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虫が嫌いでも山で生きられる?山へ移住した女性の物語


はじめに


都会の暮らしは便利で快適。でも、どこか息苦しさを感じていた私は、思い切って自然豊かな山へ移住しました。標高800メートルのその地で私を待っていたのは、澄んだ空気や美しい景色だけではありませんでした──そう、“虫”という新しい隣人たちとの共生です。

虫嫌いな私が山での生活を通じて感じた、自然との折り合い方。そして虫たちが教えてくれた、生態系の大切さを皆さんへ届いてほしいです。

標高800メートルの山へ

「こんなに空気がおいしいなんて……」

都会育ちの私は、標高800メートルの山の麓に降り立った瞬間、深く息を吸い込みました。忙しい街での生活から離れ、思いきって山暮らしを始めたのです。

実際に来てみると、青々とした木々や抜けるような青空に感動する一方で、頭をよぎる不安もありました。それは、。もともと虫に刺されやすい体質だった私は、田舎=虫が多いイメージに気が気でありませんでした。


引っ越し初日──虫たちとの出会い


引っ越しが終わって一息ついた夕暮れ時、家の周りを愛犬のムギ(中型犬の女の子)と散歩していると、足首にチクリ……。やっぱり、いました。都会よりはるかに多いブヨや蚊、思わぬところから出現するカメムシなど、「虫ってこんなにいるんだ……」と改めて実感。

でも「虫が苦手」という理由だけで、せっかくの豊かな自然を楽しめないのはもったいない。そこでまずは、できる限りの対策をすることにしました。


虫に刺されにくくするための対策


1. 服装の見直し

長袖・長ズボンを薄手で着る

夏でも風通しの良い薄手の長袖や長ズボンを着るようにしました。露出を最小限に抑えるだけで、刺される頻度はぐんと減ります。

明るい色の服を選ぶ

蚊やブヨは黒や濃い色を好むと言われています。私はベージュや白など明るめのカラーを選び、少しでも虫を寄せ付けないように工夫しました。


2.虫除け植物を育てる


山の家には小さな庭スペースがあったので、そこで虫除けに効果が期待できる植物をいくつか育て始めました。

ラベンダー

リラックス効果で有名ですが、蚊やガも寄せ付けにくいと聞き、庭の入口近くに配置。鮮やかな紫色が見た目にもキレイで、大のお気に入りに。

ミント

こちらは繁殖力が強いので、プランターや鉢で育てるのがおすすめ。爽やかな香りが虫を寄せ付けにくいです。

マリーゴールド

鮮やかなオレンジや黄色の花が目を楽しませてくれつつ、土中の害虫を抑える効果もあるとのこと。野菜の畝の間に植えると、コンパニオンプランツとしても機能します。


3.自作の虫除けスプレーを作ってみる

材料

• 無水エタノール:10ml

• 精製水:90ml

• 好みの精油(レモングラス、シトロネラ、ペパーミントなどをブレンド):合計10~20滴

作り方

1. スプレーボトルに無水エタノールを入れ、精油を加える。

2. よく振って混ぜたあと、精製水を加える。

3. 使う前にボトルをよく振る。


こまめにスプレーし直す必要はあるものの、化学成分の独特な香りが苦手な私にはぴったりでした。


水場や環境管理


水たまりを作らない

蚊が発生しやすい場所として水たまりやバケツに溜まった水などが挙げられます。山小屋の周りを定期的にチェックし、水が溜まらないように意識するだけでも、蚊の発生を抑えられます。

風通しの良い空間

風に弱い虫(特に蚊や小さい虫)は、風通しをよくすると飛んできにくくなります。部屋の配置や扇風機を使ったりすることで、過ごしやすい環境づくりを目指しました。


虫の果たす役割


山暮らしを始めて気づいたのは、 害虫とは「厄介者」ではないということです。 同じコミュニティーに住む若者たちの話を通じて、虫が自然界のバランスにおいて大切な役割を担っているとわかりました。


■ 受粉を助ける虫たち

ミツバチ・ハナアブ

花粉を運んで作物の受粉を助けるため、農家さんにとっては大切なパートナー。ミツバチが減ると果物や野菜の収穫量に影響があるほど、重要な存在です。


■ 害虫を食べる虫たち

テントウムシ

アブラムシを食べてくれる益虫で、野菜の葉を守ってくれます。

カマキリ・クモ

他の虫を捕食することで、生態系のバランスを保っています。


■ 土壌を育む虫たち

ミミズ・ダンゴムシ

土を耕したり、落ち葉を分解したりすることで栄養を循環させ、豊かな土壌を作る手助けをしてくれます。


自然体系を整えると、虫に刺されにくくなる?


農家さんや生態系に詳しい人に聞くと、虫が大量発生するのは「ある種の虫だけが異常に増えている」状態でもあると教わりました。逆に、多様な生きものが共存する豊かな生態系を築くと、特定の虫ばかりが増えることを防げるというのです。

1. 天敵を呼び込む環境を作る

例えば、鳥やトンボなどが住みやすい植生を整えることで、蚊や虫を捕食してくれる存在が増えます。山では、自然そのものが豊かな生きものの住処。開けた場所や雑木林、畑などをバランスよく配置することで、害虫の大発生を防げることが多いそうです。

2. コンパニオンプランツの活用

畑や庭にマリーゴールドやバジル、ミントなどを植えると、害虫を寄せ付けにくくなるうえ、益虫を呼びやすくなります。結果的に刺される機会も減少。私も庭先にマリーゴールドを植え始めてから、ブヨの数が少し減った気がします。

3. 水の循環を意識する

小さなビオトープや池を作り、メダカや金魚などを飼育することで、蚊の幼虫(ボウフラ)を食べてもらえます。同時に水辺にはトンボなどの天敵が来やすくなるため、蚊が増えすぎるのを防ぐ効果が期待できます。


犬と私、そして虫たち


愛犬のムギは自然の中を駆けまわるのが大好き。 いつも笑顔で目が生き生きしています。 彼にとって都会暮らしはどれだけ窮屈だったことでしょう。

私自身も、虫に対する苦手意識はまだあるものの、彼らの役割を知ることで抵抗が少し減りました。畑や庭づくりをしながら「ここに虫除け植物を植えよう」「ここにビオトープを作ってトンボを呼ぼう」と考えるのが、ちょっとした楽しみになっています。


あなたへ──虫と共に生きるアイディアまとめ

1. 服装やアロマなどの対策: こまめに着替えたり、自然由来の虫除けアイテムを使いながら刺されにくい工夫を。

2. 多様な生きものが暮らせる環境づくり:

• 鳥やトンボを呼び込む雑木林や池を整える

• 害虫を食べてくれるクモやカマキリを排除しすぎない

• マリーゴールドやハーブ類など、虫除けに効果のある植物を庭や畑に取り入れる

3. 水の管理:

• 水たまりや放置したバケツに注意する

• メダカなどを飼育できる小さな池・ビオトープを作る

4. 害虫だけでなく、益虫も歓迎する心持ち:

• テントウムシやミツバチの存在を大切に

• 「虫は全部イヤ!」ではなく、役割を知ると共存しやすい


最後に:山暮らしは虫との付き合い方次第


都会から移住してきたばかりの私には、まだまだ“虫との付き合い方”に戸惑うことが多いです。正直、刺されるのは腫れるし、痒いし、嫌なものは嫌。でも、一方で山の暮らしには、虫も含めた自然の多様性があふれています。


「虫は厄介だけど、いないと困る」──受粉してくれたり、土壌を豊かにしてくれたりする虫たちは、私たちの生活や食卓を支えてくれる大切な存在でした。


どう虫と折り合いをつけるかは、結局は“自然をどう育て、守っていくか”という視点につながる


もしこれから山や自然の多い地域へ移住を考えている方がいたら、「虫嫌いだから無理!」と思わずに、まずは対策+自然共生の視点を試してみてください。愛犬のムギと共に私もまだ試行錯誤中ですが、きっと新しい発見や喜びがあるはずです。虫と上手に付き合えたとき、山の美しさは一段と輝いて見えるはず。


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アバンティ
ありがとうございます。これからもよろしくお願いします😄