菩薩になったひろゆき
「えっ、ひろゆきさんってこんな人だったっけ!?」
思わず口に出てしまった。
「病院と葬儀社はズブズブ」
とか
アイドルグループのことを
「あいつらブサイクだし、歌も下手だよね」
って言ったりしたこともある、『2ちゃんねる』創設者のひろゆきこと西村博之さん。
まさかそんな人の言葉で心が軽くなるとは夢にも思ってなかった。
きっかけはオンラインニュースの記事。
ひろゆき著『1%の努力』という本の紹介記事だった。
そこにこんなことが書かれていたのが目についた。
「何かを成し遂げるとき、『どう頑張ったか』が100%必要であると認識されがちなのだが、たまたま日本人で生まれたら、ソマリアで生まれるよりラクであるというレベルの話で、努力で変わる部分は、実はものすごく少ない」
その当時の僕は、仕事で結果が出ず上司からこう言われていた。
「頑張りが足りないんだよ」
自分では頑張ってると思ってた。
でも、結果は出ていない。
だからそう言われても仕方ないのだけど、その言葉にすごいモヤモヤしていた。
そんなタイミングだったこともあって、その言葉に釘付けになる。
さらに記事にはこう書いてあった。
「『99%の努力と1%のひらめき』というのは、発明家エジソンの有名な言葉だ。これの真意をみんな誤解している。本当は、『1%のひらめきがなければ、99%の努力はムダになる』ということだ。しかし、『努力すれば道が開ける』という表現で広まっている」
「ひらめきもないまま、ムダな努力を積み重ねていっても意味がない。耳障りのいい言葉だけが広まるのは、不幸な人を増やしかねないので、あまりよくない。そんな思いから、この本の企画は始まった」
まさか、ひろゆきさんから「不幸な人を増やしかねない」なんて言葉を聞くとは。
なんとなく、人の幸せに無頓着な人だと勝手にイメージしてた。
だからこそ、この人のこの言葉は衝撃的だった。
「不幸な人を増やさないという想いがある人に、悪い人はいないだろう」
単純な私はそう思い、ついに本を買ってしまった。
そして早速本を読んでみて、またまた驚かされる。
第1章でこんなことが書かれていたからだ。
「『この人とは前提が違うんじゃないか?』 考え方が異なる人が現れたら、この言葉を思い出して自分の頭で考えてほしい。そうすることで、偏見がインプットに変わる」
成功者の本というと、たいていは自分の経験や自分の考えを話して終わる。
でもこの本では、まずはじめに筆者と読者の考えの「前提」が違うことに触れているのに、深い親切心を感じた。
「前提」が違うことは、いろいろな場面でいざこざを生む。
例えば、カップルが同居を始めると、2人の生活スタイルが違うことでケンカが起こるのはよくあるだろう。
また転職をすれば、前いた会社と新しい会社の仕事の進め方の違いに驚く。
そこで、前いた会社の仕事の進め方に固執すれば、当然新しい職場で上手くやっていくことは難しくなる。
戦争だってそうだ。
文化や宗教の違いがお互いの軋轢を生み、あるレベルを超えてしまうと衝突が起こってしまう。
これらは全て、お互いの「前提」の違いを理解しようとしないことから起こると言っても過言じゃないと思う。
それほど相手の「前提」を理解しようとすることは大事なことだと思うのだけど、そこに言及する人はほとんど見たことがなかった。
とくに、成功者が成功する秘訣について語った本では。
しかも、第一章という、読者がその本を読むかどうかを決めるぐらい重要なつかみの部分で、そのことを書いていたのだ。
「ベストセラーになることを目指すというよりも、自分の考えが相手に間違って伝わらないように、ということを最優先に考えてるのかも」
そう感じた。だから、
「ひろゆきさんはきっと信頼のおける人物だ。自分を大きく見せず、ありのままをきっと書いてくれているはずだ」
と思い、この本を全部読もう、そしてひろゆきさんのアドバイスを実行しようと決めたのだった。
そして、読み進めていて、ひろゆきさんという人間についてこうも思った。
「ひろゆきさんって誰かに媚を売るようなことはしない。だからどんな人にでも、自分の意見をバシバシ言う。それが聞いてるこっちからしたら、あまり良い印象は抱かないかもしれない。でも、そんな人間だからこそ、人の言葉に振り回されず、世の中をありのままに見ることができる。それで、物事の本質をしっかり捉えられるのかもなぁ」
こうして私は、うまいことひろゆきさんの虜になってしまったのだった。
この本はいわゆるビジネス書。
どうすれば成功できるか、幸せになれるかについて書かれている。
生まれてきた環境や才能で将来が決まってしまう現実を受け止めた上で、それでも自分達の力で変えられる部分はどこか?
どういう考え方をすればいいのか?
そのことについて書かれている。
この本を読めば、物事の本質が分かるし、しかも心も軽くなるので、ぜひみなさんにも読んでほしい。