中島みゆき「Tell me sister」
久々にnoteを書こうと思い、はじめてお題を募集しました。
リクエストは「持ち前のマニアックな知識を周囲がおいてけぼりになるまで語ってほしい」というものでした。
リクエストした方とはじめてお会いしたのは2年以上も前の初夏。鋭い指摘をしていたのを今でも覚えています。「大学ってこんな人いるんだ」と驚きましたが、発言や思考がおもしろくてまた話したいと思う方です
さて、周囲に圧倒的な差をつけられる知識は「中島みゆき」これにつきると思います。中学生からはまりだし、アルバムはすべて聞き、現在ウオークマンの総曲数の20%は彼女の曲です。
私の思春期そのものであり、つまりは中二病といった"黒歴史"でもあるのですが、リクエストした人はたぶん気にしないし、むしろそういうのを求めていると思うのでこのままいきます。
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中島みゆき「Tell me sister」というのは2000年に発売されたアルバム「短篇集」の中の1曲です。短篇集はライブCDとか、ベスト盤とかを除き現在40以上アルバムを出している彼女の28作目です。
今でこそ有名な「地上の星」「ヘッドライト、テールライト」も収録されていますが、発売当初はそこまで人気ではなかった。NHKの「プロジェクトX」の主題歌になり、2002年の紅白歌合戦から売れ始めたらしい。
今でこそ映画化もされた「糸」、 朝ドラの主題歌「麦の唄」など、まっすぐな愛の歌、市井の人への力強い応援歌の印象が強いですが、初期の(1970年代~80年代前半)の中島みゆきは暗い曲が多い。失恋、諦め、嫉妬、虚無、冷笑、絶望、悲哀。自分のゲスな感情を吐き出してくれるような感じがして嫌いではないです。
代表曲は「わかれうた」「時代」「うらみ・ます」など
80年代中頃からいわゆる「ご乱心の時代」と呼ばれる転換点を迎えます。
このころのアルバムを聴いてみると確かに曲調が変わっていて、若かった頃のとんがった”負の感情”も複雑になってきたんだなと感じます。個人の感想ですが。
そして90年代。このころから力強い応援歌、強烈でまっすぐな愛の歌が多くなります。空前絶後のCDの絶頂期。中島みゆきの曲もドラマの主題歌に使われるなどして大ヒット。未だにカバーされ続ける「糸」は92年の発売。(ドラマ「聖者の行進」の主題歌でした)
そうした大ヒット曲が次々世に送り出される中、「Tell me, sister」が誕生します。あまり知られていませんが、ファンの中では人気の高い曲です。
「糸」「空と君のあいだに」「地上の星」といった”大衆むけ”の曲とは少し違い、コンプレックスを抱えた女の子が主人公になってます。
以下、解釈は個人の見解です。公式の解釈はありません。
自分が嫌いな女の子。もう少し整った外見だったらだいぶましな人生を送れただろう。そんなときに「すべてそなえた彼女」に出会います。
いますよね、いろんな才能を保持している人って。たいしたしくじりもせずに人生うまいことやってそうな人って。
「そのままでいいのに」と「すべてそなえた彼女」は主人公にいいます。その上性格もいいんですよ。こういう人って。勝てない。
しかし2番に入ると、彼女はこの世にいないという事実が発覚します。
ええ?なんで?主人公は戸惑います。あんなに完璧だったのに。そういえば「何もない」って言ってたな、、、
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彼女は何かを抱えていた。誰にも相談できないようなコンプレックスか、重い病を抱えていた。
完璧だと思ってた人でさえそうなのだから、みんなコンプレックスを抱えていて、それを隠しているだけなのです。たぶん。
中島みゆきは歌の才能があり、多くの人を勇気づけました。そんな人でもこうした歌詞を書くほどなのです。
コンプレックスを抱えるのは普通です。簡単に解決できませんが、「独りではない」その事実に、だいぶ気持ちが軽くなる人も多いんじゃないでしょうか。
こうした曲が嫌みでないのは、初期に暗い曲を多く書いていたからだと思います。若いときの、視野が狭いときの悩みが、こうした形で結末を迎える。
さてこの「tell me sister」ですが、サブスク未解禁、YouTubeにはカバーのみ。聞きたければCDを手に入れるしかないです。
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