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【いつも通りか改善か】CL20-21グループB 第3節レアル・マドリード−インテル マッチプレビュー
グループBきっての好カードはポジショナルなサッカーを志向するチーム同士の一戦だ。
しかし、両チームの姿勢やスタンスは対照的になるのかもしれない。
こんにちは!TORAです🐯
今回はCLグループステージ第3節レアル・マドリード-インテルのマッチプレビューです。
●想定されるスタメン一例
両チームとも引き続き欠場者は多いです。
レアル・マドリードは深刻なバックス枯渇。一方でアザールの復帰は非常に大きい。スタメンっぽいですね(図解はヴィニシウスになっててすみません)。
インテルはなんと言っても戦術の要ルカクの欠場が痛い。加えてサンチェスも復帰しましたがコンディションは低いでしょうね。こちらはアタッカー枯渇。スタメンではなさそうですがシュクリニアルの復帰は嬉しいですね。
こう見ると両チーム、対照的なスカッドです。
●内容
今回は各チームの試合を実際に見たインプレッションに加え、FBref.comのスタッツベースを加味し、
【両チームのボール保持とボール非保持の特徴】
【TORAが思う見どころ】
の2本柱でプレビューを進行いたします。
尚、以下をあらかじめご留意頂けますようお願いいたします。
ⅰ)今回のレビューはマドリディスタの方にも楽しんで頂けるような構成を目指しました。
その為、インテルの項においては内容の焼き直しが多く存在します。インテリスタの方は新しい発見が少ないかもですがご了承ください。
ⅱ)レアル・マドリードの試合はCL2試合、クラシコの3試合しかチェックできておりません。分母が小さいので誤った解釈も少なくないと思います。マドリディスタの方はお手柔らかにお願いします笑
●レアル・マドリードボール保持-個と組織の両立
✔︎基本フレームは昨季を継続する形。
✔︎ビルドアップはモダンな2ユニット型。
✔︎SBが高めに位置しアタッキングユニット入り。
✔︎その分、クロースやモドリッチが最終ライン落ちしてダウンスリーでビルドアップを担保。
DATA
・パスアテンプト(試みた回数)リーガ1位。内訳はショート・ミドル・ロングパスすべてで高順位。結果、総アテンプトがトップになる。
✔︎ボール保持もポジティブトランジションもポイントになるのはサイドとインサイド。SB、WGの推進力にベンゼマのスーパーなポストプレーという個が交わり組織由来の武器と化す。
✔︎加えて2列目の気の利いたフォローや攻め上がり、ミドルの一撃も見逃せない。
✔︎形はランダムだが、その狙いはかなり効率的な印象。ゴールに向かうプログレッシブ(ゴールに向い、かつ効果的とイメージ下さい)なプレーを好む。
DATA
・スルーパス、プログレッシブパス成功数、リーガ1位。
・したがってSCA(シュートに繋がったアクション)数もリーガ1位。
・ドリブルアテンプト、成功数ともにリーガ1位。成功率も◎。
✔︎逃げ切り・勝ち切りのゲーム進行、支配がバツグンに上手い。今のインテルに最も見習ってほしい力。
DATA
・ゴール数、リーガ2位(13G)、ゴール期待値、リーガ1位(13.7)。
手堅いイメージも強いが実はリーガ屈指の高火力。
●レアル・マドリードボール非保持-人重きのハードアプローチ
✔︎ボール保持のスキーム上、SB裏のスペースやそれをカバーしようとするCB間のギャップなど明確なアキレス腱はあるがクルトワ、ラモス、ヴァラン、カゼミーロの個が担保できる。
✔︎相手のビルドアップに対してのベースとなるのはハイプレス。高い位置でのトランジションを狙う。
DATA
・ハイプレスアテンプト、リーガ7位。
インテルのアテンプトと比べるとかなりの開きが。
あれ、意外と少ない?と思いきや・・・
・1試合当たりのデュエル成功数はインテルの倍に近い値(ざっくり計算。また本データのみSofaScoreより参照。)
・インターセプト成功数、リーガ2位。
おそらく少ないアテンプトでも確実にボール奪取やプレー制限に繋がっているんでしょう。ハイプレスがダメでもプレーが限定されてミドルサードで回収するシーン目立ちます。
✔︎プレスを躱されたり発動できなかったら両WGが中盤ブロックに入り4-1-4-1を形成。
✔︎ソリッドで固いが、今季はラインコントロールに課題がありそう。
●インテルボール保持-ポジショナルな5レーン占有
✔︎昨季の中盤空洞化はどこへ?今季はボールを握って崩すスタイルに。
✔︎レアル・マドリード同様、2ユニットによるポジショナルプレーを志向。
DATA
・レアル・マドリード同様にパスの総アテンプト、リーグ1位。
しかしインテルの場合はショート、ミドル、ロングパスいずれもトップ。3冠。成功率も良い。
・キーパス(シュート直結のパス)やプログレッシブパスもリーグ1位。
きちんとゴールにも迫れている。ポゼッションだけは圧巻!笑
✔︎ポゼッションにフレキシブルなポジションチェンジや後方の攻撃参加が加わり、ポジショナルに5レーンを占有し自らのアクションでゴールを目指す。
DATA
・ゴール期待値、リーグ1位(13.9)。
レアル・マドリードよりも1試合少ないにも関わらずその値はわずかながらに高い(リーグが違うので単純比較できませんが)。
・ゴール数はリーグ3位タイ(14G)。
今のところ期待値と紐づいてはいるもののここ最近の決定力不足は深刻。
✔︎WBを昨季よりも高めに押し上げ、ビルドアップだけでなくフィニッシャーとしてのタスクも与える。
✔︎左のビルドアップ、絶賛工事中。ペリシッチ起用の場合、大外に張りがちで上述のフレキシブルさが生まれにくい。
●インテルボール非保持-ハイプレスが肝
✔︎ボール保持同様、昨季と大きな変化。今季はハイプレスの頻度が大幅に増加した。敵陣でのボール奪回を志向するスタイル。
DATA
・ハイプレスアテンプトはリーグ1位の回数。
上述の通り、レアル・マドリードよりも多い。
✔︎プレスの成功率も比較的良いが、いざ剥がされるシーンはあまりにもイージーでお粗末。
✔︎予防的マーキング/カバーリングの練度も低く、後手の対応が悪目立ちする。
DATA
・ロープレスアテンプトがリーグ下から2番目と極端に低い。
高いポゼッション(押し込んでいるのでそもそもアテンプトが少ない)+ハイプレスを志向している(そもそも低い位置での奪回が少ない)ので当然と言えば当然。があまりにも顕著。うまく撤退できていない!とも捉えていいかと。
・デュエル成功数、リーグで下から数えた方が早い(こちらはSofaScoreのデータを参照)。
✔︎つまり、カウンターやバーティカル(縦方向)な速い展開に致命的に弱い。
●見どころ-レアル・マドリード、いつも通りを貫けるか?
レアル・マドリードの攻撃は、抽象的な表現になりますが”個”に”気の利いた個”がミックスされて”組織”に昇華させている印象を受けます。ゆえ、ランダム感があり狙いが絞りづらく厄介。
インテルからすれば最も苦手な形の一つになり、相性の良い相手と言えます。
しかし、スタッツベースのみで切り取った場合、ポゼッションやハイプレスなどレアル・マドリードが志向しているベースはむしろインテルに分があるように見えます。
リーグがちがうので単純比較はできず蓋を開けてみないと分かりませんが、もしもこの2点でインテルが上回ると根幹が崩れペースを見失う恐れも。
実際、CL2試合では自分たちのやりたい展開を上手く封じられて失態を演じてしまった感が否めません。
昨季を踏襲しベースが固まっていることがレアル・マドリードの長所でもあり短所でもあるのかもしれません。
いかに自分たちのサッカーをするか?
繰り返しですが相性は良いので、どこまで自分たちを貫けるか?がポイントになりそうです。
ちなみに勝負どころは左サイド(インテルにとっては被右サイド)かな、と思います。
インテルの右CBは ⅰ)ダンブロージオ:テクニックとスピードを押し出すアタッカーが苦手、ⅱ)シュクリニアル:Covid19からの病み上がり なのでヴィニシウスやアザールがとことん刺さりそう。
データを見る限りベンゼマも右より左に流れがちなので(アザール不在によるものかもだけど)、インテルの脅威になりそうです。
●見どころ-インテル、歩留まりを上げられるか?
ここまでご覧頂いたインテリスタの方はお気づきかもですが、レアル・マドリードのボール保持はミランと通ずるものがあります。
僕のイメージでは組織的に洗練されているのはミランですが、ピーキーなのはレアル・マドリード。理由はベンゼマで、圧倒的な個人性能で調和を生み出せる、ある意味矛盾のプレーヤーであること。ここが周囲と噛み合うと”個”と”組織”が両立してしまうので瞬発力があるんです。
良くも悪くも愚直なサッカーを展開する今季のインテル。
結局やることは当然のことしかありません。ミランに近しい相手ということで、ダービーでの反省点の改善は注力して欲しいところ。
ⅰ)今季最大の武器であるポジショナルなプレーでボールとゲームを試合し、レアル・マドリードのペースを乱す。
ⅱ)アタッキングユニットはハイプレスの剥がされ方に注意。あっさり躱されないこと。
ⅲ)ボール保持の段階からネガティブトランジションを意識した予防措置のプレーができるか。
でしょう。
ⅰは実際レアル・マドリードがポゼッションするかもしれませんし、ⅲは基本にして奥義と言うべきか。クイックアクションできるものでもないと考えています。
となると残りはⅱ。こちらももろちんハードルは高いですが、最近のインテルを見てるとブロゾヴィッチ以外は意識レベルの改善で多少結果に紐づけられそうな気がします(というか実際改善されてる)。
ハイプレスの歩留まりを上げる。
現実的に考えて直近で出来て、かつ効果的なのはこれに尽きるかと。
ハイプレスでハメる!ということだけでなく、自由を奪って味方を待ち数的優位を作ったり、プレー制限からミドルサードでの二次的なプレッシングでボールを奪回する、なども含みます。
ハイプレスの掛け方(例えば、最終ライン落ちするCHへの対応など)も手段や工夫は様々あると思いますので、ここでコンテ監督がどう手を打ってくるかがインテル側の見どころと考えます。
ちなみに、僕はこの一戦のことだけを考えれば、昨季の5-3ブロック形成を最優先→同一レーンの相手にミドルプレス。の守備戦術採用がベターだと思いますが、まぁコンテ監督はブレないでしょうね。
●まとめ
ミラノダービーは、いつも通りを貫けるか?インテルvsリアクティブな対応をどうするか?ミランの構図でしたが、本プレビューが見当違いでなければ今回は、いつも通りを貫けるか?レアル・マドリードvsリアクティブな対応をどうするか?インテルの構図になりそうです。
まだCL3節目とは言え、早くも正念場となった両チーム。死闘になることは間違い無いでしょう。グループBきっての好カードを一チームのファンとして、一サッカーファンとして楽しみましょう!
最後までご覧頂きありがとうございました🐯
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