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【具体的に何が悪かったのか?】セリエA24/25第1節ジェノアvsインテル レビュー
こんにちは!TORAです🐯
はじまりました、セリエA!
今季もフルシーズンは難しいですが、レビューしていきます。よろしくお願いいたします!
日本時間19日現在。欧州に出場する上位陣だとインテル、ミラン、ローマ、フィオレンティーナが躓き、コンテナポリが盛大にずっこけ、彼らを踏み台にしたヴェローナが首位です。カルチョしてますね。
さて、我らがインテルですがコンディションの悪さと集中力の欠如により致命的な結果となってしまいました。
特にコパ・アメリカの山を最後まで登り切った上に休暇を早く切り上げたラウタロは顕著でしたね。そりゃそうよ。
長いシーズンのたった1試合なんですが、判然としない内容でしたね。
— TORA (@labeneamata104) August 17, 2024
切り替えるというよりもしっかりと受け止めて、ショック療法になって欲しいです。
次は勝とう!!!!!
戦術のことをいくら語ったとて、結局のところ最大要因は戦術外にあると思っていますが、だからといって
「次はコンディションと集中力上げていこう!切り替えていこう!」
では、足りない内容なのがこの試合です。
長い旅路のたった一歩目なんですが、しっかりと受け止めて起爆剤になってほしいと思っています。つまり、喝です。
というわけで、今回は「具体的に何が悪かったのか?」にフォーカスした内容です。
●スターティング
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●距離が遠い”前からプレス”
先ずは当日行っていたスペースでも言及していたインテルの”前からプレス”を取り上げます。
ジェノアのビルドアップは焦らず、5バックによるやり直しを丁寧に(慎重に)行っていました。
対するインテルは、両IHが上がるお馴染みの形でジェノアの最終ライン3枚に数的同数でプレスを決行。
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やり方自体に異論はない、というか、非常にベーシックな手段なんですが、練度に難あり。
全体がコンパクトさに欠け、IHが上がる距離が物理的に長く、さほどプレッシャーになっていなかったのです。
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また、距離が長い=コンパクトに欠いたことで、周囲にビルドアップをフォローする余裕と時間があったことも痛手でした。
最も分かりやすいのは26:25〜のシーンでしょうか。
インテルの縦パスを引っ掛け、左WBからのやり直しで落ちつかせたジェノア。対岸の右CBヴォリャッコまでボールを渡し、インテルのプレスを誘引することで生んだギャップを活用し、中央に縦パスを通しました。
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このシーンではチャルハノールの重心が低く、CBバーニが浮いてしまう温床に。
ここでひっくり返ると一気に危険な擬似同数カウンターになるので、”出ていかず迎える”というのも選択肢ではあるのですが、今回はそれをチョイスしたのではなく、「チャルハノールが連動できなかったので、結果こうなった」が正しい見方でしょう。
このように左右CBを介して、中盤に縦パスを通されたシーンは再現性があり、総じて前からプレスの収支はマイナスとなった評価。
もちろん結果論ではありますが、コンディションが整っていない開幕戦、自分達で自分達の首を絞めてしまいましたね。
●リトリートに対して、縦に急ぎ過ぎた
続いてはボール保持の反省点。
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上図はセリエA公式レポートのヒートマップです。
まぁこの図を確認せずとも試合を見れば分かることですが、ジェノアはかなりドラスティックに引いてきました。
レテギとグズムンドソンが移籍し、さらにエクバンが負傷中。計算できるツートップがレンタル買取のヴィティーニャと本来CFではないメシアスしかいない台所事情で昨季王者と戦うので当然の選択でしょう。
さらに深い位置ではメシアスが一列落ちて、5-4-1で守ることも。
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対するインテルは揺さぶりを求めたいところですが、縦に急ぎ過ぎました。
スタッツサイトFBrefによると、インテルのプログレッシブパス(ざっくり、ディフェンシブサードを除く効果的な縦パス、と捉えてください)は51回。このスタッツの昨季リーグトップであるナポリが1試合平均46.3回。
パス成功数との割合は今回インテルが11.2%、昨季ナポリ平均が9.0%なので、積極的だったことがハッキリと分かります。
・補足
成功率に関して。
「え、たった2%じゃん?」と思うかもですが、この手の限定条件スタッツは2%も数字変われば、ピッチの印象は随分変わります。今回は最上位と比べているので尚更。
相手がリトリートしたとて、この数字を良いと評価するべき試合や事象も当然存在します。
この一戦で言えば、バレッラは敵陣密集地でも効果的な縦パスを供給してフィニッシュを演出。むしろ時間や空間のなさを連携で逆手に取り、カオスを創造していました。
私的に、2得点のテュラムがMOMなのは異論ありませんが、90分通してスーペルだったのは彼だったと見ています。
しかしながら、イレブン全体・試合全体で見ると、無理に縦に急ぎ過ぎました=良くなかったという評価がこの試合は当てはまるでしょう。危険な被カウンターの場面も存在し、流れの中から被弾してもおかしくはありませんでした。
相手がカウンターに懸けた試合、その土俵にあえて乗る。
それもまた王者たる戦い方かもしれませんが、EURO後の開幕戦、しかも鬼門マラッシで臨むにはリスクが大きく、まんまとやられましたね。
●総論
総じて、インテルはボール保持・非保持・ポジティブトランジション・ネガティブトランジションの4局面を自分達で、無理に、動かし過ぎた。
FBrefによるとこの試合のポゼッション率はインテルが68%ですが、数字の見た目に反して試合をコントロールしている印象は薄く、反対にジェノアは少ないポゼッションの中でも何故か”量”がありました。
必然、処理負担も増え、脳が消耗するわけですから、ミスが生まれてもしょうがない。それまでマーベラスだったビセックが最後にやらかしてしまうのも無理はないです。
繰り返しますが、本節はコンディションが整っていない状況での開幕戦。実際、この試合でスプリント量が1kmを超えた選手はインテルにおらず、定量的にもコンディションが全開でないことは確認できます。
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・補足
この試合以外も全体的にスプリント量は控えめだったので、もしかしたら定義や計測器(?)が変わったかもしれません(もう何年も追っていますが、割とサイレントで変更したりします)。
とはいえ、
ⅰ)上記を加味してもバレッラの548mしかないスプリント量は異常値(少ない)
ⅱ)チャルハノールも75分に交代したとはいえ、9.7km以下の走行量は少し疑問符(通常であれば、この時間でもギリ10kmは届く。これはスプリント量の話ではないですが)
この2点は抑えておきたいところです。
個人的な見方としては、敵の術計にやられてしまった以上に自分達で陥ってしまった感が強いですね。だからこそ、切り替えるのではなく、しっかりと受け止めるべき。
昨季は相手の土俵でも薙ぎ倒してきた試合も少なくありませんが、今季はスカッドの変化が少ないので対策されやすくなる懸念は否めません。
王者として強かに試合を掌握する・殺すカードも用意しておいてほしいですね。
以上!
最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯
スコア
ジェノア2−2インテル
ヴォリャッコ20'
テュラム30'、82'
メシアス95'
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