【勝利の価値】セリエA 24/25第7節ローマvsインテル レビュー
こんにちは!TORAです🐯
今回はセリエA第7節ローマVSインテルのレビューです。
●スターティング
●狙いは、バックドラフト?
試合冒頭、ピックアップしたいのはローマの前からプレス。
設定はゾーン。左WBザレフスキが高めを取る、左肩上がりでプレスを仕掛けます。
フォーメーション上は4-2-4のような形に。
ローマの試合は結構見てますが、ここまでザレフスキ(左WB)が高かったことは記憶にありません。時として、パヴァールを追いかけ、ドフビクやペッレグリーニも追い越して最先鋒にもなることも少なくなかったですからね。
狼たちは、ミラノダービーのバックドラフトを起こしたかったのでしょうが、一方で自分たち視点の合理もあったのかなと考えます。
『今季序盤のインテル』的な記事を次の代表ウィーク中に出したいなと考えているのですが、トピックス一つ小出しすると、”昨季よりもさらに左肩上がり”なんですよね、今季の我が軍は。
「うん、知ってる」というインテリスタの声が聞こえてきそうですが、もちろんスカウティングをしている相手方もそれは分かっていて、例えばモンツァは明確に右寄りの守備アプローチ(=インテルの左を封じる)を展開してきました。
ローマの右はディバラ。
彼は瞬間強度を出せるタイプではありませんが、守備自体、特にカバーシャドウなどプレー制限や誘導は真面目に行うので、プランにもハマっていたと見ます。背後には可動域の広いコネがいるのも良き。合理性。
とは言っても、(あの試合の)ミランの質はありませんでしたし、そもそも仕掛けを貫くこだわりもありませんでした。ユリッチ流にマンツーマンで付くことも多かった。
ここはラインの高さやインテルのボールの持ち方次第。うまく分けられていましたし、実際に運用できていました。
●中盤空洞化
対するインテルは緊急事態。12分にチャルハール、27分にアチェルビが負傷離脱。中央ライン2枚を失います。
代わりとなるアンカーはバレッラがスライド。右IHにはフラッテージが入りました。
試合後にシモーネ監督が「ジエリンスキとアスラニがいれば、他の選択をしていたかも」と語ったように、まだこの段階ではアスラニをアンカーに入れる。もしくは、バレッラがアンカーだけど、IHにジエリンスキを置く、いずれにせよボールを動かせる選手を入れたかったと思いますが、こちらも負傷で両者とも起用できず。
対4-2-4(もやる)プレス、かつ、苦しい台所事情。ネラッズーリが選んだ一手は中盤空洞化。通常よりも低めにライン設定し、ツートップへの縦パスを基本軸とします。
ここからインテルは実質3-4-1-2に。
フォーメーションがそのまま噛み合うようになったローマは「バレッラのマークはクリスタンテ」という様相が強まりました。
バレッラはチャルハノールほどボールを配球できませんが、降りて、膨らんで、そして前線に顔を出してを繰り返す。動的な部分でビルドアップを担保。
クリスタンテがしっかり付いていくので、動くバレッラとフラッテージの高め位置のギャップにラウタロを入れて楔役になってもらうこと。
そして、深い位置にいるテュラムにロングフィードを届けて潰れ役になってもらうことに再現性を持たせました。
もちろん2人がタスクを入れ替えることもありますが、ベースは間違いなくコレ。
ラウタロは献身的かつ戦術性ある動き自体は良かったのですが、明らかにコンディションが悪く、機能したかと問われると難しいところです。やるべきことはやっていた、しかし、シンプルにパフォーマンスがついてこなかった。
一方でテュラムは戦術的にもパフォーマンス的にも◎。潰れ役として機能しており、縦パスの良いターゲットになっていました。
しかし、縦パスを入れてもその先の精度に欠いたことが本節のジレンマ。いや、今季のジレンマ。30分にはカウンターから決定機…を阻止される疑惑の判定も。
というか、本日はローマのビルドアップが変に固かったという背景もありますが、引っ掛けてのカウンターが多かったですね。
ここが最も期待値が高かっただけにどれか一つでも決めて欲しかったなぁ(後半の得点はパスを引っ掛けた、ではなくて、ザレフスキのミスを掻っ攫った、なのでニュアンスが異なる)と思いつつも、苦戦を重ね、少しは整備され始めてきたかなと思うところもアリ。
具体的にボールホルダーとの距離。出るところは出る、逆に距離を保つところは保つ。精度の高い繰り返しで相手の選択肢を削ぐ、質を低下させることで、乱雑になったところを仕留める。
この点において、今日はムヒタリアンが抜群だったと評価しています。
●ジェノア戦とは異なる3-4-2-1に
ムヒタリアンは非保持だけでなく、保持もGOOD。
アンカーバレッラと高めIHフラッテージを繋ぐ中間点になり、かつてのエリクセンのような小気味よいリズムを生むオンザボールはありませんが、歪さを埋めるポジショニングと正確性の高いなパスで中盤L字を機能させました。
これまたインテル序盤記事で取り上げる予定ですが、ムヒタリアンは昨季のバレッラよろしく今季は黒子役色を強めており、今節はそのアイコニックな試合になりました。
71分、ラウタロに代わって(まさかの)コレアを投入したのは3-4-2-1にシステムチェンジするため。
前線に関しては、ラウタロをタレミに替えるのが最も堅実な一手だったと思いますが、おそらくシモーネの中で、中盤L字が機能したからこそ、擬似的ではなくハッキリと2ボランチ(2CH )にして、撤退時は5-4-1で守ってのカウンターがベターだと判断したのでしょう。
そしてそれはムヒタリアンなくして断ずることはできなかったと見ています。
ジェノア戦のファイヤー風味、攻めるための3-4-2-1ではなく、一刺しの狡猾さを強める為の3-4-2-1。今季はこれまで以上に総スカッド勝負ですから、トライしてリターンを得た意義は大きい。
目論見通り、試合は終盤オープンに。スヴィラルのスーパーセーブがあったとはいえ、この局面で追加点が取りたかったですし、取れました。ローマもだけど。笑
とはいえ、今日は片一方がボールを保持し続けることなく、両陣地を行ったり来たりでスプリントも多く、疲労が邪魔をしたというファクトも強いでしょう。
実際、インテルで言えば、定量的にも今季リーグで最も走った試合となりました。
バレッラとムヒタリアンは走行距離12km超え、ディマルコはスプリント量が1.5km超え、テュラムも潰れ役の上に両クラブ最高速度を記録するなど、いやぁ頑張りました。
そりゃ試合後はこうなりますよね。
ここから3週間は地獄の連戦。
「苦しくても勝ち点を積む」が求められますので、そのスタートにモデルケースとなる試合をしたことの価値はとんでもないですね。
特にヤングボーイズ戦後のユヴェントス戦は
ⅰ)アチェルビとチャルハノールが不在、もしくは出場できたとしてもコンディションは間違いなく⤵️
ⅱ)お相手さんもブレーメル不在(ブレーメルだけじゃないけど)
を鑑みると、今回の戦い方は嫌がるんじゃないかと妄想してます。
戦い方はともかく、バリュー面でかなりクリティカルだったこの試合が起爆剤となり、昨季の強さを取り戻す、さらに高めることを期待しております。
超がんばれ!インテル⚫️🔵
最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯