なぜクラウドファンディング「人とAIが健全な関係性を築くために、技術と社会の両軸を横断したい」を始めたか
※このnoteは学術系クラウドファンディングサイト「academist(アカデミスト)」さんで実施させていただいている、
「人とAIが健全な関係性を築くために、技術と社会の両軸を横断したい」というクラウドファンディングに関するものです。2020年3月16日19時まで、ご支援をお待ちしております!!
こんにちは。中尾と申します。
いつも応援していただいている皆さま、ご支援いただいている皆さま、ありがとうございます。
クラウドファンディングが残り5日となりまして、最後にこの取り組みに関連することをできるだけnoteに書いていこうと思っています。
今日は「そもそもなぜクラウドファンディングを始めたか」、について書いていきたいと思います。
事の発端は、私が大学の頃に専攻していた分野が技術と社会の両面を扱うものだったことです。
私が専攻していたのは科学技術社会論というちょっと聞きなれない名前の学問分野でした。この分野では、原子力発電所や遺伝子組み換え食品のような、社会的な影響が大きい技術のあり方を、インタビュー調査や文献分析などを通じて批判的に探っていきます。
その分野の中で、私自身は、情報技術、特にYouTubeやNetflixとのようなコンテンツ共有・配信サービスがどのように日本に浸透して、今後どうなっていけばいいのかを考察していました。
科学技術社会論では、その学問の性質上、技術を実際に作っていくところはスコープには入っていません。テクノロジーを学問的な立場から批判していくというのが主な目的だからです。
しかし、私が対象にしていた情報技術は、その性質上、個人が技術を作っていくこともできます。なので、次第に、むしろ自分も実際にテクノロジーを作る側に回った方がいいなと思うようになりました。その結果、今の会社(内資系ITベンダーの研究部門)に入ることになりました。
その後、会社のプロジェクトで人工知能と出会うことになります。最初は学生の頃に培ったインタビューのスキルを活かし、顧客から技術に対する要望を聞き出すような仕事をしていました。しかし、次第に自分でコードを書いて技術を作ることもやるようになっていきました。
そうして技術を作っていく側に回って毎日を過ごしている中で、だんだんと「やっぱり技術と社会の距離って遠いなー」と感じることが増えてきました。
もちろん、よくイメージされるような技術にばっかり目が行っていて社会的な影響やそれがどう使われるかおかまいなし、というような研究者は今どき(少なくとも企業の研究部門には)あまりいません。
しかし、社会やサービスの中でどうつかわれるかを想定しながら技術を作っても、技術者が技術者以外の人の考えることを完全には想像することは難しいです。
実際にユーザーに話を聞きに行くのはアルゴリズム研究者にとってはとてもコストがかかりますし、聞きに行ったとしても、その人の意見が一般的な感覚を代表しているとも限らないわけです。
そういう日々を過ごしている中で、私はもう一度社会的な側面から技術を見つめなおす議論が必要だと感じました。そう思う中で、講演の機会が与えられるたびに、技術が今後どのようになっていくべきかを人文社会学的な観点から焦点を当てた内容を盛り込んでいきました。
そして、ある時そうした技術と社会を架橋するような内容を、出版という形で世に問うていくことができるのではないかと思い始めました。
今回アカデミストさんのご協力のもと、クラウドファンディング
「人とAIが健全な関係性を築くために、技術と社会の両軸を横断したい」
を実施させていただいたのは、こうした動機によるものです。今後は本の出版だけでなく、これを契機とした工学的・社会学的な研究も行っていきます。
社会からの批判だけでも、技術開発だけでもダメ、ではどうすればその二つをきちんと結ぶことができるのかを考えながら毎日の研究活動を行っています。
ここまで読んでいただいて、本当にありがとうございました。
明日以降、技術を社会的な側面から考えるとは、人の意思決定とは、という話題でnoteを更新していこうと思います。ご支援も、引き続きお待ちしております。
引き続きどうぞよろしくお願いいたします!