「はっきり見えない夜が好き」公募インタビュー#8
〈葵さん(仮名) 2020年7月初旬〉
葵さんはインタビュアー田中のnoteの記事を読んで面白かったので、と応募してくださいました。話したいテーマは特にない、というところからスタートしました。
超インドア派
──では、こちらから聞いちゃっていいですかね。
葵さん はい。私は本当に普通の人間というか、何も特筆すべきことはないんですけど、大丈夫ですか?
──もちろんです。特筆すべき人の話を聞きたいわけではないので大丈夫です。年齢とか聞いても大丈夫ですか?
葵さん 大丈夫です。20です。
──お仕事とかされてるんですか?
葵さん 大学2年生です。
──ご趣味とかは?
葵さん 趣味…ですか、うーん。アニメ見たりしますね。
──ご自分でも絵を描いたりします?
葵さん 絵はそんなに。らくがき程度ですね。
──好きなアニメは何ですか?
葵さん いっぱいあるなあ…有名どころで言ったら、「コードギアス」とか「シュタインズ・ゲート」とかがパッと思い浮かびますね。(笑)わかんないですよね。
──私が全然最近のアニメを見てないんで知らないんですけど、「コードギアス」は名前だけ聞いたことあります。
葵さん ああ、有名ですよね。面白いですよ。めちゃくちゃおすすめです!
──これってテレビでやってたんですか?
葵さん いや、私が見たのはインターネットですけど、テレビでもやってたと思います。
──アニメは家にいる時間に見ている?
葵さん そうですね。超インドア派なので、家からほとんど出ないんですよ。だからその時に見たりしてますね。
──最近はコロナの影響で家にいる時間がさらに増えたと思うんですけど、自粛で家にいる間もけっこう見ていましたか?
葵さん ああそうですね、うーん。実はそんなに(コロナ前後で生活は)変わってないんですよね。
──今ってご実家ですか、一人暮らしですか?
葵さん 一人暮らしです。
──大学に行く以外はだいたいおうちにいますか?
葵さん 出るのはもう、食べるものを買いにスーパーに行く時だけみたいな。作り置きの料理とかできないんで、スーパーには3日おきぐらいに行きますね。
──バイトとかはなしですか?
葵さん バイトもしてないですね、今は。大学に入ってすぐくらいは、何回かバイトをやってたこともあるんですけど、すぐに辞めちゃいましたね。
姿かたちを見られたくない
──おうちにいるのが好き?
葵さん うーん、と言うよりは、外出るの、ちょっと微妙だなーみたいな、ありません?
──それは、どういった意味でですか?外に出ると何かよくないことが?
葵さん よくないことがっていうか、誰かと会うじゃないですか。なんかそれが嫌だなーみたいな(笑)。
──知らない人でも、誰とでも?
葵さん そうです。まあ、夕方? 夜になって暗かったら、けっこう気軽に出られるんですけど、朝とか昼とかは、うーー出たくないなって。
──ってことは、自分の姿を明るいところにさらしたくない?
葵さん そうなんですよ。あんまりわかってくれる人いないんですけど。
──自分の姿がはっきり見えない方が気持ち的に楽ですか?
葵さん はい。夜、人が通ってなくても、車のライトとかでピカーッてなると、うう…って感じになります。姿かたちがはっきり見えたかなみたいな。
──自分を自分で見るのはどうですか?
葵さん 自分の姿…どうだろう…鏡めっちゃ見る時と全然見ない時とありますね。
──自分では、自分の姿は好きですか?
葵さん いえ、そんなわけないです、嫌いです。自分…いやあちょっと好きになれそうにないですね。
派手目が好き。ヤンキーやギャルに憧れ
──見た目って、いろんな装飾とかで変えられたりするじゃないですか、カツラやメガネやお化粧、お洋服だったり。そういうのでいろいろやってみたりしますか?それとも全然しないタイプですか?
葵さん 人並みというかなんというか。顔がおとなしいっていうか、けっこう地味目な感じなんですよ。
なんで、なめられないようにけっこう派手目な服は着るんですけど、派手目な服が似合わないんですよね(笑)。性格的にも派手じゃないから、中身と外見がちぐはぐな感じがして、なんかいつもどうなんだろなーって思ってます。
──派手目な服が好き?
葵さん ああ、好きです。超好きです。小中学生の時、ヤンキーに憧れてたんですよ(笑)。ギャルとかヤンキー、かっこいいなーみたいな。
(自分は)なれなかったんですけど、憧れから、そこら辺の(人たちが着ているような)派手っぽいのが好きな感じがしますね。
──(そういう派手さとは)カラフルな感じ?
葵さん 露出度高めのギャルのお姉さんが着てるみたいな服あるじゃないですか。あんな感じですかね(笑)。
──(ファッションを)参考にしてる有名人とかいます?
葵さん うーん、有名人はイメージしてないですけど、どうだろ…最近はやりの、韓国ファッションってあるじゃないですか。あれもけっこうかわいいなって感じます。けっこう着てますね。
──肌を出すファッションもする?
葵さん そうですね、露出している女の子が好きなんですよ(笑)。ショートパンツで足見せだったり、腕見せだったり、ちょっと「おっ」って思うような感じのが好きというか、なんだろ、そういう子が好きなのかな、わかんないけど。そんな感じ。
──そういう子を見るのも好きだし、自分でもしてみたいとも思うんですね。
葵さん うんうんうん。
──そうやって好きな格好してても、見てほしくはない?
葵さん (笑) そうなんですよね。ちょっと派手っぽい格好はしてるけど、やっぱり見てほしくはない(笑)。
──メイクをがんばってやっても。
葵さん 今日メイクうまくできたなー、ちょっと誰かに見せたいなーって思っても、実際学校行った時に見られるのは、ちょっと、ちょっとなーって思いますね。
──じゃあ、外見を整えるのも、自分のためにやってるって感じですね。
葵さん そうですね。おとなしい服を着てたらさらに出たくなくなってしまうというか、だから武装してるみたいな感じで服を着て出てますね。
──以前に(おとなしい格好で)なめられた経験があるんですか?
葵さん うちの中学校がけっこう、ヤンキー校っていうんですか、不良がいっぱいいる学校だったんですけど、(自分は)高校の推薦を狙ってたんで、優等生みたいな感じで通ってたんですよ。だから、十代の頃の憧れ? わかんないけど(笑)。それが残ってるって感じですよね。
──優等生をしてた頃にはしなかった格好。
葵さん あと、親も厳しかったんで、派手目な服は着るのはダメとかいろいろ制約が多かったので、解放されたいみたいなのも現われてるのかなって感じます。
──一人暮らしされている場所は、ご実家とはけっこう離れてるんですか?
葵さん 県外なんで、すぐに帰れる距離ではないです。
──今は(コロナで)あまりご実家には帰れてないと思うんですけど、帰省するときはおとなしめに格好を変える?
葵さん (笑) そうですね、若干おとなしめに。髪の色も帰るときはちょっとだけ暗くします。なんか、(親に)めっちゃ言われるんですよ、髪明るすぎるよ、とか、服どうなの?とか。それがめんどくさいから、変えますね。
──普段はけっこう髪の毛は明るめの色にしてるんですか?(※音声のみのインタビューでお姿は見えなかった)
葵さん 金髪にもめっちゃ憧れてるんですけど、顔とまったく合わないんですよ、本当に。びっくりするぐらい合わないから、今は明るめの茶髪ぐらいですね。
モラトリアムを存分に
──ヤンキーとか不良に憧れていたのは、ファッションだけですか?
葵さん (笑) 生き方に憧れてたんですよね。推薦を狙うってことは、内申のために先生の評価を気にするじゃないですか。いい成績をとろうと思ったら反抗できないじゃないですか。(ヤンキーやギャルは)先生に反抗して制服のスカートも短くできるし、髪も明るくできるし、校則に外れてるけど毎日楽しそうだなみたいな、そこが超めっちゃ憧れてました。
──比較的自由ですよね。
葵さん 本当に自由ですよね。
──内申と推薦を勝ちとって高校に行っても、葵さんはそんなに弾けられはしなかったんですか?
葵さん 自称進学校みたいなところに入ってしまって。
──実態は進学校じゃないってこと?
葵さん 偏差値的にそんなに高くもないというか、どうかなあ、ぐらいの。
一応進学校って自称してるから、校則とかけっこう厳しかったんですよ。スカートの丈もそうだし、いろいろあるんですけど、だから高校でもあんまり。
東京の高校生はキラキラして、毎日帰りにディズニーランド行くみたいなイメージがあったんですけど、そういうのに憧れるだけっていうか。
──進学校ってことは勉強もがんばれという感じですよね。じゃあ高校も比較的真面目に過ごさなきゃいけなかったんですね。
葵さん うんうん、比較的真面目に過ごしてました(笑)。
──で、受験して?
葵さん 今の大学って感じですね。
──今は何を勉強されてるんですか?
葵さん 今ですか、え、なんだろ、☆☆?、☆☆ですね。ちゃんと勉強してないんで(笑)、今パッと答えられないんですけど。
──高校で進学先決める時に、何を勉強しようかなとか、いつか仕事にするなら何がいいな、とか考えたのかなとか思って。
葵さん 〜〜とか、そっち系の方に行こうかなって思って。
──その方面の資格をいずれとろうかなって感じですか?
葵さん そうですね…(笑) 先のことは本当今…遊んでばっかり…遊んではいないんですけど、授業…単位、単位かーみたいな感じなんで。
──単位を落としそうな授業がけっこうある感じですか?
葵さん いや、めっちゃ落としてます(笑)。もう、10単位とか余裕で落として。というか大学にほとんど行ってないから、落とすんですけど、まあ、卒業できればいいかなーみたいな。
──卒業はできるように計算はしてるんですか。
葵さん いや、留年しても、いつかは卒業できるだろうみたいな(笑)。大学というモラトリアムを、今まで抑制された分、羽を伸ばそうみたいな感じですね。
──いいですね。もう割り切って楽しんでる感じが。
葵さん (笑) そんなことはないんですけどね。
夜の街が好き
葵さん 人目が怖い、外に出たくないみたいなこと言ったじゃないですか。友達と遊びに行ったり、飲み会に参加したり、大学生っぽいことして遊びまわりたいんですけど、外に出たくないなーと思うんで、基本家の中にいるから、そんな大学生活バンザイみたいな生活を送れてはいないんですよ。
──やりたくはあるけどやれていないという感じなんですか?
葵さん そうですね。まあ今はコロナでできないんですけどね。
──ああ…そうですよねえ。
飲んだり、外で遊びまわるとかを一緒にするようなお友達はいるんですか?
葵さん うーん、いないことはないですけど、(会うとなると)友達の友達みたいなの、ついてくるじゃないですか(笑)。多くなってもいいけど、人数が多くなった分だけ、外に出たくなさが出てくるんで、葛藤? ジレンマですねまじ。
──自分の親しくしているお友達だけだったらいい?
葵さん そうですね。飲みに行っても、個室か半仕切りがあるところじゃないと、気兼ねなく飲めないんですよ。めんどくさいなーって自分でも思いますね。
──それは一貫して人目にさらされたくないということで。
葵さん だから遊ぶ時とかも夕方から、日が落ちてからがいいかなみたいな。そしたら(お店は)ほとんど閉まっちゃうんで、結局待ち合わせは昼前とかになるんですけど。
──さっきあんまりそれをわかってもらえないっておっしゃってましたけど、お友達には同じように暗くなってからがいいという人はいないんですか?
葵さん いないんですよ。暗くなってからのほうがいいよね、って言ったら、え、全然わかんないって言われますね。なんで?ってなります、よく。暗くなってからのほうが楽しいと思うんですけどね。ネオンがキラキラしててきれいじゃないですか。
──なるほど、夜の街。
葵さん そうです、夜の街好きなんですよ。あんまり見たことないんですけど。妖しげな感じがとってもいいですよね。
──街の雰囲気がいいということですか?
葵さん 雰囲気もいいですよね。ネオンもきれいだけど、夜の店にフラフラっと入りたいなと、そんな感じが。うちが厳しかったんで、夜系の遊びについて、絶対ダメって教えられてたんですよ。だから余計惹かれてしまうというか、魅力的に感じますね。
──夜遊びというのは、(踊るような)クラブとか?
葵さん クラブも面白そう…まあ面白くはないかな、ですけど、クラブとかっていうよりは、もうちょっとディープな感じの、なんだろ、ホストとかキャバとか風俗とかそっちらへんの、ピンクピンクした感じの。やばそうな感じが好きです。
──そういうお店に行ったことあります?
葵さん いやー、クラブはありますけど、そこら辺はないですね。ちょっと勇気が出なくて。あと、ホスト(クラブ)は行ったらお金使ってしまいそうなんで。
──確かに。
葵さん あとキャバクラも、一歩踏み入れたら私、戻れなくなりそうだなーって思ってしまって。
──踏み入れたらというのは働く側としてということですね。体験のバイトなどを考えたことは?
葵さん バイトする時に履歴書とか出したら、どっかからか親にバレそうだなみたいな。親にバレたら数時間(説教)、というか家族会議が開かれると思うんで、それは本当に勘弁してほしいなみたいな(笑)。それはそれで面白そうなんですけど。
ネットを見てたら、夜のお店の人には男性に不信感感じている人がとっても多いから、そうやってすべての男性に対する不信感を感じるようになったら生きづらそうだなと思って、興味本位で手を出すにはリスクが高すぎる感じがして、手を出せてないですね。
──そうやって冷静に見つつも、夜の街はなんとなく面白そうだなーという感じで見てるんですね。
葵さん 飛び込めたら飛び込みたいけど、今の環境とこれまでの積み重ねが邪魔してるな、と。でも、これまでがなかったらそこまで夜の街に惹かれることもないんだろうなとも思います。
過保護の放任
──おうちが厳しかったことの影響がいろんなことに現われていそうですけど、だいぶ厳しかった?
葵さん えー、ちょっと気づかなかった。人格形成にけっこう、そっか、そうなのかな。
──家族会議が数時間開かれるっていうのは…葵さんはごきょうだいがいらっしゃるんですか?
葵さん 上と下に一人ずついますね。家族会議っていうか、すぐにみんな集まって、って感じじゃなくて、まず母親と私で数時間話し、母が父に伝え、両親と私で話して、その後にきょうだいに話が伝わって家族で話すって感じですね(笑)。
──お母様が一番子育てに関わっている?
葵さん 昔はけっこう放任だったんですよ。放任って言っても、過保護の放任っていう、よくわからないベクトル? いろんなことを制限するけど、制限した中にいたら関知しないっていう。
制限がきつくて、私、自分の部屋にいるのダメだったんですよ。
──え?ああ、部屋にいると見えないからということですか?
葵さん そうです。部屋のドアを閉めてたら、怒ってドアを開けに来るんですよ。だからずっと、空間として親がいる範囲、リビングとかにいないといけなくて。その制限の中で放置されたら困るっていうか、何にもできないじゃないですか。
──確かに。
葵さん テレビ見るのとかダメだったんで、本を読むか勉強かの二択ですよね。だからけっこう厳しい、厳しいって言うには放任だけど、放任って言うには制限されてる、っていう空間で育ちましたね。
──もしそれを破って、例えばテレビを見たとしたら怒られる?
葵さん そうですね、テレビは消されて、たたかれるかな?
──お仕置きもあるんですか。
葵さん お仕置きって言うのかなあ。悪いことをしたのはあなたでしょう、と。悪いことをしたから罰を受けるって感じだから、お仕置きとは感じなかったですね。
──たたくって頭とかですか?
葵さん 頭っていうか。長い棒みたいな(笑)。やばいかな。違うんですよ、違います。虐待とかは受けてないです(笑)。受けてないけど、受けてんのかな、いや受けてないと思うけど…。
──それはごきょうだいみんな?
葵さん そうですね。あ、でも、上は兄なんですけど、兄に対してが一番厳しかったんですよ。(その後)子育てに飽きたか知らないけど、徐々にゆるくなっていったって感じです。
だから、下の妹はバレても普通にテレビつけてるし、最近親は黙認、怒るのもめんどくさいみたいなそういう感じ。ちっちゃい頃は本当厳しくて…。うーん、まあそんな感じ!(笑)
大学に入ったから、もういっかな
──親御さんは、お勉強をがんばってほしいから厳しいという感じでしたか?
葵さん たぶんそれもありますね。テレビ見てないで勉強しなさい!みたいなそういう感じかな。
──葵さんは勉強することは嫌じゃなかったですか?
蒼さん いや、めっちゃ嫌でした。勉強嫌いなんですよ。でも塾に入れられてたんで、しょうがなく勉強するみたいな。
──進路は自分で決められたんですか?
葵さん 高校については、できるだけ偏差値が高いところに入れみたいな圧力っていうか、入ってた塾もそうなんですけど、そこに受かるのが第一目標だよねみたいな感じだったんで、自然と県内で一番高いところ(を目指した)みたいな。
大学もできるだけ(偏差値が高いところを目指せ)みたいな。自分の意志かって言われたら迷いますけど、まあ…最終的に受けるって決めたのは自分なんで、自分の意志かなあって思います。でも、…(何か言いかける)
──大学に入ったら勉強したくなくなっちゃった?
葵さん ですね。遊びたいっていうか、勉強好きじゃないというか。大学は遊んでましたみたいな人が多いじゃないですか。だから、遊んでもいいんだと最初から思ってて、いい大学に入るために勉強しなさいって小学生の頃から言われてたんで、やっと大学に入ったから、もういっかな〜みたいな、そんな感じで。
──大学で、面白い先生とか講義はなかったですか?
葵さん いますよけっこう。面白い講義は、まあ行くんですけど、必修の楽しくない勉強の方が多いんで、めんどくさいなーって。
一般とか教養科目みたいなやつはけっこう自由度も高いし、選択授業は授業を選べるので楽しい。
──単位を落としてる状態というのは、親御さんには知られてない?
葵さん それが、実家の方に成績表を勝手に送られるんですよ。うちの大学。
──えー、そんなシステムが。
葵さん 学校に何か言ったらどうにかなるのかな。めんどくさいんで放置してるんですけど。勝手に(成績表が)行っちゃって、それでけっこう怒られますね、何やってるんだ、なんでこんなに単位落とすんだみたいな(笑)。言われますけど、最近の親のゆるさでごまかせるかなーみたいな(笑)。はいはい、って適当に流して。怒られるけど最近は許してくれますね。
きょうだいとは仲がいい
──親御さんに対しては、反論とかじゃなくて、流すって感じですか。
葵さん 反論したことない。やー、ちっちゃい頃はあったかもしれないけど、わかんないな。
今はしないですね。言っても無駄じゃないですか。一反論したら十返されるみたいな。だから、聞き流してどっか行ったほうが、収まりはしないけどなんとかなる、みたいな。
私は反論しないんですけど、兄と妹の性格がとっても似ていて、よくケンカしてるんですよ。だから二人はとっても口が立ちますね。あの二人似てるんですよ。私だけちょっと性格が似てない。
──ごきょうだいは仲はいいんですか?
葵さん 兄と妹はちょっと同属嫌悪みたいな感じで仲が悪いんですけど、私はけっこう二人と仲がいいですね。
──今は距離は離れてるけど、連絡はとるんですか?
葵さん 兄とはちょいちょい長電話してますね。3、4時間とか話します。
妹は、どうだろ、あの子…今高2だから、そろそろ受験生なんですよね。受験生だし、だいたい塾にいるから電話はしないんですけど、LINEは時々やってますね。
──そういうのってどっちからか元気〜?みたいに送るんですか?
葵さん どっちからだろう。お互い気になったこと、今このアニメ面白いよーみたいなのこっちから送ったり、妹からは、このゲームやってる?みたいなそういう感じですね。
──そういうのを気軽に送り合う感じなんですね。
葵さん けっこう仲はいいんじゃないかなあと思います。昔は悪かったんですけど。今はけっこういろいろ許せるっていうか、ちょっと余裕出てきたかなって感じなんですけど、親の支配がガチガチだった時は、みんなギスギスしてて、仲悪かったですね。話さない、みたいな。
常にイライラして、みんながみんなに当たり散らすみたいな。言葉にするとやばいですね、うちの家族(笑)。まあみんな余裕なかったんですよ。距離が近すぎて。家族って距離が近いじゃないですか。近いけど仲が良くないから、お互いに反発というか、よく思ってないみたいな感じかな。
家は別に好きじゃない
──ご両親は同じ考えというか同じタイプ?
葵さん えー、どうだろ…父親が母親にけっこう惚れてる感じなんですよ。だから母親の方が基本強いんですけど、本当は強いのは父親、みたいな。パワーバランスが時々で崩れるみたいな。あとけっこう意見が違うんで、よくケンカしてたりもしますね。教育方針の違いとかで。
──教育方針はお父様とお母様で違ったんですか。
葵さん 例えば誰かが、塾に行く朝に起きるのぐずぐずしてたら、父親がそんなんなら塾やめてしまえ、誰が毎日送り迎えしてると思ってんだ、みたいに怒って。でも母親は塾はやめさせないです、みたいな感じなんで、親と子供もケンカしてるけど、知らない間に父親と母親もケンカしてるみたいになってましたね。
──ケンカはするけど仲はいいんですかね。
葵さん たぶんそうですね。仲は悪くないと思います。よく一緒に買い物とか出かけてるし。母親の方はけっこう金づかいが荒いんですよ。着物とかブランドものとか、けっこう金かかってるんですけど、父親はしょうがないかって感じで見てる。
──お父様もお母様もお仕事されてる?
葵さん いや、母親は専業主婦ですね。
──3人も子供がいて塾も行かせてお母様にブランドもの買ってとなると、お父様はお仕事がんばられてそうですね。
葵さん うーーん、まあそうですね。昔は帰ってくるの12時過ぎとか。朝早く行って、遅く帰ってくるとかそういう感じだったんで、あんまりコミュニケーションしたことないですね。
そもそも私そんなに親とコミュニケーションしないんで、なんとも言えないんですけど。
──ご自分の家庭は好きですか?
葵さん 家庭は、別に好きじゃないです(笑)。きょうだいは仲いいし好きなんですけど、両親とか、祖父とか祖母は好きじゃないですね。
──お祖父様お祖母様は一緒に住んでたんですか?
葵さん 祖母は今も一緒に住んでますけど。祖母も祖母でめんどくさいというか、関わりたくない感じなんで、あんまり仲良くはないんですよ。
──お祖母様は父方ですか、母方ですか。
葵さん 私本当に、両親と話さないんで、よくわかんないんですけど、たぶん父方ですね。
兄はよく親と話してるんですよ。だからたぶん兄は知ってると思うんですけど、私は興味がないというかどうでもいいので、知らないって感じですね。
──あまりお祖母様と関わらずに過ごしてきた?
葵さん 昔は話してたような気がしますけど、何か気に食わないことがあったのかな、急にいろいろ、悪口というか、顔見たら汚いとか醜いとか言われるようになって、
──えー!
葵さん そこから全然話してないです。
──すごいこと言いますね。
葵さん ですよね。けっこう私それ引きずってるんですけど、親はしょうがないよね、軽口だし聞き流せよみたいな雰囲気出してくるんで。普通に傷つきますよね、思春期真っ只中にそんなこと言われたら。
──まあひどいですね。
葵さん (笑)まあいろいろ…。許しませんけど。
兄と妹は親を負かす
──コロナは別として、ご実家には、頻繁には帰らない?
葵さん 帰りたくないんですけど、両親が謎に過保護なので、夏休みとか冬休みは帰ってこいってうるさいんですよ。帰ってこなかったら自分たちがそっちのほうに行きますって言われるし、飛行機のチケットを送り付けられるんで帰りますね。1週間くらいならまあいっかーみたいな。
──お兄さんも同じように長期休暇には帰る?
葵さん 兄は県内にいてけっこう近いから、土日はよく帰ってるようですね。
──じゃあお兄さんはそんなにご実家は嫌いではない?
葵さん そうですね、よく両親と話してるし、食事が出てくるのがいいらしいです。
──ご実家に対する感じ方は、お兄さんと葵さんとでは違うんですね。
葵さん 兄とも違うし、妹も実家は好きじゃないみたいだけど、ものすごく反発はしない、みたいな。兄と妹は似てるんでそんな感じかな。
──親とケンカもするけど、嫌じゃないみたいな。
葵さん 兄と妹は言われたことを右から左に流せる能力を持ってるんで。何か言われたからと言って別段気にしない、みたいな感じですね。
兄と妹は(流すだけじゃなく)親に反論もしますけど、兄と妹は口ゲンカが強すぎるんで、親が負けるんですよ。きょうだいは、勝ったぜ、って揚々と過ごしてるみたいな感じですね。
記憶に残りたくない
──最後に、お名前(※Twitterユーザー名)が、(応募からインタビュー当日まで)けっこう変わりましたよね。
葵さん そうですね(笑)。個人を特定されたくないんで。
──あ、そういうことなんですか。
葵さん 姿を見られたくないって言ったじゃないですか。ネット上でも一緒で、個人として捉えられるのに違和感があるというか、みんなの記憶に残ってほしくないんですよね。そんな感じで名前(※Twitterユーザー名)は本当にちょくちょく変えてます。
──(応募してくださった時の〇〇△△)というユーザー名の由来は?(※汚いものの名前をつなげた言葉だった)
葵さん 自分自身が自分自身のことを○○とか△△とか思ってるっていう、そういうことですね。
──全然、話してるとそんな
葵さん 話す上では普通っぽくしようと一応思ってるんで。(今日話している声は)1オクターブか2オクターブぐらい高いんですよ。いつもけっこう低いんですよ。今は若干テンション高めで話すことを一応意識しています。
──(そうできることが)すごいですね。
葵さん テンション低かったら大変じゃないですか、インタビュー側が。(私は)一応、応募した側ですし。そういう感じです。
(終わり)
※インタビュアー田中の発言の前には──が付いています。