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魚返明未さんへのインタビュー/第1回「覚えてる頃にはもう弾いていた」

ジャズピアニストの魚返おがえり明未あみさんにインタビューしました。
第1回は、ピアノを始めたきっかけや、ジャズとの出会いについてのお話です。
ジャズ界が誇る若き逸材の原点がここにあります。

動画版はこちら(演奏あり)

魚返明未さんプロフィール
1991年生まれ、東京都出身。
東京藝術大学音楽学部作曲科在学中の2015年、初リーダー作『Steep Slope』をリリース。
現在、自身のバンドの他、様々なグループで演奏活動をしている。
また、映画音楽などの作曲も手がけている。

ピアノの先生から教わったこと

ーー4歳でピアノを始めたそうですが、きっかけは何ですか?

僕には4歳上に姉がいます。
姉のピアノのお稽古のついでに母親と一緒にその教室に行ってました。
最初はピアノやってなかったんですけど、先生に「下の子も一緒にどうですか?」って言われて。

それで始めたって聞いております。

ーーあまりはっきりとは覚えてない?

そうですね。
覚えてる頃にはもうやってたという気がします。

ーー練習は楽しかったですか?

ピアノ自体は好きだったんですけど、 ちっちゃい頃のホームビデオとか見ると、練習しながらできなくて泣いてたりしてました(笑)

ーーそれは悔しくて?

そういうのもあったんだと思いますね。
そんな記憶もあります。

ーーピアノの先生ってどんな方だったんですか?

個人で教えてらっしゃるクラシックの先生でした。
ちょうどドイツ留学から帰ってこられた頃に教わることができました。

ーー厳しかったですか?

大切なことを年齢関係なく教えてくださいました。
もしかしたら他の教室よりもちょっと厳しかったのかな。
ただ、スパルタみたいな厳しさというよりは、コメントが容赦ないとか、そういう感じ。
この音楽はこういう音楽だから、ちゃんとやってほしいとか。
本格的なクラシック音楽を教わったっていう感じがしますね。

ーー子供相手だから子供レベルでとかじゃなくて、一人のピアニストとしてこうしてほしい、というのがあったんでしょうか?

たぶんそうですね。
自分だったらこう弾くっていうのを生徒さんに伝えていく先生だったかなと。

ーー先生から教えてもらったことで一番心に残ってることは何ですか?

たぶん15年以上習ってたと思うんで、一番と言われてもちょっと難しいです。
バッハをすごく尊敬している先生だったので、バッハに対する思いっていうのは僕も強くなっていきましたね。

いろいろ言われました。
具体的な話になるんですけど、例えば普通にバッハの鍵盤音楽のための作品弾いてても、「宗教音楽の歌が聞こえるようにここは弾きなさい」とか。

ピアノ弾いてるんだけど、他の編成の音楽に対する理解というか、そういうものを求められたりしました。

ーーそれって今作曲に生きてたりするんですか?

ああ、あると思いますね。
違う楽器の音を想定して弾いたりとか、ピアノってそういう楽器なんだよということを教えてもらったような気がしますね。

ーー今の明未さんがバッハから影響を受けてることってありますか?

一応ほとんど毎日バッハ弾くようにしてまして、だから影響はもうかなり潜在的というか、当たり前のものになってます。
ジャズの演奏に表れてるかどうかはわかんないんですけど。

ーーじゃあもう基礎にバッハがあるみたいな感じ?

そういうことになりますかね。
まあバッハばっかりやってる人に聞かれたら怒られちゃう感じのバッハですけれども(笑)

ーー練習って一日にどれぐらいされるんですか?

ライブがある日は1時間ぐらい家でやってから行くって感じです。
ライブがない日もすごく疲れちゃってるときが多いんで(笑)、まあ1時間とか2時間とかで終わっちゃいますかね。

けどたまに、最近こういう曲弾いてないなとか思ったりすると、例えばスタンダードをずっとやらない期間があったりすると、まとめてドバッと家で弾いたりとかはしてるかもしれない。

ーー面倒くさいなとか思ったりすることってないですか?

まーありますね(笑)
特に疲れてる時はあります。

だからあんまり練習を練習って感じでやるタイプじゃないかもしれないですね。
曲を弾いたりとかそういうことばっかりやってるかもしれない。

ーー練習ができない時があったりすると、次弾いた時に弾きにくかったりしますか?

なまっちゃうみたいな?

ーーはい

それはありますね。
自分でも体感します。

ーー演奏って筋肉運動だから、やっぱり練習は大事なんでしょうか?

そんな話を聞いたことがあります。
普段の日常生活であんまり使わないところを使ってる感じがしますね。

ジャズとの出会い

ーージャズの方にはいつ頃から興味を持つようになったんですか?

両親がけっこう洋楽が全般的に好きで、特にロックとかが好きだったんです。
小さい頃からアメリカとかイギリスの、ジャズのちょっと後の世代の音楽に触れながら育ちました。

自分もそういうアーティストが好きになった。
彼らが幼少期とか学生時代に聞いてた音楽の中にジャズが入ってました。
かっこいい音楽やるためにはジャズって必要な音楽というか、ルーツの音楽なんだと認識しはじめましたね、中学校とかそれぐらいの時に。

ーージャズの曲っていっぱいありますけど、ジャズピアニストの曲に惹かれたりしたんですか?

そうですね。
けど管楽器もかっこいいなと思いました。

ちょっとずつ世代を遡っていく感じで、最初はフュージョンから聞きはじめました。
キーボーディストだと例えばチック・コリアとかジョー・ザヴィヌルとか。
そういう人はけっこう最初から好きだったかもしんないですね。

ーーじゃあそこからだんだん世代を遡って、古いジャズの曲も聞くように?

そうですね、はい。

~第2回へ続く~

<公演情報>
邦人室内楽コンサートシリーズPointポワン deドゥ Vueヴュ vol.16』
2023年4月19日(水) 18:30開場 19:00開演
東京文化会館 小ホール 全席自由 ¥4,000(前売券・当日券 共通)
魚返明未さんの新曲「Impose Nothing」が初演されます。
(演奏:トリオ・ヴェントゥス
チケットのご予約はこちらから

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