ポケモン+任天堂のポケットペアに対する訴訟のベースとなった特許分析2
任天堂(株)+(株)ポケモンが(株)ポケットペアを特許権侵害として訴えた根拠となる特許の2件目です。
3件のなかで最もわかりやすい特許です。
2 特許7528390号
ここでも「仮想空間内」において、ユーザの操作入力により、プレイキャラクタに様々な動作を行わせます。
「仮想空間内において、操作入力に基づいてプレイヤキャラクタを制御させ」
「前記プレイヤキャラクタが搭乗可能な複数種類の搭乗キャラクタのいずれかが選択されて搭乗指示が行われた場合、前記プレイヤキャラクタを当該選択された前記搭乗キャラクタに搭乗させて、移動可能な状態にさせ」
これが明細書に記載されている箇所は、
「図9に示されるように、馬キャラクタ77が選択された状態で、搭乗指示(例えば、プラスボタン57の押下)が行われると、馬キャラクタ77が出現し、当該馬キャラクタ77にプレイヤキャラクタ70が搭乗した状態となる。これにより、プレイヤキャラクタ70と馬キャラクタ77とは一体として地面71上を移動可能な状態となる」
「前記プレイヤキャラクタが空中にいるときに第1の操作入力が行われた場合、・・・空中を移動可能な空中用搭乗キャラクタに搭乗させて、空中において移動可能な状態にさせ」
これが明細書に記載されている箇所は、
「図10の上図に示されるように、鳥キャラクタ78を示す画像が選択画像76として表示されているときに、搭乗指示(例えば、プラスボタン57の押下)が行われた場合、鳥キャラクタ78が出現し、プレイヤキャラクタ70が鳥キャラクタ78に搭乗した状態となる」
「前記プレイヤキャラクタが前記空中用搭乗キャラクタに搭乗中に、操作入力に基づいて前記空中用搭乗キャラクタに搭乗した前記プレイヤキャラクタを空中において移動させる」
これが明細書に記載されている箇所は、
「 プレイヤキャラクタ70が鳥キャラクタ78に搭乗した状態では、プレイヤキャラクタ70は、操作入力(例えば、アナログスティック32に対する入力)に応じて空中を移動することができる。」
つまり、ゲームにおける非常にありきたりな動作を記載しています。
この発明の特徴は、
「プレイキャラクタをオブジェクトに搭乗させて移動させるゲームにおいて、複数の搭乗オブジェクトの切り替えをスムーズに行う」という点です。
「スムーズに切り替わる」とは、たとえば、
「プレイヤキャラクタ70が地面71に向かって移動する場合には、プレイヤキャラクタ70が馬キャラクタ77に搭乗した状態に自動的に切り替わる」
というように、
「プレイヤによる選択操作が無くても、プレイヤキャラクタ70が搭乗する搭乗キャラクタを空中用搭乗キャラクタから地上用搭乗キャラクタに自動的に変更することができる」
これがシームレスな切り替えです。
再び、「Palworld/パルワールド」のプレビュー・ローンチ・トレーラーを見てみましょう
1.24分で「空中用搭乗キャラクタ」に、
2.27分で「水上用搭乗キャラクタ」に、
2.32分で「地上用搭乗用キャラクタ」に、
2.54分ではキャラクタが崖を下っており、これに対し、本特許の明細書には、
「プレイヤキャラクタ70は、崖面用搭乗キャラクタに搭乗した状態で崖面75を上ったり下ったりすることが可能である」
という記載もあります。
「崖面用搭乗キャラクタ」は請求の範囲には記載されていないため、特許請求されていないこととなります。「地上用搭乗キャラクタ」という請求項の文言に「崖用」を読み込むことも考えられますが、明細書ではこの2つが区別されているため、これを同一視することはできず、侵害主張の根拠として「崖面用搭乗キャラクタ」を侵害主張の根拠とすることはできません。