【ダービープレビュー的な】2023-24シーズン ユヴェントス序盤をインテリスタ目線で考察
こんにちは!TORAです🐯
今回は序盤とはいえ、頭一つ抜け出した首位と2位による天王山。
セリエA第13節ユヴェントスvsインテルをより楽しむためのプレビュー、なのか?笑
なんだろ?要はインテリスタ目線のユヴェントス記事。
前回記事でインテルは深掘りしたので、本記事はユヴェントスのこれまでを主観でまとめてみました。
先に申しておきますが、ところどころ辛味が効きますのでユヴェンティーノの方は”そっ閉じ”がいいかもしれません。気分を害しても自己責任でお願いします。
●結果的に5日坊主
リーグ12試合を消化。歩んできた道はまだ決して長くありませんが、すでに曲がりくねっています。
開幕戦のvsウディネーゼは超がつくポジティブでした。
先ず目についたのは前からプレス。
右IHミレッティを最終ラインに上げ、内切りを徹底し、外にボールを誘導させるハイプレスは強度と連動性が両立した高品質。
特にウェアが体現者。
距離の縮め方と球際の圧力が馬力だけじゃなく、タイミングなどの精度も伴っており、その先で絡め捕る為の制限装置として機能。個人的にボールを持って何かをする選手だと(勝手に)思っていたので意外でした。
ボール保持では実質新加入のカンビアーゾがのっけからハイパフォーマンス。
大外を起点にインサイド、そして中央に顔を出して、左右に配球。縦パスをつける。PA内に突撃してリターンをもらうなど大暴れ。
カンセロにインスピレーションを感じているとのことですが、ヘドバン頷きせざるを得ないプレー。
ユヴェントスのモダン成分の大半を占めていたと称して過言ではありません。
今季からチームのコーチングスタッフとなったフランチェスコ・マニャネッリ効果なのかは他サポでは分かりませんが、新しいことにトライし殻を破ろうとしている姿勢は明白。
と思ったら、後方からどシンプルなロングフィードの一撃もあり。
手数があるから大振りが効く、逆も然り、なのはなんとも好印象でした。受け手がキエーザとヴラホヴィッチなのはズルの領域。
後半は自身のトーンダウンと相手の慣れでぼんやりしてしまいましたが、前半のクオリティはインテリスタである僕も「欧州大会なしでこのサッカーされたらスクデット持ってかれるかも…」と冷や汗。
がしかし、この時点ではまだ杞憂でした。
続かない。
続けられないのか、続ける気がないのかはジャッジし難いですが、兎に角続かない。
個人的には後者の印象。
チャレンジ中なので機能不全になることは仕方ないんですが、そういうことではない気がするんですよね。これは主観全開の”なんとなく”だけど。
4節に昨季リーグ2位のラツィオを3-1で粉砕しますが、ユヴェントスの得点は3つともヴラホヴィッチがドゥシャンして、キエーザがフェデリコしたから!というゴール。
歯に衣を着せずだと、全く組織的ではなかったと断じます(ラツィオもだったけど)。
そして、迎えた5節サッスオーロ戦。
チームは4失点を受けて敗戦。ユヴェントスはこれまで7失点なので、なんと半数以上を稼がれてしまいました。
このショッキングな黒星にアッレグリさんのマッシミリアーノが起動。
以降はエンタメ成分は少ないけど勝ち点を積むことができる、リアリスティックなサッカーへと舵を切り直しました。
新しいスタートを切るも結果的には5日坊主。けれども“らしい強さ”は戻ったよね、がこれまでの歩み。
●リアリスティックを具体的に
本項ではリアリスティックなサッカーが具体的にどうなのか?を分解して記していきます。
基本的には最終ライン+ロカテッリの3-1でビルドアップスタート。前進を焦らずセーフティーに回し、相手のズレを模索します。
数字が細かいので割愛しますが、実際ユヴェントスはディフェンシブサードでのボールタッチ割合が”上位陣の中では”最も多い。
「中盤が最終ラインに降りて4バックのような形になる」、「代わりに左右CBを押し上げる」的なこともやりますが、リアクティブ性が強い手段。ビルドアップはポジショナルな成分が薄いことが特徴です。
この動きの少なさと、焦らなさによる安全性の高いパスの多さは「つまらない!」と感じてしまう原因だと考えますが、一方で、3-1でプレスに耐えて誘引できる能力は認めざるを得ません。
特にロカテッリとブレーメル。
「中盤が最終ラインに降りて4バックのような形になる」が能動的でないのは『ロカテッリに全体のヘソであり続けて欲しいから』が答えに見えます。つまり、チームのために静的であって欲しいのかと。
その分、攻撃参加も控えめになっており、アタッキングサードでのボールタッチ数やシュート数はキャリアワーストの数値です(多い少ない=良い悪いではなく、また、未だ12試合の段階なので様子見だけど)。
対して、後者は至極単純にビルドアップ性能が向上。特に縦にパスをつける判断の早さはユヴェントス加入時と比べると差は歴然と断じます。
話を「前進を焦らずセーフティーに回し、相手のズレを模索します。」まで戻すと、そのズレ発生時にビルドアップ隊がIHやWBにボールを送ると一気にスピードアップ。
基本的にはツートップに当てる。ヴラホヴィッチの楔やキエーザの溜めなどを質的な優位を経由し、大外のコスティッチを使ってチャンスに昇華させる、が最も再現性が高い仕掛け。
火種が少なくても大きな発火にさせるコスティッチの左脚は憎たらしいほど健在で、このサッカーをするなら大外はカンビアーゾじゃなくて彼が起用され続けるでしょうね。
ボール非保持の特徴は3-5-2を5-3-2にするボーダーラインの低さ。つまり、5バックの比率が高いということ。
ⅰ)WBのスタート位置が低い
ⅱ)前からプレス発動の機会と時間が少ない
上記2点が紡ぎ出すは超保守的な守備。開幕戦のハイプレスは見る影もありません。
ダニーロとサンドロの稼働時間が確保できず、ルガーニとガッティが彼らよりもプレスの流暢性に劣る反面、跳ね返し性能が高い点にも紐づくかもしれませんが、基本的には前からの守備は決して無理せず、自陣深くの中央に強固な城を築いて撃攘し、カウンターの機を窺います。
ここでもリスクヘッジは重く、「密集地で奪って、カウンタープレスを躱して速攻!」とか「カウンタープレスに耐えてポゼッション確立、配置復元!」など、ポジティブトランジションやボール保持局面に移行するプレーに無理は効かせず、潔くクリアが最優先。
その数はなんとリーグ最多で、籠城を貫いたフィオレンティーナ戦を除いても3本の指に入る数です。
クリアの多さは割と順位とリンクしやすいスタッツでして、逆を言えば、順位と大きく乖離する多い少ないはチームのスタンスを垣間見ることができます。この慎重さもエンタメ性が低いことの一要因でしょうか。
とはいえ、プレスを発動して、ちゃんとハマる時間もあります。
なんでユヴェントスの最終ラインって人が変わっても『前に出て潰せる』がずーっと強いんでしょうね。
圧力をかけて相手が無理に放ったボールに対して、陣地回復を許す機会の少なさはリーグ随一でしょう。特にルガーニ、ブレーメル、ガッティの並びは顕著。
過去にもジェコが「剛よく柔を制す」で封殺されまくっているので、テュラムは真価が問われる一戦になりそうです。
4局面をまとめるとこんな感じ。
●予想スターティング
先にアウェイのインテルに触れます。
ようやくフィットが見えた右CBパヴァールの長期離脱に加え、代表ウィークウイルスにより左CBバストーニがアウト。
スカッドにはビセックの名前があるとはいえ、最終ラインの選択肢は存在しないと言っていいでしょう。
合計99歳、ダービー後の12/2にはめでたく百寿を迎えるジェントルマントリオは代表ウィークも出勤。
ダルミアンが95分、アチェルビとデフライは180分のフル労働でコンディションの懸念大。
その他、バレッラやディマルコ、ついでにスギちゃんも2試合出ずっぱり(そしてまた代表故障した?笑)と代表ウィークの消耗はアウェイチームが大きいと言えます。
が、そもそもの台所事情がより厳しいのはホームのユヴェントス。
インテル同様、選択余地がなかった最終ラインはアレックス・サンドロが復帰して全体メニューに参加しているようですが、長期離脱明けでダービーは仮に出場できたとしても途中からでしょう。
エマージェンシーなのは中盤。
ピッチ外の事由による離脱者2名に加え、ヘソであるロカテッリが肋骨を骨折。出場可否が交錯していますが、最終的には「難しい」がファイナルアンサーでしょうか。
●妄想展望
いやー、両者厳しいタイミングでダービーを迎えましたね。
十中八九、インテルは予想通りの人選でキックオフとなるでしょう。対して、ユヴェントスはまだファジー成分がありそう。
最大焦点はロカテッリの代役が誰なのか。
記事執筆時点ではラビオ優勢ですが、ミレッティ説も存在するようですね。
前者であればリスクマネジメントの担保は間違いありませんが、理不尽キャリーや前線で身体を張れる”彼だからこそ”の武器を放棄することになるのでビルドアップ、フィニッシュワークどちらの影響が大きい。
本来であれば「ロカテッリがいないからこそ!ラビオがIHでいつも以上に頑張って欲しいんだよ!」となるのですが、『じゃあ誰がアンカーやるの?』が今のユヴェントスの泣きどころですね。
こう書くとミレッティがラビオの下位互換的な感じになってしまいますが、もちろんそんなことはなく。彼がIH起用じゃないことで失ってしまう面もあります。
が、彼が選ばれることでの論点は”リスクマネジメントの担保”と考えます。どうしたってラビオほどフィジカルや個人戦術に欠ける、つまり守備力が低下してしまう。ここは穿って見る必要はないかなと。
この起用や付与タスクは「アッレグリがこの試合でどうリスクヘッジするか、どうリスクテイクするか」に直結するはず。キックオフ直前のスタメン発表も結局は騙し合いですから、実際に試合が始まってからどうなのか?を先ずは注目したいですね。
まぁ、アッレグリならラビオアンカーでリスクヘッジ最優先だろうけど。笑
試合の大局は「インテルが攻めて、ユヴェントスが守る」が基本軸。ポゼッション率に大差は生じないと見ていますが、構図自体はこれで間違いないと見ています。
ユヴェントスとしてはスカッド事情が厳しくても、今の戦い方をするだけなのでこれでヨシ。
むしろ、いつも以上に重心を落としてロングカウンターを放り、疲労しているインテル白寿最終ラインに直接負荷をかけ続けるのは、”この日この試合における”最適解となる可能性すらあります。
ツートップの一角がヴラホヴィッチではなくケーンなのは恒星よりも遊星としての仕事を期待しているのでしょうか。つまり、二次攻撃よりも会心の一撃を優先。となると、やはりアッレグリも最終ラインへのダイレクトアタックを重視していそう。
とはいえ、ファン目線を抜きにしても総合力の高さはインテル優位と見るべき。
相対的にシュートや決定機が多くなるというよりも、「あと一歩で決定機!」というシーンが目立つと見ていますが、お家芸のクロスに関してはお相手さんが跳ね返し性能が高いメンツが並んだ上で中央ソリッドなので、可能性はさほど高くないと想定しています。
ただ、アウェイチームもこれでヨシ。
冒頭で紹介した記事の通り、今季のインテルは関係性優位・機能性優位が熟成されたと思っているので、あえてクロスを積み重ね、機を見てコンビネーションでポケットを抉り、マイナスを出してフィニッシュ!なんかが最も可能性の高い得点パターンかもしれません。
特にインテル、いや、セリエA屈指のチャンスメイカーであるディマルコと相対するは本来の主戦場は左サイドである右WBカンビアーゾ。
両利きモダンプレーヤーとはいえ、スペシャリストであるディマルコと本業でないサイドで相対して常に上回り続けるのは困難なはず。右CBガッティを上手く釣って、空いたスペースを強襲したいですね。
この点で残念が過ぎるのはバストーニの不在。
CBながら大外やペナルティエリアの角から高精度なクロスを放り、かと思えば、インサイドレーンの奥深くまで入っていける走力とタイミングの良さがある。
アチェルビは左CB起用でバストーニに成れますが、この点は流石に完コピできないので彼の不在はもどかしい。や、そんなこと言ったら、ユヴェントス側だってロカテッリがいれば、ウェアがいればってなるけれども。笑
ということで、全くまとまりなく、思いついたまま書いてますが、最後にインテリスタ目線全開の私心を書きます。ここから先、ユヴェンティーノの方はご遠慮ください。笑
◆
なんだかんだ書きましたが、この試合勝ちたい。兎に角勝ちたい。
ダービーであること、天王山であることはもちろんなんですが、その大前提の上にユヴェントスというクラブが出力する、このサッカーに負けたくない。
お財布事情が如何し難いほどに厳しいイタリアサッカーが昨季の欧州大会でいずれもファイナリストに名を連ねたのは(そして仲良く全敗)、他ならぬスポーツ面で捲土重来できたからだと思うんですよね。
相手に関係なく丁寧にビルドアップするモンツァやフロジノーネ、ダイナミックなレッチェ、デュエルと走力でアグレッシブに戦えるボローニャなど、上位陣だけでなく、リーグ全体的な視野でコミットメントの連鎖が見られる中、いっちゃん勝ってるクラブがそれに逆行するのは「なんだかな」が僕の本音。
それでもサポーターは応援するしかないし、勝てばいいんですが、それは推し目線の話。
そのスタンスは批判できませんし、そもそもする気が微塵もありませんが、単純に他サポの角度からユヴェントスというクラブを見ると「なんだかな」だし「より負けたくない」んですよね。少なくても僕は。
絶対勝とうぜ、インテル⚫️🔵
最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯
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