きでした。
遥か、彼方。
ポカリスエットのCM〜!
ポカリスエットのCMです。夏、青春、エモみたいな。
「正統系楽曲派」の名の通り、これは王道のアイドルだ〜!と思わせるステージでした。具体的には、乃木坂や欅坂的な系譜だなということを強く感じました。ひとことで言うと「ちょっと演劇っぽかった」です。
演劇的なアイドル
乃木坂46は「ダンスを通じて「劇を演じる」ことによってひとつの作品を提示する」ということがコンセプトとして掲げられています。また、欅坂46は「サイレントマジョリティー」から「黒い羊」に至るまで、基本的に平手友梨奈を主役に据えた一つの物語として読むことができるでしょう。
いずれにせよ、乃木坂、欅坂は両方とも「歌を通じてある世界観を演じる」アイドルグループであり、彼女たちが2010年代後半のアイドル界を牽引した事実は、現代女性アイドルの王道をそのような性質に塗り替えたということでもあります。そんな、乃木坂&欅的な「演劇性」とでもいうべきものを「遥か、彼方。」にも感じました。そういうわけで、彼女たちは現代のアイドルとして正統系以外の何者でもないだろう、と思うわけです。
具体的にはまず、楽曲中に頻繁に入るモノローグ風のセリフです。もちろんアイドルの楽曲に台詞が入ることはままあるのですが、どちらかといえば「聞き手に語りかける」タイプの台詞が多いと思います。ただ、今回聞いた限りだと「遥か、彼方。」の台詞は「歌詞の主人公がその内心を語る」といった趣旨のものが多く、これのおかげで楽曲がぐっと物語チックになっていました。
主に台詞パートを担当していた山下千晶さんの語り方も上手かったなぁ、と思います。欅坂で平手友梨奈が担っていた役割を、ここでは山下さんが引き受けているのではないでしょうか。髪型といい、明確に意識しているのかも?と思います。
あとなんか、突然スイカ割りが始まっていました。スイカ割り・オンステージ、これが演劇性です。
可愛いって言わないと呪う!
なんか大きい……!!
「可愛いって言わないと呪う!」(以後「かわのろちゃん」)さん、なんか実際より大きく見えたんですよね。もちろん、衣装がふわふわしているといった理由もあるんでしょうが、同じ人数で立っていた「遥か、彼方。」と比べて、明らかにステージの占有度が多いように感じました。
かわのろちゃんたちは別に、体格的にはまったく大きいとかではありません。にも関わらず、やたらデカく見えた。存在感、パフォーマンス力はもちろん、単純に平均的な声量やダンスでの可動域が圧倒的だったということではないか、と思います。特にダンスで目を惹かれたのは舞白ゆきだまさんです。すごかった。
「可愛い」って?
女性アイドルは「可愛い」と切っても切り離せない存在です。とはいえ、その「可愛い」には主に二種類ある、と僕は考えています。一つは、自分以外(主に男性)の基準に基づく「可愛い」、そして二つ目は、自分の基準のみに基づく「可愛い」です。
おそらくですが、旧来的なアイドルは基本的に前者の「可愛い」を担う存在だったはずだ、と思います。簡単に言えば、運営陣をはじめとした大人や、主に男性ファンにとっての「可愛い」存在であることを求められてきた。
逆に言えば、彼女たち自身が「可愛い」と思っても、「女の子らしくない」「それはアイドルの「可愛い」ではない」といった理由で却下されてきた歴史がある、のではないでしょうか。(たとえば、アンジュルムの笠原桃奈さんが、スタッフやファンから「リップが濃すぎる」と指摘され、「これからは年相応を目指します笑笑」とブログに書いた件などが思い出されます。)
かわのろちゃんたちがまとう「可愛い」は、そうした他人基準の可愛さではないように思います。彼女たちのステージから連想したのは、ちょうど電車内で読んでいた「ロリータファッション」のWikipediaでした。
かわのろちゃんたちの「可愛い」は、↑に通ずるものがあるのではないかな?という気がします。原色チックでド派手な衣装に、チークの目立つ真っ赤な頬といったビジュアルは、女性アイドルがそうあるべきとされてきたような「可愛い」とは少しズレたところにある(あるいは「イロモノ」としてしか許容されてこなかった)のではないでしょうか。それを正面切って叫び、エネルギッシュに「可愛い」を表現するかわのろちゃんたちは圧巻でした。……というか、本当にエネルギッシュでしたね。ステージを観たあと、試合後のように充実した疲労感がありました。試合とかって、したことないからわかんないですけど。
だからめっちゃ良かったです。可愛かったし。可愛いー!
※追記 かわのろちゃんの公式Xのbio欄に「可愛いは"私"を救う!!」とありました。あながちここで書いたことも間違っていないのかも……?
HOTALOOP(2回目)
三日月猫、ループ&ループ
2回目のステージでは、比較的盛り上がりやすい2曲が選ばれていました。やはり今回、終盤は多少湿っぽくなってしまうことが必至なので、この辺りのコールやジャンプが多めの湧きやすい曲がセトリに組み込んであったのは嬉しかったですね。そして、めちゃめちゃ盛り上がってました……これ、結構かわのろちゃん効果というか、完全にボルテージが上がった状態でHOTALOOPのステージが始まったのも功を奏したのだろうと思います。最前ももちろんですが、後ろの他グループファンの方々がたくさん声出しをしてくれていましたね。
メンバーも同じく、ジャンプの合図を出すあおいさんの声が、心なしか大きく、ややうわずっていた気がします。これで最後なんだな、と思って寂しくなりましたね。
次の楽曲、プロローグとアンコールの2曲で現体制HOTALOOPのステージは終了です。
とりあえず、ここで前編は終了します。後編では、ステージ後に行われた特典会、最後のMCおよびプロローグとループ&ループ、あと個人的な話として手紙について書こうと思います。
後編はこちら!