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左向きのワニ商標に対してラコステが勝訴

ラコステといえば、右向きのワニのマークで有名ですが、これを左向きにした中国ブランド「カルテロ(CARTELO)」があります。

この右向きと左向きのワニマークの争いには、長きにわたる歴史がありますが、今回やっと決着がつきました。

カルテロのワニマークは中国で商標登録もされており、これに対してラコステが無効の訴えを起こしましたが、これが退けられたこと、

ラコステはこの企業に対し、商標権侵害であるとして約10年前に提訴したが、ラコステが敗訴したこと、

カルテロの前身であるCROCODILE GARMENTSはラコステの販売代理店を行っていたこともあるなど、さまざまな経緯があります。

今回、ようやくラコステが勝訴し、カルテロに対して、賠償金205万ドル(約3億9000万円)の支払いが命じられました。

争点は「出所混同」、つまり消費者が「カルテロ」のワニのマークを見て、ラコステのワニと混同するか否かです。
このとき商標の著名性が関係します。著名商標であれば、それに対する人々の印象が強く、類似の商標を見ると、著名商標と混同する傾向が強くなります。カルテロはラコステの信用に「便乗しようとする意図」が明らかである、と判断されました。

しかし、ラコステが勝訴するには時間がかかり過ぎました。報道によると、カルテロはすでに67万人超のフォロワーがおり、価格も日本円で約3100円でこのポロシャツが販売されており、有名ブランドを真似た低価格の商品というよくあるパターンです。

衣類であれば健康被害はほとんどありませんが、それにしてもいつも不思議に思うのは、こういう商品を購入する人が多いということです。
価格が安ければそれでよいのでしょうか?
低価格を望むのであれば、ノーブランドの商品を買った方がずっと周囲の信頼を損なわずに済むと思うのですが…。

それとも遊び感覚で購入し、そこに価値が創造されるのでしょうか?

ルテロの前身である「クロコダイル・インターナショナル」の商標登録6565289号


ラコステのワニマークは、以下のサイトよりご覧ください。


参考サイト
https://news.yahoo.co.jp/articles/d110896a15f480bcb59bca4159fbe990d60ad70c

https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/recordchina/world/recordchina-RC_931845

弁理士、株式会社インターブックス顧問 奥田百子
翻訳家、執筆家、弁理士(奥田国際特許事務所)
株式会社インターブックス顧問、バベル翻訳学校講師
2005〜2007年に工業所有権審議会臨時委員(弁理士試験委員)英検1級、専門は特許翻訳。アメーバブログ「英語の極意」連載、ChatGPTやDeepLを使った英語の学習法の指導なども行っている。『はじめての特許出願ガイド』(共著、中央経済社)、『特許翻訳のテクニック』(中央経済社)等、著書多数。