ツイキャスがコメント表示機能を削除
サイバー攻撃によりサービスを停止したことが話題になったニコニコ動画ですが、ライブ配信サービス「ツイキャス」が「動画配信に流れるコメントを表示する機能」を実装したことをSNS上で発表しました。
動画再生中にコメントを流すとは、つぎのようなものです。
動画再生中にコメントを流す技術については、(株)ドワンゴが特許を有しています（6526304号）。
この特許は以前にも話題になりました。FC2動画を運営するFC2社(米国)がこの特許を侵害したとして、ドワンゴがFC2社を提訴して勝訴したからです。
これまでのコメント表示機能は、動画の時間（動画の再生時間）と対応付けてコメントを登録しておき、動画と合わせて再生するだけのものでした。つまり、動画に対するコメントを表示するだけであり、ユーザ同士でコメントのやりとりができませんでした。
しかし このドワンゴの発明は、ユーザ間で同じ動画を共有して、コメントのやりとりができる配信システムです。
今回、ツイキャスの技術が抵触しているドワンゴの特許がこの特許かどうかは定かではありません。ドワンゴはコメント表示に関して、ほかにも「複数のコメントが書き込まれた場合に、コメントの読みにくさを低減させることができる表示装置」「コメント同士が重ならないように表示させる表示装置」について、特許権を2件（4,734,471号、4,695,583号）を有しています。
これに対し、ツイキャスのコメント表示機能は、報道によると、
①期間限定であること
②投稿されたコメントを画面にランダムに流すものであること
③録画には表示されないこと
④他社の特許等を調査したうえで、実装していること
という特徴があり、録画に表示されない点でニコニコ動画の特許とは抵触しないと思うのですが・・・。
しかし、ツイキャスのコメントを流す機能が削除されたようです。
ツイキャスがこれらの特許のいずれに抵触しているかは不明ですが、栗田氏のSNS投稿を見て実装を止めたのでしょうか？ あるいは両社で話し合いがされたのでしょうか？
詳細は不明ですが、いずれにしても特許侵害のおそれがある機能は削除するのが賢明と考えたようです。
参考サイト：https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2408/02/news164.html
弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
翻訳家、執筆家、弁理士（奥田国際特許事務所）
株式会社インターブックス顧問、バベル翻訳学校講師
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)英検１級、専門は特許翻訳。アメーバブログ「英語の極意」連載、ChatGPTやDeepLを使った英語の学習法の指導なども行っている。『はじめての特許出願ガイド』（共著、中央経済社）、『特許翻訳のテクニック』（中央経済社）等、著書多数。