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【Interview】Web3をひらく人々/第2回-② MeTown株式会社 代表取締役 田中一弘さん

Web3黎明期のフロントランナーにきく!『Web3をひらく人々』第2回は、MeTown株式会社(本社:東京都中央区、以下、MeTown)・代表取締役の田中一弘さんに伺っています。

第2回-①はこちら↓


第2回-②原点は夕張市の財政破綻でした


―MeTownは、第二のふるさと(2nd Home Town)に貢献する仕組みづくりの“サポート”を掲げています。地方創生に対する田中さんの思いを想像しました。

 原点は、北海道夕張市の財政破綻でした。私は札幌市の出身で、当時は進路を模索する高校生だったんです。夕張は札幌から車で1時間半程の身近な自治体でしたから、それだけに夕張市が全国唯一の財政再生団体となり危機に苛まれているという報道と、特に不自由なく生活している僕の日常とに違和感を覚えていました。ちょうどその頃、行政区分を「都」「道」「府」「県」より広域にする「道州制」が話題に上っていて、道州制が機能し地域主権で地域独自の自治を推進できれば、それぞれに魅力あるはずの地方が首都圏より劣後している感覚に陥りやすい社会構造を再設計できるのではないかと注目していました。
 道州制への期待感や、夕張市の破綻で芽生えた問題意識も重なって、将来は政治家や行政マンになる道を視野に大学へ進み、政治や政策の観点から地方自治を学びました。そこで、地域にイノベーションを起こすには、気概ある民間が主導で、政治、もしくは行政はサポート側に徹した方が現実的だとわかり、理解が深まりました。

―Web3で展開する「夕張メロンNFT」は、農業を核にした地域のイノベーションです。農業が基幹産業の多くの自治体に注目されているのではないかと思います。

 私の曽祖父が農家でしたから、生来農業には親しみがありました。大学時代は、国内外を問わず頻繁にファームステイに出向くほどで、高知県土佐山村では、めちゃくちゃ面白いイノベーターのような有機農家さんにも学ばせていただき、生産者さんの気骨も肌で感じていました。実際の農作業はしんどくて辛かったです。それだけに農家さんへのリスペクトが募りました。そこで私が育てた野菜を友人に送ると、とても喜んでくれて。農業が喜びをもたらす産業であるとも実感できました。

 その後JA三井リース株式会社(本社:東京都中央区)に就職したのも、農業に関わる仕事をしたいと思ったからです。10年勤務し、ベンチャー企業やスタートアップ企業の出資に携わりました。実はそこで、日本の農業に立ちはだかる課題を僕なりに感じていたんです。ミッションは日本の農業にイノベーションを起こすことでしたが、「スマート農業」や「IT」の導入を試みても、正直、日本ではまだそれを多くの農家さんが使いこなせず、そこに投資する資金の余裕もないのが現状で、最新の技術を駆使し農業がどんどん成長産業に転換しているオランダや韓国などとのコントラストを感じていました。日本の農業はポテンシャルが高いにも関わらず、このままではイノベーションが起きるどころか農家さんの数は減少の一途で、静かに衰退していってしまうのではないか…だとしたらこれはまずいなと思ってもいました。

―「夕張メロンNFT」への尽力やMeTownの創業を物語る軌跡にふるえます。

 地方創生という観点でも、農業の収益率を上げるにはどうたらよいのかを長年思案していました。大学時代には篤農家のトマト栽培をデータで「みえる化」したり、社会人になってからも、大学院で田んぼの水管理を自動化するロボットを制作、販売し、研究を続けていたんです。「夕張メロンNFT」のようなビジネスモデルなら、収穫を待たずに得られる収益で投資を検討できます。利益がないと投資できず、投資できないから停滞するという負のスパイラルを正のスパイラルに転換できる日本の農業の未来と可能性に触れた前向きな取り組みでした。

 起業については、いつかは…と思いながらも、決心はなかなかつきませんでした。会社の仕事は楽しいし成果も出ていましたし、特段辞める理由がありませんでしたから。
 起業したのは、子供が生まれたタイミングでした。親になり、少なくとも我が子が死ぬまで、“自分の人生プラス100年”という時間軸まで、責任を持ちたいと心底思った時、一念発起、あえての起業で100年先を見据えた社会貢献を試み、親として子供の人生に対してしっかりコミットしたいと思ったんです。
 子供の存在が、原動力になりました。


第2回-③へ続く
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MeTown株式会社

※NFT
記録の改変・改ざんが極めて困難なブロックチェーン技術によりデジタルデータやコンテンツの唯一無二の価値や真正性、所有権を示すことができる代替不可能な”デジタル証明書”

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