【TORAコラム】セリエA第15節アタランタ‐インテルを久々にレビューしてみた
こんにちは!TORAです🐯
今回はインテル年内最終戦!ということで、久々にレビューっぽいレビューをしようと思います。
負けてもなんとか振り絞って筆を取る予定でしたが勝てて本当によかった。
超苦手アウェー!年内ラスト!!ようやく上位陣からの白星!!!
課題ある内容でしたが、とりあえず結果にはほっこりですね。
というか、再開までしばらくあるのでこのタイミングで負けるとファンとしては辛すぎますよね。。本当によかった。
●前半:4−2−3−1の理由は
立ち上がり、まず驚かされたのはアタランタの配置。というかスカルヴィーニの配置ですね。最終ラインから飛び出してバレッラに密着マーク。
3-5-2と3-4-1-2を完全マンツーで噛み合わせるには中盤と最終ラインの選手が出ていくのがセオリー中のセオリーなので特段不自然ではないのですが、時間の経過とともに気づきます。
「それにしたってスカルヴィーニはバレッラを深追いするな」
「というかコープマイナースの初期配置が流石に高過ぎないか?」
そう、アタランタは3−4−1−2というよりも4−2−3−1と表現すべき配置。
うん、完全に4-2-3-1ですね。
インテルの3−5−2に対してより噛み合いやすい形を採用してきました。
この基本配置のメリットは中盤から1列上がったコープマイナースがバストーニへ圧をかける際、タイムラグが発生しない点。
インテルの前からプレスがめちゃくちゃ良い例で、中盤から相手の左CBや左SBを捕まえに行くとどうしてもタイムラグが発生しますし、周囲と連動していないと出ていった先のスペースが使われてしまいますからね。
特に立ち上がりはこの「スタート位置が高いぜマンツーマン」にしてやられました。
インテルは解決策として、ここ最近明確にオプションとして確立した感がある「バレッラが左に流れて密集を作るよ」作戦を多用します。
今季を見ているとどうしても昨季の品質と比べちゃいますが、「昨季よりも今季が上回っている」点もあり、その代表例となるのは『選手間の連携』だと考えています。
これはチームや個人間の成熟だけではなく、ルカクとジェコの特性の違いにも由来はあるでしょう。
楔役としてある程度溜められる前者に対して、後者は対面の選手に捕獲される前にノータイムで周囲と連携したいマンなので、その理解がようやく体現に繋げられるようになったと見ています。特にラウタロは。
●前半:突破口は新戦力と新フィット
とはいえ、押され気味だったインテルの突破口は「バレッラが左に流れて密集を作るよ」ではありませんでした。いや、これも効いていたとは思うけど「もっとアイコニックな突破口は別」ってニュアンスが正しいか。
ⅰ)新守護神オナナのフィード
サパタがデフライを離してオナナに圧をかける機会が少なかった、その圧自体も強いものではなかったという要因もありますが、彼に預けてからのフィードが困った時の逃げ道ではなくて「最後方の発射台」となっていたことが先ずは大きかったと見ています。
12:30〜の一発フィードからのビッグチャンスはオナナだからこそのチャンスメイクですね。
そして、その受け手がポジションチェンジで最前線に顔を出したのがディマルコだということもその後に影響をもたらしたかな、と。
ⅱ)左WBディマルコが空く理由
前項でアタランタが4−2−3−1するメリットを挙げましたが、デメリットも存在します。
WBが自陣低くに位置した場合、捕まえに行くのにタイムラグが発生する点。
もちろん、リスクよりもリターンを求めハテブールの初期配置を上げれば対応ができますが、空いた広大なスペースをオナナのフィード一発で使われてしまう可能性がある点。
そして対面の相手は戦術的なランニングの鬼。
上記の通り、狡猾なポジションチェンジで最前線にも効果的に顔を出す。不用意に飛び出せば、これまた背後のスペースを使われる可能性があります。
となると、リスクマネジメントに傾くのはベターでしょうね。ハテブールやガスペリーニ監督に非があったというよりも、オナナとディマルコが単純に良かった。
特に前者はセービングやコーチングなどの本務ではなく、ボール保持の局面でチームの勝利を助けました。その貢献度は非常に高かったと思っています。
●後半:ペリシッチの代わりはみんなで
後半、アタランタは選手交代こそあったものの、それは4−2−3−1をより馴染ませる為のもの。
両者前半と大きな変化なく後半に入りましたが、スコアを動かしたのは「”変化によって失ったもの”ものを取り戻した」側でした。
またも取り上げます、ディマルコ。
彼の才能が花開いたのは3バックにおける左CB。最終ラインからの戦術的ランニングは特異な破壊力でヴェローナとインテルの飛び道具へと昇華しました。
しかし今季は左WBが主戦場。
ゴセンスを抑えてのファーストチョイスですが、消去法的な側面が強いのは否めないでしょう。彼自身のパフォーマンスもやはりWBだと制限されていると見ていました。
端的に言えば勿体無い使い方をしているな、と。
ただバストーニとディマルコのポジション争いもまた、勿体無いんですけどね。
左WBはそんなもやもやの中でシーズンを走っていましたがここにきて彼はブレイクスルーした感がありますね。
WBとして低いポジションでも逃げ道になれ、大胆なポジションチェンジで相手守備陣に混乱を与えられる。そして安心安定の高精度クロス。
いやこれペリシッチじゃん笑
2点目の際、ディマルコのランニングとクロスにペリシッチを重ねたのは僕だけじゃないと思います。
正確に言えば3点目も。
ボローニャ戦に続き、本節もCKからのニアが炸裂しましたね。で、前節はとゴールを狙ったバックヘッドでしたが今回はフリックパスだったでしょうね。
つまり、パロミーロのオウンゴールはその通りで、言葉は悪いですがラッキーゴールっちゃラッキーゴールだった。
が、重要なのは再現性があったこと。
CK時の狙い目であることは間違いなくて、それを2戦連発で結果に繋げた点は手放しの賞賛。次から超警戒されるでしょうがそしたら中央やファーが活きる。デフライやシュクリニアルの出番です。
そしてこの形…ニアフリック担当だったペリシッチを想起させますね笑
ラウタロが担当になったのかは分かりませんが、ともにスクデットを掲げたチームメイトが補完する様はなんともエモいですね。良き。
●雑感:頑張れ、イタリア
価値ある勝利だったのでここまで褒めちぎって参りましたが、課題をスルーするわけにはいきません。
お説教は様々あるのですが勝利に免じて今回はしゃあなしで2つだけで勘弁します。何様だ。
ⅰ)ファー問題
これはもう理屈じゃないですね。
明確にファーが弱点、明確にファーを狙われていて、修正できる時間を過ごしてきたのに、明確に狙われてやられる
これはもう理屈じゃないですね。
素人はこれ以上言及できないです笑
https://note.com/interamara/n/nf03722488e84
なんとかしてください笑
ⅱ)右WB問題
本節はドゥンフリースのビルドアップ能力の低さが改めてクローズアップされた試合でしたね。
プレス耐性が低いのは言わずもがな、圧が弱いタイミングでも展開力のなさも悪目立ち。ビルドアップの貢献は非常に少なったですね。
パススタッツが興味深かったのでご紹介します。
スタメンのディマルコ+バストーニの左組とドゥンフリース+シュクリニアルの右組のスタッツを比べてみました。
左と右でパス回数はイコールと言って良い数字ですが(正確に言えば、スタメン左組が出場時間数が少ないので左のパス回数が多い)、内訳は対照的です。
回数を上手く分け合っているディマルコとバストーニに対して、右はシュクリニアルに依存していますね。
しかもドゥンフリースは成功率も低いですね。ちなみにFWのラウタロよりも低かったです、コラ!
「ドゥンはアタッキングユニットとして高めにいたんじゃないの?」
とも想定できますが、アタランタのマンツーマンプレス相手では流石にドゥンフリースも自陣深くにフォローに入る機会が多かったので平均配置はフラットです。
にも関わらずボールに触る機会が少ないのはやはりそうゆうことでしょう。
機会そのものだけではなく「ゴール方向のパスの距離」でも左が726mに対して、右は405mと明確な差があります。
これを個人で見てみるとドゥンフリースはなんとたったの32m。スタメン組断トツワーストで、11分しか出場していないゴセンスにも劣ります。
もちろんパス回数やベクトル(ゴール方向)が評価の全てではありません。パスだけでなくボールを運んだり、低い位置で触ってなくてもそこからのオフザボールで結果的に前線でチャンスに絡めばモウマンタイ。
なんですが、それも出来ていなかったのは…おほん、これ以上はオーバーキルなんでやめておきます笑
このパフォーマンスを鑑みて「ベッラノーヴァを出せ!」という声も見られました。
ここまで斬っておいてなんですが、私的にはインテルビルドアップのスキルはまだドゥンフリースが軍配が上がるかなと思っています。
シモーネ監督がブチ切れたという89:00~のロストが象徴的なんですが、彼は詰まると大きいドリブルで内に逃げるのがパターン化、というか、それしか出来ないのが深刻な課題(伸びしろでもあるけど)。
周囲との多角形構成もまだぐちゃぐちゃなので、ボールを引き取っても必然この「詰まっちゃうケース」に追い込まれるのが散見されます。あのシーンでは完全に狙われてましたね。
ということで、もし冬にスタメンクラスを補強できるなら現時点では右WBが最も頷けるんですが、ドゥンフリースもベッラノーヴァも他のメンツが搭載していない質的優位を兼ね備えていて信じて待ちたい思いもあります。
実際彼のスピードは定量的にもお墨付きなんですよ。
下記は15節までのチームトップの最高時速選手をまとめたものです。
ドゥンフリースは圧巻!7試合でチームトップです!!!
…本音を言えばもっと席巻していると思いましたw
ドゥンちゃんをアゲたかったのですが、ディマルコをさらにアゲた感もw
話を戻すと、ドゥンフリースもベッラノーヴァ、2人ともW杯で何かを得てきてくれればいんですけどね。
自信を掴むのも、挫折から学ぶのもW杯という舞台以上に勝るものはそうないでしょう。
頑張れオランダ!
頑張れイタリア!
最後までご覧頂きましてありがとうございました🐯