エピソード1-6 感心≠WANT
例え和牛の出る焼肉屋でもチェーン店の焼肉でも。食材の如何に関わらず美味いものには美味いと言える判断力は持ち合わせるべきと考える。
それがAmwayであろうとも。
彼女お手製のAmway定食が完成し、実食の時を迎えた。おさらいしておくと献立は
白米、ほうれん草のおひたし、鶏の唐揚げ、金平ごぼう、そして大学芋。
まずはほうれん草から。蒸して醤油を垂らしただけの料理に優劣の付けようはない。が、元来不味いことなど有り得ない料理である。それなりに美味しい。
彼女曰くほぼ無水調理のため栄養が流れてしまわない、とのこと。しかしそのメリットについては電子レンジでも十分満たされると前回記してあるのだ。お生憎様。
彼女と先輩イチオシの“お醤油様”とやらは正直に言うと違いが分からない。そりゃ風味の強いほうれん草に合わせては味も香りも正確に判断のしようがない。ここでは比較実験してくれないのか…と残念に思う。
続いて金平ごぼう。三角食べなどと言った因習を未だに真に受けている人は流石にいないと信じるが、食事は野菜から食べるのが常識であることは周知の事実。唐揚げを早く食べたい気持ちを抑えて小鉢に箸を伸ばす。
これもそれなりに美味い。漂白剤未使用(笑)の砂糖とお醤油様(笑)の効果でマイルドな味わい。そこに唐辛子のアクセントが効く。まぁ和食なのでマイルドな味わいなのは至極真っ当であるのだが。要するに可もなく不可もないという訳だ。
そしてメインの唐揚げへ。正直これは驚いた。1口食べて気づいたのは、この唐揚げが鶏胸肉であること。
私独自の調査、もとい偏見によると家庭の唐揚げは基本的にはもも肉と相場が決まっている。しかしここではむね肉である。健康志向なのか他に意図があるのかは知ったことではないが、加熱にミスがあると硬くなってしまうむね肉を柔らかく調理できるのは素晴らしい。
蓋をすることで肉全体に高い熱が行き渡るのだろう。こればかりは舌を巻いた。見事であると。少し癪ではあるが米が進む。
すると彼女は唐突に私の持っている米の茶碗に油を注ぎ始めた。
「何をッ!」と私が驚いたのも当然の反応だ。食用油を浴びた米を食えと言うのである。これを受けて冷静さを失わずに居る方が無理な話だ。
猜疑心に囚われつつも油にまみれた米を口に含む。奇妙な事に油特有のギトギト感が無い。
一体どういう事かと尋ねると、「特殊な製法でサラサラな口当たりで、スプーン1杯そのまま飲んでもクドくない」とのこと。更に「日清オイリオが作ってる」と付け加える。
「なら日清が作れば良くね?」と思ったそこの貴方。奇遇ですね、私も同じ気持ちでした。理由は実に単純。特許はAmwayの為、日清は作る事しか出来ず独自に販売が出来ないらしい。
作らせるだけ作らせておいて特許を理由に販売を規制するとは。ウォルト・ディズニーの方がまだ寛容だぞ。どケチ。
最後は大学芋。学校給食で千葉や茨城では大学芋を甘味として扱う。ごく普通の事だと思っていたが(私は千葉出身)ケンミンSHOWで全国的にはそうではないと知り衝撃を受けた思い出がある。
味の感想?特に無いよそこそこだよ。
食事を終え食器を下げようと立つと彼女が「私がやるよ」と制する。お言葉に甘えて食器洗いは彼女に任せてキッチンを観察。おや?電気コンロにAmwayと表記されているではないか。横から見るとガスコンロの上に台を起き、その上にAmwayの電気コンロがセットされている。
それだけではない。蛇口用浄水器もフードプロセッサーもAmwayではないか。「全部Amwayなんだね」と零すと先輩は「そうなの!他にもサプリもお菓子も何でもAmwayで揃えてるの!」と得意げになる。あな恐ろしや。私はここに訪れた時点で既に囲まれていたのだ。
しかし優れた商品が揃っているのは事実。まだ彼女らに結論を出す段階では無いが、既に肚は決まっている。
購入は、しない。
当たり前だよなぁ?確かに概ね魅力的な商品であるが、ネズミ講のイメージが付いた企業の商品を選び、わざわざ登録してまで購入する程の労力は持ち合わせていない。何より気に食わないのは彼女らの言葉からは傲慢さが垣間見える点だ。
どんなにコンテンツが良くてもファンが醜ければ新規は着かない。どのジャンルでも同じこと。
Amwayを上げる為に他を下げる姿勢を感じる。決定的な部分は未だ見えてはいないが、私の直感が何となく警鐘を鳴らしていた。
土産としてAmwayのエナジードリンクとカロリーバーを持たせてくれた。後で食べてみたが、「健康志向にハマってる人が気に入る味」な印象。薄っぺらく、食べ応えも面白みも無いつまらぬ味。美味くねぇ〜〜〜。
別れ際に自身が素晴らしいと感じた点のみを伝えて彼女らをヨイショする。
これで次に繋がることだろう。これを受けて彼女らがどう攻めて来るかが見ものである。
ー予告ー
ネットワークビジネスの勧誘者に興味を持った私はAmwayというコミュニティに更に深く踏み込もうと画策する。
お得な毎月便のお知らせ、セミナー会議、ワイン会や豊洲のBBQ大会…なまじ金と人脈のある奇妙な人々の中で、私はその奇妙な事実をただ目の当たりにする…
エピソード1 Amway編、これからも続く。