【考察】19-20季インテルの長所と改善点-データで見るインテル
こんにちは!TORAです🐯
今回はインテルのシーズン総括記事です。
「19-20季インテルの長所と改善点-データで見るインテル」と題しまして、インテルとセリエA他チームを比較して、インテルの長所と改善(または上積みしていきたい)点をデータから考察していきます。
●内容
セリエA19-20季のデータ(FBref.comから引用)を用いて、その考察をめぐらせて進行いたします(コッパやCL.ELは除きます)。
最初に記しておきますが、おそらくインテリスタの方にとっては、「はいはい!分かってる!そうだよね!」と思われることが多々あると思います笑。
なので、そもそも執筆するか迷いましたが、もしかしたら新しい発見があるかもですし、仮にイメージと合っていても数字という後押しがあることは価値になるかな?と思ったので筆を進めた次第です。
●攻撃-チャンスの質
まずはキャッチーなところからいきましょう。
各チームのゴール数とゴール期待値xG、そしてその差を表にしてみました。
今回はより純粋なチャンスクリエイトを見たかったのでPKを除いたオープンプレーの値を引用しています。
着目して欲しいのは「差」です。
この差がプラスになればなるほど、期待されている値よりも実際にゴールが生まれている=決定力がある、個の依存度が高い
マイナスになればなるほど、その逆=決定力がない、個の依存度が低い
であることが窺えます。
この表で最も分かりやすいのはSPALです。
SPALはゴール数もxGもワーストの数字で、かつ、決定力も個もないという…率直に言って最下位らしいデータとなっています(サポーターの方、申し訳ありません)。
インテルはどうでしょうか。ゴール数とXGは上から2番、差は6番目です。差の項目だけややギャップがありますね。
チャンスメイクの質を組織由来のみで切り取った場合、ゴール数とxGはニアが理想です。したがって、このギャップに悪い意味はありません。が、現実問題、個の力も合わさらないと難しい場面は多々あるでしょう。
例えば、メッシという神格的な個、理不尽ゴールの申し子スアレスを擁するバルセロナの差は16.1です。
こう見るとやや物足りない感もありますよね。
・考察
しかし、上述のようにこの差がプラスになり過ぎるのも考えものです。個に依存している=組織由来の攻撃が担保できていない!ということですので。
そう考えると、インテルのチャンスはそのほとんどが組織的かつ質が高いということになりますのでここはポジティブに捉えていいでしょう!
なので、個人由来ゴールをもう少し+αできたら理想的でしょうか。
特に期待したいのは2列目です。
上図は19-20季、18-19季におけるインテルのチーム得点者上位10人をピックしています。
19-20季は得点数を大きく伸ばしましたがフィニッシュはラウカク(ラウタロ+ルカク)への依存度が非常に高く、チーム内得点ランク3位以下のゴールは18-19季が上回ってます(もちろん単純比較はできませんが)。
これを19-20季に落とし込むと2列目の得点力と言っていいでしょう。ここを上積みできるか否かは非常に大きなファクターだと考えます。
⚪︎チャンスが組織由来、かつ質が高い
×フィニッシュはラウカクに依存、2列目のゴールを上積みしたい
●攻撃-ビルドアップ
続いては、チャンスクリエイトに至るまで。ビルドアップを見ていきましょう。
本項では、パス成功数とプログレッシブ(ここではゴールに向かい、かつ効果的と定義)なパス、そしてこの2つの割合に着目しました。
ご覧頂きたいのはパーセンテージの行。
このパーセンテージが持つ意味は「パス成功数の中でどれだけゴールに向かっているパスの割合が多いのか?」です。
インテルはご覧の通り、上から7番目の数字です。
しかし、このデータの見方は少し注意が必要で、ボール非保持型や下位のチームはカウンターやクリアの数が当然多いのですが、これが通ってしまうとかなりプログレッシブを稼いでしまうんですよね。
加えてボールを保持するための横や斜めのパスも少ないのでどうしても効率的になりがちです。
したがって、精度良く考察するには似た土俵であるボール保持型のチームで比べる必要があります。
インテルが(セリエAでは)保持型のチームであるということは是非こちらをご覧下さい。
ということで、ボール保持型上位7チームで比べてみると・・・
インテルが最も割合多いです。
これはインテルがいかに効率良くゴールに迫れているか?を示す指標になると推察できます。
・考察
具体的に言えば、後方から一気に2トップに当てる中盤空洞化がちゃんと機能していた!と言えるでしょう。
ただ、こちらも少し扱いが注意でして。
一概にパーセンテージが高ければ良い!ってものでもありません。現にスクデットを取ったユヴェントスのパーセンテージは下から2番目です。
ボール保持だけでなく戦術も加味しなければならない、ということですね。
ユヴェントスはポゼッションによる崩しがデータに反映されていると考えます。
ゴールを奪う為にゴールに向かわないパスを多用している、といったニュアンスが適当でしょうか。サッリのチームらしいデータですね。
したがって、裏を返すとインテルはゴールに向かい過ぎていた=中盤空洞化に頼り過ぎていた。という捉え方をしなくてはなりません。これは実際の試合を見ても妥当と言えるでしょう。
⚪︎中盤空洞化は機能していた
×中盤空洞化に頼りすぎていた
●守備−被ドリブル突破
続いてボール非保持、守備に移ります。
ご存知の通り、インテルは今季リーグ最小失点。データのみで見た場合、正直なところ粗を探す方が難しいです。
が、1点だけ明確なデータがありました。被ドリブル突破です。
成功率だけならまだしもアテンプトもそれなりの数なので、ハッキリとドリブル突破に弱いと言っていいでしょう。
インテリスタの方に伺いたいのですが、思い返すとドリブルでやられちゃったシーン、けっこう浮かびませんか?笑
悔しいですが頷けちゃう数値ですよね。
これは選手の質的な問題もあるかもしれませんが、それ以上に戦術的な側面が強いと思います。
・考察
インテルのブロック守備はゴリゴリのレーンディフェンスですし、まずセットしてから!がプレー原則なので、上がったWBの裏を突かれると他のチーム以上に後手を踏みます。
加えて、レーン担当が剥がされちゃった時のガバーリング。これはまだまだ改善の余地アリ、って印象です。
こうした隙からポジショナル、または姿勢の不利が生まれて被ドリブル突破を許してしまう、と考えています。
すみません、この辺はもはや考察じゃなくて妄想になってますね。
⚪︎基本的にはリーグ最小失点を反映した守備のデータ
✔︎唯一、ハッキリとしたウィークポイントが被ドリブル突破
●守備−水際のプレー
最後は今までよりもハッキリとしたデータではないのですが、実際のプレーを思い返したら点と点が繋がった気がしたので。
こちらは各チームのクリアとシュートブロックの散布図です(ナポリはもしかしたらデータエラーかもしれません)。
クリアとシュートブロックはゴールを守るためにフィールドプレーヤーが行う、言わば水際のプレー。これが多いほど「深くまで押し込まれている」回数(時間)が多いことが推察できます。
リーグ全体で見るとインテルに問題はないように見えますが、「押し込まれ度」が高いチームは当然、下位チームもしくは意図的にリトリートしているチームばかりです。
なので、リーグ順位7位までの上位チームで見てみると…
うーん…と首を捻るデータです。悪くはありません。ただリーグ最小失点のチームなのに、というモヤモヤがありませんか?
・考察
ここから考察…というかまた妄想です。
このデータを見て真っ先に思い浮かんだのがシーズン前半、1-1のドローで終わったフィオレンティーナ戦です。
あのゲームは積極的に前に出てきたフィオレンティーナにボールを譲り、カウンターに勝機を見出しました。このゲームプラン自体は怪我人続出だった当時では最善手に近い、と僕はコンテ監督に賛同しています。
ただ、あまりに好き勝手やらせ過ぎました。
こっちのプラン通りなんだけど、掌の上からはこぼれていた、みたいな。シュート数よりもチャンスの質を選んで効果はあったけど、それでもやっぱり打たせ過ぎたらこうなるよね、みたいな。
本試合のxG。チャンスクリエイトはインテルが優っていたと後押しになるデータ。しかし、シュート数はフィオレンティーナがインテルの倍以上でした。※こちらはunderstat.comより引用
原因は複合的な点が絡み合ってますが、たった一言で表すと、即時奪回の志向があまりにも欠如しているから!と断じます。
こちらも上述のブロック守備のスキームとリンクします。先ずはある程度セットしてからレーン上の相手選手に圧をかけるのを優先するので、どうしてもスタートが深い+遅くなりがちなんですよね。
となると、当然相手にしてみればゴールまでの距離が近くなります。これが水際のプレーがやや多くなってしまう理由と考えます。
このフットボールは正直、限界が見えている気がします。それは今年のバイエルンが、昨年のリヴァプールが示したでしょう(バイエルンはコロナ禍を加味しなくてはいけませんが)。
しかし、コンテ監督もおそらくここは危惧していて、中盤に強度の高いプレーヤーを求めている理由はココにあるのかもしれない、と妄想してます。
繰り返しですがデータがややマイルドなのでジャッジは難しいです。
ただ、個人的には本記事内での最重要項目と捉えています。
⚪︎セリエA上位チームらしく、リーグ全体の押し込まれ度は低い
×セリエA上位チームで見ると、水際のプレーがやや多いのでは?と感じるデータ
●まとめ
・攻撃(ボール保持)
⚪︎チャンスが組織由来、かつ質が高い
⚪︎中盤空洞化は機能していた
×フィニッシュはラウカクに依存、2列目のゴールを上積みしたい
×中盤空洞化に頼りすぎていた
・守備(ボール非保持)
⚪︎基本的にはリーグ最小失点を反映した守備のデータ
⚪︎セリエA上位チームらしく、リーグ全体の押し込まれ度は低い
×唯一、ハッキリとしたウィークポイントが被ドリブル突破
×セリエA上位チームで見ると、水際のプレーがやや多いのでは?と感じるデータ
以上です。
いかがでしたでしょうか?
本記事が新しい発見や各々のサッカー観の後押しになってくれれば幸いです。
ただ、データは全てではありませんし、取り扱いにも注意です。どうしてもゲームモデル的な要素や試合中の対局までは読み取れませんからね。
なので、いつも通りの注意喚起ですが、あくまで参考まで!という認識でお願いいたします!
ご覧いただきありがとうございました🐯
もしサポートを頂戴した場合はサッカーのインプットに使用し、アウトプットでお返しできるよう尽力いたします。