未来を創造するテクノロジーカルチャーの祭典「Media Ambition Tokyo 2019」
表題のこちらのレポートを。
私が気になった作品は、
ビジュアルデザインスタジオ WOW
『YADORU』。
作品を一言で言うと、
こけしにプロジェクションマッピングを施した!
というもの。
こけしの形をした像に、
こけしの表情が映され(怒ったり、笑ったりする)、目まぐるしく変わる。
(中には、高速に回転しているものも!)
ポイントは、実際の人間の顔(こけしの本場、山形の方々か、来場者の方)が投影されること。
並べられたこけしの他に、備え付けのカメラがあり、
来場者は自撮りを行う。
そこで撮られた写真が、こけしに映し出され、
『あなたのこけし』が参列する仕組み。
面白いポイントは、
古(のモチーフ)とテクノロジーがかけ合わされて、
新しいモノを生んでいるところ。
寺や城にプロジェクションした事例は多くあるが、こけしは新しい。
また、こけしのサイズ感が、プロジェクション事例としては小さいので、
本当に、魂が入っているような、生きているような感覚に
させてくれる点も秀逸。
お城とかは壮大すぎて、あくまでもショーという認識になる。
(それはそれで迫力があっていいのだが。)
そもそも、こけしとは何なのか?
こけしは、江戸時代後期(文化・文政期)頃から、東北地方の温泉地において湯治客に土産物として売られるようになった轆轤(ろくろ)挽きの木製の人形玩具。
語源は諸説あるみたいだが、
一説には、「子消し」や「子化身」などの語呂合わせであるとし、
貧困家庭が口減らし(堕胎)した子を慰霊するための品物であるという。
・・・そういう風に言われてみると、意味の重いものとして見え、
感じ方が変わる。
でも、子供の遊び道具としてだけではない、
何か、得体の知れない気配を持っているモノである気がする。
では、自分の顔が映されたこけしは何を意味するのか。
問いを生んでくれる作品である。