【ELラウンド8】インテル−レヴァークーゼン マッチレビュー
こんにちは🐯
今回はELラウンド8 インテル-レヴァークーゼンのマッチレビューです。
このカード、なんと18年ぶりとの事です!その際は2-0でインテルが勝利してますが今回は果たして。早速見ていきましょう!
●はじめに
インテル−ヘタフェのレビュー内で「レヴァークーゼンはバーティカル(縦方向)志向の強いチームと認識している」と記載しましたが、今期は1試合もチェックしていないので、ざっくりとデータを確認したところポゼッションも得意なようでした(不用意な発言すみません…)。
むしろベースはポゼッションかな。FBref.comによると今期のブンデスでパスアテンプト(試みた回数)と成功数はバイエルン、ドルトムントに次ぐ3番目の数字です。
縦の展開はポゼッションでスペースが捻出できたら。もしくはポジティブトランジション時に!って感じそう。メリハリつけてそうですね。
その他、データから気になったことを羅列します(データそのものは長くなるので割愛)。
✔チャンスの質自体はトップ4と比べるとハッキリ劣る=ポゼッションはフィニッシュワークにあまり貢献していないのかも?
✔しかし決定力がある=↑と合わせて、個による得点(しゃーない系、理不尽形)が多い、と考察できる。
✔被ゴール期待値がリーグ順位よりも下=上位陣の中ではチャンスを作られがち。
✔️守備的スタッツがよろしくない=特に最終ラインは物足りない。
ということで、大枠はいいんだけど局面局面の精度に課題を抱えているのかも?と妄想できます。
前回のヘタフェと通じるところがあるかもしれません。前回の経験を活かせるかがポイントになりそうですね!
●スタメン
●前半
・モダンなビルドアップ
まずはレヴァークーゼンのボール保持を見ていきましょう。基本的なフレームは【左で組み立てて、中央or右で仕留める】です。
✔︎配給はバウムガルトリンガーのサリーダ・ラボルピアーナ。
✔︎ビルドアップの入口になるのはシンクフラーフェンが多め。
まず要となるのはCHのバウムガルトリンガーです。彼はサリーダ・ラボルピアーナ(CBに降りてボールを引き出すこと)でボールを引き出し配給役になります。
届け先は左SBのシンクフラーフェンが多いです。理由は2つあると考えます。
1つはボールサイド側(左)に司令塔のデミルバイがいたこと。
もう1つはSHの兼ね合いでしょう。タスクとして、ディアビはアウトレーンでボールを運ぶ。ハヴェルツはハーフスペースでチャンネルを狙いフィニッシュに絡むことが主のように感じました。
その為、ディアビはアウトレーンに駐在することが多く、シンクフラーフェンのプレースペースが生まれやすかったように見えました。
左でできた多角形でボールを運び、フォラントやハヴェルツで刺す!というのが狙いだったと思います。
なので、サイドは必然的にアシンメトリーになりますがこれはデータにも現れていました。
LSBシンクフラーフェン(上)とRSBベンダー(下)のボールタッチ比較。前者が明らかに低めでプレーしてます。※Who Scored.comより引用
チームのプレーエリアも。自陣左でのプレーが多いことが分かります。※Sofa Scoreより引用
総じて、ビルドアップそのものはかなりモダンで完成度が高いように感じました。非常にシステマチックでしたね。
・優位を消すプレッシング
対するインテルのボール非保持。今日は前プレ(前からプレス)の強度が高かったですね。プレスの噛み合わせは以下の通り。
✔︎ブロゾヴィッチはバウムガルトリンガーをマーク。
✔︎WBは低めの位置でSHをケア。
まずは気になったのはブロゾヴィッチ。IHを追い越して前プレをかけていました。
この形は中断前も度々やってましたね。シーズン後半のミラノダービーなんかもそうでした。意図としては高い位置でのポジティブトランジションの精度を上げたい、というところでしょうか?
続いてWB。インテルが前プレをかける時は第一ラインがコースを制限し、WBと連携してサイドの低めをボールの取りどころにするのがスタンダードでしたが、今日はその形は全く見られませんでした。
この理由こそ、本試合のポイントだったと考えます。
1.ディアビとハヴェルツを警戒していた。
2.ボールの取りどころを中盤の3枚に定めていた。
後者が大きなファクターです。バウムガルトリンガー、パラシオス、デミルバイは3枚とも動けますがプログレッシブなパスやボールキープに関してはもう一歩!といった印象。
これが前項で紹介した「チャンスの質はトップ4と比べてハッキリと劣る」に繋がっているのでは?と感じました。ビルドアップ自体はいいので勿体ないですね!
十中八九、インテルもそこはスカウティングしていて、
・中盤の3枚は強度のあるプレッシングで位置的&数的優位を消せば質的優位で上回れる。
・あとは個で持っていけるディアビとハヴェルツのリスク管理を高めればいい。
というプランだったのでは?と妄想しました。笑
まぁなんにせよ結果はジャストだったでしょう!
失点こそありましたが、前半30分頃まではほぼ完璧にレヴァークーゼンの攻撃をシャットアウトしてました。その後は強度が落ちてしまいバイタルを使われるシーンが散見されるようになりましたが水際ではしっかり抑えてましたね。
と、失点のことを触れたのでここでスコアのことを。
先制点は15分。デ・フライの高精度フィードをラウタロがヒールで落とし、ヤングがボックスのルカクへ。ビッグロムは力技でシュートを放つもシンクフラーフェンがディフレクト。しかし、セカンドボールを拾ったバレッラが右のアウトサイドシュートを流し込みました。
続く6分後、またもヤングがボックス内のルカクへキーパスを通し、またもルカクが力技でシュート。倒れながら放ったシュートは威力こそなかったもののフラデツキーの脇を通過していきました。
しかし24分、ゴディンのクリアをバイタルで拾われるとハヴェルツがフォラントのワンツーで抜け出しネットを揺らします。ここはハヴェルツの個人技と少しの運にやられました。組織的な攻撃ではありませんでしたね。
9分間に3つのゴールが生まれた前半。2-1で折り返します。
●後半
すみません!前半長くなっちゃいました。笑
いやー、今日の試合は本当に面白くて…😅
さて、ここでインテルのボール保持とレヴァークーゼンのボール非保持を見ていきたいと思います。
・誘う!?中盤省略化!
普段はどうか分かりませんが、今日のレヴァークーゼンはハイプレスやゲーゲンプレッシングのようなドイツ(ブンデス)を想起させる守備戦術ではありませんでした。
形で言うならミドルプレスになるのかな?ちょっとユニークな守備でしたね。
✔︎前線の4人は前プレ隊。ただしハメではなくコースやプレー制限が目的。
✔︎パラシオスとバウムガルトリンガーもIHについていく。ただ2人とも深めに追うことはない。
✔︎最終ラインは高めではない。なので中盤と最終ラインにスペースが空く。
スタートはこれです。中盤省略化にもってこいじゃん!な形。ただ、これでロングボールを出すと…
✔︎SBが絞る。
✔︎パラシオス、バウムガルトリンガー、デミルバイが一気にプレスバックして中央を締める。
でセカンドボール対策をします。
こう記すと論理的な感じがしますが…
・ポジショナブルプレー、ここに至る
ここはインテルが上回りました。ポイントは先ほど同様2点。
1.ラウカク、特にルカクが最終ライン相手に質的な優位を生み出し続けていた。
2.レヴァークーゼンの空いた中盤横のスペースをWBが効果的に使えていた。
ここで先ほど長々説明した先制点のシーン。ルカクがシュートを打つところまでを図解していきましょう。
✔︎デ・フライのドンピシャフィードでスピードの質的優位があったラウタロがチャンネルを狙う。
✔︎空いたスペースにヤングが上がって決定的なパスを出す。
✔︎ルカクがタプソバ相手にフィジカルの質的優位でシュートまで持っていく(シンクフラーフェンがブロック)。
ご覧の通り、狙いの全部盛りです!質→位置→質→そして、バレッラが詰めたことでの数的優位。ポジショナブルプレーの優位を存分に詰め込んだゴールでした!
そして後半も大枠はこの形です。
インテルは少ない手数でボールを前に運び、アタッキングサードで強引に勝負を仕掛ける。前半で取り上げたボール非保持以上に、ボール保持は優勢だったと断じていいでしょう。
さて、この後は…レヴァークーゼンは次々に攻撃的な選手を投入。対してインテルもエリクセンを始めたとした選手交代でディテールを変更してきます(エリクセン良かったですね!)。
ここについても掘り下げて行きたいのですが…さすがに長文過ぎるのでここらへんで自重します。笑
この後の試合展開は欧州のラウンド8に相応しいフィジカルもメンタルも全面に押し出すような白熱したプレーが続きます。
ただ、戦術的にそこまで大きな変化はなかったかな?という印象。レヴァークーゼンはかなり大胆にカードを切ってきましたが、単に攻撃的な選手が入っただけ感は否めないかな、と。
ハヴェルツがトップ下に入った時はバイタルの流れ変わりそうだなー!と思いましたがさほど機能していませんでしたね。まぁ疲労もあったとは思いますが。
試合はこのまま2-1でタイムアップを迎えました。
スコア インテル2-1レヴァークーゼン(15分バレッラ、21分ルカク、24分ハヴェルツ)
●雑感
・完勝はデータにも
Sofa Scoreによると(データは、左がインテル、右がレヴァークーゼン)
✔︎ポゼッション率 36:64%
✔︎パスアテンプト 327:553
✔︎パス成功率 82:88%
レヴァークーゼンにとことんボールは譲りましたが、
✔︎シュート数 18:9
✔︎オンターゲッツ 7:2
✔︎ビッグチャンス(超決定機) 5:1
どちらが精度の高い攻撃ができていたか、また相手の攻撃を抑えられていたか、は明白です。
ピックアップしたいのはビッグチャンス。
コレ中々条件が厳しくて点が入ったとしても0だったりすることはザラなんですが(直近だとナポリ戦が0)、今日はなんと5という数字!インテルがいかに組織的に崩せていたかを測り知ることができます!(裏を返せば今日は決定力不足ってことですけど笑)
2-1と競ったスコアになりましたが内容は完勝と言っていいでしょう!胸を張ってセミファイナルに進めますね!
最後に。
今日の試合は戦術面、フィジカル面、メンタル面、全てが詰まっていて非常にエンタメ性のあるゲームでした!(なので思わずレビューも長くなってしまいました…)
とにかく面白かった!インテルにもレヴァークーゼンにも感謝と労いの意を伝えたいですね✨
さて、これで来季のCLはポット3確定でしょうか?でも、ここまできたら優勝してポット1を目指しましょう!!!
FORZAINTER!!⚫️🔵
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