【”勝ち方”で勝つ】コッパ・イタリア決勝フィオレンティーナvsインテル レビュー
こんにちは!TORAです🐯
今回はコッパ・イタリア決勝フィオレンティーナvsインテルのレビューです。
●スターティング
●前半-速射砲の不在
前半2分、出会い頭の一発を喰らってしまったインテル。
アチェルビのフィードをドドーが引っかけ、ニコ・ゴンサレスが拾うとボナヴェントゥーラ→イコネ→ニコと繋がれて被弾。
トランジション局面とはいえ、オープンやスピーディーではありませんでしたが、エンジンがかかっておらずポロッとやられてしまいました。
ニコが拾った場面でブロゾヴィッチが出ていき、マークが少しずつズレたのが痛手でしたね。
失点シーンそのものは尾をひくようなものではありませんでしたが、背景となったフィオレンティーナの土俵はその後もインテルを苦しめました。
攻撃的な彼らを象徴するような前からプレスです。
ポイントは
ⅰ)インテルの中盤は捕まえて離さない、徹底監視
ⅱ)両SBは対面のインテルWBを見るし圧もかけるがスタート位置の設定はさほど高くない
ⅲ)ⅰとⅱの両立
だと考えます。
ⅲ)の両立が設計の工夫です。
例えば、ドゥンフリースが降りてビルドアップをフォローしようとした場合。
スタート位置が低いビラーギが付こうとするとタイムラグが発生するので、中盤のアムラバトが出ていき、浮いたバレッラをSBビラーギが捕まえるという手段も存在(もちろんビラーギがそのまま捕まえるが基本軸)。
マンツーマンで対面を捕まえるが、そこに固執しない。
シチュエーションによってマークは流動的に。
基本と応用の量と質はファイナルに相応しい練度でした。
特に左側、アムラバトが量と質のアイコン。
インテル目線の右側はターゲットエリアだったと思いますが、彼あってこそでしょう。
翻って、インテル。
シーズンも最終コーナーを回り、同数プレスに対するアンサーは複数所持していますが、中でもコスパ良い手立てがオナナ。
最終ラインへのハブ役に。
降りてくるWBや動き回る中盤にジャストに付ける。
一気に前線へ送る。
判断の速さとキックの質は今やインテルのビルドアップに欠かせない装備です。
しかし、本日はその速射砲が不在。
ハンダノヴィッチも決して悪くはありませんが、比べてしまうと…感は否めません。
特に判断や決断のスピードに関してはフィオレンティーナのクオリティを打開するには物足りないと言わざるを得ませんでした。
●前半-活かし、応える
アグレッシブなフィオレンティーナに失点後も押されるインテル。
しかし、時間の経過とともに盛り返します。
前からプレスへの慣れによって押し込まれても耐えられる、いや、引き付けが可能になり最前線へのボールに威力が伴います。
ツートップどちらにも収まったのが大きかったですね。
両者収まる上、ジェコはデコイやキープで周囲の意識リソースを削ぎますし、ラウタロは反転や裏抜けで一発の恐怖を付与。
深さが生まれるので、前線へ送った際に時間とスペースがあることが彼らのアビリティをさらに輝かせる温床になりました。
そして、応える。
同点弾と逆転弾はどちらも最前線を活用した縦構成ではありませんでしたが、その決定力はチームが彼らを活かしたからこそのバフが乗っていると見たい場面。
件のゴール、得点期待値が確認できれば決してその数値は高くないシュートシーンだったと見ます(コッパ・イタリアはどのスタッツサイトも簡易的なものしか確認ない)。
これがチームがただただ劣勢な中、回ってきたチャンスだったら決め切れたか。
試合の中で積み重ねがない中、沈められたか。
チームが活かして、ストライカーが応える。
定性的な観点爆発ですが、でも、確信できる。
そんな逆転劇。
●後半-対照的な選手交代
フィオレンティーナの交代策は膝を叩けるものでした。
60分の交代は
✓カストロヴィッリ⇒マンドラゴラ
中盤のエネルギー補給
その後押し込む展開が増えることを見越して展開力の強化
✓イコネ⇒ソッティル
左注力の前からプレスの消耗を考慮
スペースがなくても力強さで打破できるソッティルの特性
による一手でしょうか。
さらに70分。
✓クアルタ⇒ラニエリ
ロングカウンター対策でイエローを1枚貰っているクアルタのリスク管理
✓アムラバト⇒ヨヴィッチ
”上記のリスク管理をした上で”、リスク上等!リターンを求める
他サポなのでピント違いもあるかもしれませんが、僕の考察です。
基本配置は以下の通りに。
フォーメーション変更を伴う交代策で最終局面を迎えたフィオレンティーナ。
ピックアップしたい選手はボナヴェントゥーラです。
盤面上は左DHですが、保持時は中央に鎮座。そこから持つ、運ぶ、創る。
中盤の人員減を感じさせない圧巻の掌握力。
78:35~のキャリー&スルーパスは絶品という言葉以外、見当たりませんね。
ヨヴィッチの引き出し方もよく、ハンダノ神による神セーブがなければ失点ものでした。
終盤に兵量を増やしてリターンを取りにいった結果、むしろ前線が渋滞して逆効果に…なんてシチュエーションはサッカーあるあるですが、紫の戦士たちは秩序がありました。イタリアーノ監督の手腕が窺えますね。
インテルの選手交代は対照的。3-5-2を維持、かつ、見慣れた交代。
先月なら「また選手のすげ替えだけだよ!」、「予定調和過ぎるだろ!」と世界中のインテリティからブーイングが飛んでいたでしょうが、今となっては”それがイイ”。
コンディションが戻ってきた理不尽モンスタールカク。後半残り30分からスタミナの心配なく暴れられるは、もはや暴力。
リフレッシュできていれば、まだまだ攻守において高いレベルを披露するデフライ。終了間際のカット→前線への運ぶドリブルはあまりにもファインが過ぎました。
終盤に必要なサイズと目の前のタスクへの傾注でクロージングを支えるゴセンス。
交代選手が現在のインテルの”勝ち方”と合致。彼らがパフォーマンスを発揮しやすいし、その活躍がソフトチェンジになっています。
リードを得たインテルは鉄壁の5-3ブロックでゴールに鍵をかけ、自慢のラウカクと、後半まで縦のエンジンを回転し続けられる2列目の一刺しを狙う。
強烈な二択を突き付け、相手の角を丸くし、ゲームをシュリンク。
決勝の舞台でも現在自分たちが突き進んでいる道を信じ、勝ち方という”型”を体現したインテル。
見事、シーズンカップダブルとコッパ・イタリア連覇を果たしました。
●雑感-美しき紫
本試合、トロフィーを掴んだのはインテルですがチームカラーを色濃く描いてたのはフィオレンティーナでした。
スカッドがインテル優位なのは疑いようがなく、それを気力・体力・知力で補填し、がっぷり四つで戦ったフィオレンティーナは敵ながら天晴と言わざるを得ない。
端的に言えば、「いやー超強かった」ですね。
戦術的なところに踏み込むと、ツイートやらスペースやらでいつも言っていのですが、彼らは横にも縦にもダイナミックですよね。
肝となるサイドからの攻略はポジショナルな練度が高く、チャンスクリエイトだけでなくフィニッシュにも幅と厚みがあるし、かと思ったら、前項で挙げたボナベントゥーラのスルーパス一閃のように中央レーンを縦にも攻められるし。
本試合はそれが明瞭でした。
反面、ウィークポイントも浮き彫りになってしまった点は見逃せません。
ズバリ、攻守における撤退フェーズ。
決勝は撤退守備で粗さを見せて、ECL準決勝では逆に撤退守備の攻略に手を焼いていました。
勝者チームのファンが言えることではないかもしれませんが、今日の授業料をECLに活かして今度こそ勝利の栄光に輝いてほしい。
試合終了後のサポーターの昂然たる声援や選手たちのアストーリを偲ぶ姿を見ると尚一層強く思います。
美しい相手でした。心からありがとう。
そして、おめでとう!インテル🖤💙
目指せ!カップ戦3冠🏆🏆🏆
超がんばれ!インテル🔥🔥🔥
最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯
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