【データ考察?】20-21シーズン インテル スタッツアワード
こんにちは!TORAです🐯
今回はインテルデータ考察記事 第2弾!タイミング的にもう第3弾はないと思いますがw
とにかく第2弾!
「20-21シーズンのインテルスカッドをスタッツで表彰しよう!」
というアワード企画です!
実は本記事は6月上旬には執筆完了していましたが、YouTubeチャンネル「セリスタ」の都合上、このタイミングでのアップになりました。
選手の走行距離にテーマにした第1弾も重めの記事でしたが、今回もマニアックなスタッツでしっとりと楽しめるニッチな記事を目指しますw
・注意事項
✔チーム内で比較するので今回はフィールドプレーヤーのみに絞ります。
✔スタッツはFBref参照で統一しています。
●攻撃編-SCA、GCA
SCA(Shot Creating Actions)とGCA(Goal Creating Actions)はスタッツ参照元であるFBref独自スタッツです。
・SCAの定義
シュート直前の2つのプレー関与。シュートに繋がるドリブル・パス・シュート(ポストに当たったり、途中で味方に当たる、などのケース)、セットプレーからシュートに繋がった被ファウルを指す。
GCAはそのゴールバージョン。
一言で表せば「どれだけシュート(ゴール)創出に絡んだか?」です。
パスやドリブルなどチャンスクリエイトを想起させるような因子だけでなく、シュートやその後のセットプレーでシュート(ゴール)に繋がった被ファウルなど、本人由来の側面がそこまで強くない因子も存在します。
個人的に、本スタッツはこの”本人由来の側面が強くない”部分が好きなんです。
単なるチャンスクリエイトだけでなく、フィニッシュワーク全体の貢献度、依存度が窺い知れるようで。
では、順位の発表です!
まずはSCA(Shot Creating Actions)。
続いてGCA(Goal Creating Actions)。
両スタッツともに1位はルカク。
特にGCAに着目してください。
SCAもGCAも”直前”のプレーを指すので、シュートとゴールそのものは含まれません。
つまり、
ルカクはセリエA20-21シーズンにおいて、
自身の24ゴールとは別に、チームの24得点に絡んだ
ということです。圧巻ですね!
考察っぽい色を出すなら、着目すべきはサンチェス。
1試合平均の値はダントツでチームトップ。
GCA/1試合平均1.18はアタランタのイリチッチと並び、リーグトップとなる値です。
額面上は「1試合1ゴール以上に絡むパフォーマンスを発揮する」と読み取れます。
しかしながら、1試合平均スタッツは累計(実績)スタッツに叶うものではありません。
結局、結果を残した者勝ちです。
また、サンチェスの場合、出場時間が少ないので値が高くなっている側面もありますしね(分母が少ないと値が高くなりがち)。
あくまで参考値として捉えてください。
●攻撃編-ドリブル突破、”運ぶドリブル”
なにかの記事で書いたと思いますが、インテルはドリブル突破が非常に少ないチームです。いや、正確に言えば、”ドリブル突破を試みる回数”ですね。
チーム総数はなんとリーグ19位。下から2番目です。
こう見るとなんだか悪印象ですが、これはチームの戦術に依るもの。良し悪しでジャッジするものではありません。
というか、僕はむしろドリブル突破が少ないことが今シーズンのインテルの強みがスタッツに反映されていると思っています。
話が長くなるのでここでは深堀りしませんが、インテルの動的な選手配置、そのクオリティの高さによるものかと。
要はドリブル突破という可能性が高くない選択肢よりも、パスという可能性が高い選択肢を選べる。その選手配置やシチュエーションが整えられる、継続できるということ。
閑話休題。
しかし、ドリブル突破試行が少ないからこそ、その内訳は気になりませんか?
結果、トップ3はバレッラ、ルカク、ラウタロ。
「おぉ~!彼らはドリブル突破が得意なのか~!」と読むよりは、攻撃的なタスクの選手、かつ、出場試合数が多いから、という機械的で冷たい認識が正しく思えます。
インテル得意の攻撃のひとつに、自陣に引いてアタッカーたちのスペースを創る手段があるのは、今さら取り上げるまでもありません。
彼ら3人はその先鋒を担うので必然、値は大きくなるのが理由です。
バレッラとルカク&ラウタロの成功率の差はドリブル突破を仕掛ける位置が最大要因でしょう。
わざわざ書くまでもありませんが、より敵陣で深くで、よりチャンスに繋がる位置にいるFWの方がMFよりも厳しい環境下でドリブル突破を図るシーンが多いですからね。
さて、ドリブルは突破するだけではありません。
ボールホルダーが持ち運ぶことで全体を押し上げる、数的優位・均衡をつくることもまた非常に重要です。
データを見てみましょう。
実は”運ぶドリブル”系のスタッツは重要視されているのか、何種類か確認できます。
今回はその内、「ドリブルで前方もしくはPA内に運んだ回数」をピックアップ。
要は”効果的な運ぶドリブル”と思ってください。
・読まなくていい蛇足
ちゃんとしたスタッツ定義も置いておきます。
【ボールをゴールに向かって少なくとも5ヤード、ドリブルで運ぶ。もしくはPA内へ運ぶ。ただし、ピッチの自陣40%内は対象外。】
ややこしい!笑
ハキミ、バストーニ、バレッラのトップ3が突き抜けて回数が多いですね。印象と合致する!という方は少なくないのではないでしょうか。
内、バレッラはアタッキングサード、すなわち敵陣に運んだ回数が最も多く、その推進力の高さはここでも裏付けできそうです。
●攻撃編-ロングパス数、クロス数
前項はインテルの戦術面に大きく影響を及ぼしていたスタッツと解釈していますが、その他の印象的なスタッツも見ていきましょう。
まずはロングパス。
シーズン序盤の3-4-1-2時代はロングパスの比率がリーグで最も低かったインテルですが、3-5-2に戻したあたりから増加傾向に。
最終的にはリーグ12番目の試行回数で着地。
その中心となったのはアンカーのブロゾヴィッチ、そしてCB陣だということが分かります。
バストーニは前項も踏まえ、ボールを運んで良し、発射して良しのモダンなCBであることを証明するような結果ですね。
と、これは回数メインのランキングですが、実は見てほしいのは成功率だったりします。
ただ表面的に成功率だけを見るのではなく「200回以上、ロングパスが成功した選手」という分母の条件を加えると、我らがデ・フライがなんとリーグトップの成功率です。
ポジション的な要素を忘れてはいけませんけどね。
プレッシャーを受けづらい中央CB。
特に20-21シーズンは縦に速い攻撃を警戒されて、デ・フライは(やむを得ずorあえて)放置するアプローチを取るチームが多かったので尚更でしょう。
とはいえ、
364本以上のロングパスを蹴って、
その成功率が9割近くを記録
この結果は正に”精密機械”と表現して差し支えないと考えます。
クロスに目を向けます。
印象として僕が感じたのは
歩留まりの悪さ
(クロスの回数に対して、PA内に通った回数が少ない)
です。
セリスタトークショー スタッツクイズの辛口問題で取り上げましたが、ハキミのPA内に通ったクロス数21ってリーグ3位タイの多さですからね。
しかも、このクロス全てがゴールに繋がっているわけではありませんし。
そう考えると、【なにが逆足WGだ!】みたいな、おふざけ副題付けてますが、逆足で内にプレーできる選手の寵愛は、やはり現代サッカーの自然な流れなんでしょうね。
インテルの話に戻すと、出場時間が多いとはいえ、WBに紛れてバレッラがランクインしてるのが面白いですw
●守備編-プレス数
続いて守備編です。
シーズン決定版の選手名鑑でもチラッと書きましたが、
ラウタロのアタッキングサードでの
プレス数はリーグトップの値
チーム内でも2位以下を大きく突き放しています。
それでいて、総プレス数も507回とチーム3位と非常に多く、彼の得点だけでない貢献を窺い知ることができます。
ちなみに総プレス数のチーム1位はバレッラ。
出場時間、実際にプレーを見れば、至極納得の結果ですね。
まだまだしゃぶります。
面白いのはルカクで、前からプレスの量はチーム2位ですが、総プレス数は6位とギャップが目立ちます。
この総プレス数を1試合平均に変換すると下から数えた方が早いほど少ない値です。
つまり、ルカクのプレスはアタッキングサード内に偏重している、と読み取れます。
インテルの引いたブロック守備が厳密に言えば、5-3-2ではなく、ルカクを頂点に、ラウタロが前線と中盤の中間的なポジションに位置する5-3-1-1であるということは、インテリスタの皆さまならご存じのことと思います。
この際、ルカクはカウンターの先鋒、深さを取って相手を間延びさせる。というタスクゆえ、ミドル・ディフェンシブサードでプレスをかけることはしない(少ない)。
なぜなら
前線の基準点(自身の配置)が乱れるから
当然のことですが、だからこそ、しっかりと数字の証左が見れるということでしょう。
うん、やっぱり守備スタッツって戦術が色濃く反映される。
●守備編-ボール奪取数
タックル+インターセプト成功数。
「クリーンにボールを奪取した回数」と捉えてください。
どちらも”人に対するアプローチ”というファクトが非常に強いです。
タックルはともかく、インターセプトは組織的なボール奪取というイメージで、”人に対するアプローチ”という表現にクエスチョンを抱く方が少なくないと思います。少なくても僕はそうでした。
ですが、ボールの受け手を狙うのがインターセプトなので、局面では、受け手に張り付くか、選手配置を崩して受け手(もしくはパスの軌道)に近づくか。
人に対して物理的な距離を詰めなければいけません。
いずれにせよ”人に対するアプローチ”なんです、と僕は解釈し直しました。
ということで、配置で守るインテルはこの手のスタッツがとにかく伸びません。
どれくらい少ないかというと、
タックル+インターセプトの値は
なんとなんとリーグワーストの値
なので、よくメディアで見かける「タックル勝利数リーグ1位!この選手のタックル技術はすごい!」なんて表現は非常に危険だなと危惧しています。
とはいえ、チーム内比較は有意義だと思うので見ていきましょう。
最終ラインではなく中盤がワンツーフィニッシュという結果ですが、これはポジティブに捉えられます。
3CBよりも前で止めた回数が多かったということですから。
配置で守るインテルにおいては尚更。
その中で、シュクリニアルとバストーニが引っかかります。
総数は1差しかないのに、タックル成功数の差は11と開きが。
なんとなくプレースタイルというかストロングポイントの差が出たかな?感がありますね。
●守備編-vsドリブル突破
被ドリブル突破をどれだけ止めたか。
比較的、受動的なスタッツなので、これは戦術が色濃く反映される守備スタッツの中にあって、個人性能の側面が強いと考えています。
ただし、ポジション別に評価するべきでしょう。
例えば、相手のドリブラーは基本的にアウトレーンやハーフレーンで勝負することが多いので、SBやWBの選手が対峙するケースが多く、必然的に止める回数も抜かされた回数も増えていきます。
というわけで、ハキミが1位なのは頷けますね。
左WBに絶対的なレギュラーがいたら、その選手も間違いなく1.2位にランクインしていたはず。
着目すべきはWon%(阻止率)でしょうね。
この点、ハキミがペリシッチを上回っているのは彼の成長を評価する材料になるかもしれません。
ちなみにバレッラの阻止率の悪さ(26.7%)に驚かれるかもしれませんが、中盤の選手は軒並み10%後半、もしくは20%台の数字で、むしろバレッラの26.7%は中盤選手の中でトップです。
そして、これはドリブル突破の成功率と対比になるでしょう。
バレッラの成功率の高さは、裏を返すと、相手中盤選手のドリブル突破阻止のパーセンテージが低い、ということ。
と、バレッラの名前を出しましたが、中盤選手全般に言えるでしょう。
実際のプレー、守備の目線だと、高い位置(相手チームにとっては低い位置)で仕掛けられた際に、仮にゲームみたいにタックルで強引に止めに行って失敗すれば、カンタンに数的優位を許すのでビルドアップはもちろん、下手をすれば一気に崩しのフェースへ移行されます。
したがって、プレー原則は、並走しながら次プレーを制限・予測するようなアプローチが最優先なはず。まぁ至極当然ですねw
ただ、事実をただ機械的にカウントするスタッツ目線では、これが”ドリブル突破”だとカウントされるケースがあるんでしょうね。
必然、中盤選手(特に前目でプレーする選手)のドリブル突破阻止率が低くなるんでしょう。
以上。
いかがでしたでしょうか。
インテル スタッツアワードと銘打っておいて、その実「スタッツから何が読み取れるのか」が話の本軸で、うだうだうだうだしちゃいましたが、スタッツやデータを扱って発信している以上、ここはぼやかせない部分で、今後も同じことを書き続けると思います。
けど、ここがスタッツのめちゃくちゃ面白いところでもあるので、魅力が少しでも伝わるよう、今後も精進いたします!
最後までご覧いただきましてありがとうございました!
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