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【パターンに対応せよ】セリエA 24/25第14節フィオレンティーナvsインテル プレビュー

こんにちは!TORAです🐯

今回は好調フィオレンティーナ戦のプレビューです。今季のヴィオラはめちゃくちゃ面白いサッカーをしておりまして、結果はもちろん内容もスーペルGOOD。

とはいえ、謙虚なフィオレンティーナファンがまだ口に出せない”アレ”を、そのまま口の中に留めて頂くために我が軍勝ちましょう!の予習です。

スタッツがちょこちょこ出てきますが、全てリーグ13節時点として見てください。また、参照元はFBrefです。


●フィオレンティーナの基本メンバー

上記はリーグ13節コモ戦のスターティングですが、これが今現在のベストメンバーだと認識しています。

明確にここに割って入っていけるのは、負傷離脱中のグズムンドソン

しかし、全コンペティションで232分しか出場できていない現状、チームフィットはベルトランが進んでいるでしょうか。後述しますが、フィオレンティーナは彼がいることでのメリットを今、享受しまくっています。

他にもクアメ、ビラーギ、クアルタ、ソッティル、イコネ、マンドラゴラなどお馴染みのネームが出場していますがベスメンとの壁は薄くない、というのが私見。

クアルタとマンドラゴラはスタメン級と言っていいと思いますが、鎬を削る同ポジションのチームメイトが良過ぎですね。

●ビルドアップの多彩さ

今回のプレビューで取り上げたいのはフィオレンティーナのビルドアップ。

現監督のパッラディーノはご存知の通り、昨季モンツァを率いていました。

昨季はリーグ9位の総パス回数ながら、

ⅰ)自軍PA内でのパス回数、リーグトップ

ⅱ)ディフェンシブサードでのパス回数、リーグ2位

自軍で超丁寧に作る、特異なビルドアップを構築。

パッラディーノは仕込むのが上手いんでしょうね。フィオレンティーナでもインプレッシブな設計を披露し、挨拶を済ませました。

ざくっと言えば「進軍が多彩で、いずれの質も高い」。相手にボールの取りどころを絞らせない引き出しの多さがあります。

特徴は3点。

大外はSB

両WGを務めるボーヴェとコルパーニは基本的に内寄りの配置。

その分、大外レーンはSBが占有するため、保持時は彼らを高い位置に送り出したいのがハード面となります。

ただし、左と右でソフト面は異なります

右大外は、どシンプルにドドーのアイソレーションが鍵。

出せる、運べる、突破できる。

調和力と単騎力を高い次元で併せ持っており、右SBとしての総合力の高さは今、セリエA最強!…かは議論が必要ですが笑、間違いなく3本の指には入りますね。

スタッツを見ると、

✅ゴール方向への運ぶドリブルの回数:リーグトップ

✅↑で稼いだ距離:リーグトップ

✅ドリブル突破試行数:リーグ2位タイ

が目を惹きます。

彼の能力の高さとともに、チームとして「ドドーにドリブルさせる」という仕組みづくりをしていることが分かりますね。

…と思ってマークを強くすると、背後の仲間を効果的に使ってくる、と思ったら、また使われる側に。厄介過ぎ。

左は対照的にローテーションが軸

ゴセンスが好調ですが、理由は明白だと考えていて。フォーメーションこそ異なりますが、この左サイドのローテーションぐるぐるは、かつてのアタランタと非常に似ています。そりゃあ、即フィットしますよね。

図解の配置が基本スタンスとなりますが、ゴセンスが中盤に入ることも、アドリがSBになることもしばしば。3者とも高低や左右を問わない点は強みです。

ボーヴェは元々ローマでもこういうプレーヤーだったので分かるんですが、アドリはサプライズでした。

繰り返すと、”大外はSBが占有する”が基本スタンス。

しかし、右はドドー独壇場に対して、左はローテーションで人を問わないポジショナルさ。

このコントラストが最たる特徴と見ます(もちろん例外は多々ありますがベースとして)。

この左右の違いについては2CMFにも影響していて、アドリがフレキシブルに動く分、相対的にカタルディは中央低めで心臓する傾向ですね。

ロング一発構成もあり

緻密な設計がある一方で、ロングパス(約27m以上のパス)による効率的な構成も持っているのがパッラヴィオラのいやらしいところ。いや、むしろ本命はコレかもしれません。

プリマ上がりの19歳CBコムッツォがカルチョの伝道師たちに超誉められていた通り、2CBはどちらも高精度の長距離パスを蹴ることが可能。ここはもう擦られているので割愛して、別途押さえておきたいのがアドリとデ・ヘア。

前者について。カタルディも当然蹴れますが、心臓タスク的にリンクパスが多く、柔軟タスクのアドリはパスも長短織り混ぜが濃いめ。ローテーションの都合上、最終ライン落ちもしますし、環境という要因もあるでしょう。5試合以上出場しているフィールドプレーヤーの中では、彼がチームで最もロングパスを配球しています

後者のデ・ヘアは、例えばオナナのような糸引くフィードではないものの、百戦錬磨の経験からかプレス耐性が高い…と言うと語弊があるかな。相手を気にせずに長距離パスを発射できるといった印象。

イメージはむさしゃん

ここで、ベルトランが効いています。

確かに今季のケーンは化け物で、得点だけでなくボールを超収めまくってフィニッシュワークに貢献しまくっていますが、ロングボールに対して一人でDF陣に勝ち続けることは不可能です。

ボールを収める=デュエルではないのを分かった上で、参考としてケーンのデュエル回数を見てみると、実は地上・空中ともに50%を切っています。

補足
FWはしんどい環境でデュエルすることが多いので、50%を切ったからといって悪い数字では決してありません。
リーグトップとなる134回の空中デュエル数で、96回勝利(勝率71.6%)を記録しているジュリッチは異常。

ポイントとなるのが、そもそもCF畑のベルトランと、ケーンの2TOP化

ケーンとあえて近い距離に位置し、相手のマークを散らす。また近距離で細かく叩くことで、最前線という混沌戦場でのマイボール率を高めます。

余談ですが、これは今季ナポリもやっていて、むしろ彼らのがチームスタイルとして前面に打ち出しています。ナポリの場合はルカクとマクトミネイの疑似2TOPにクヴァラツヘリアやポリターノが斜めに絡む地上ルートが多いですが。

その為、今季ナポリは4-3-3ではなく、4-2-3-1と表現すべきと考えますが、対インテル戦ではこれをほとんどやっておらず。ゆえに「引き分け許容」と発しました。ナポリもコンテ政権で劇的に変わったチームなので、プレビューやレビュー書きたかったなぁ。

話を戻して、フィオレンティーナの効率的なロング一発構成は再現性もあり、ロングパス回数はリーグ2位の回数。パス総回数はリーグ9位なので、このギャップに割合の多さが伝わるでしょうか。

もう少し付け加えると、2TOP化を基盤としつつも逆に離れるパターンも存在して、これまた、やらしい。

もうスカウティングも進んでいると思いますが、

✅プレスやブロックを揺さぶれる左右の特徴が異なるビルドアップの質

✅機を逃さず放たれるロングの宝刀

✅を、輝かせるケーンの絶好調さ。上下に柔軟で下支えできるベルトランの貢献

によって、フィオレンティーナは今なお止められません。

キャラクター由来の変化も

なんだかやたらとベルトランアゲですが、グズムンドソンの負傷が癒えて、チームに(より)フィットするに越したことはありません。最大値はこちらに分があると見ていいでしょう。

空中ルートは減るかもですが、その分テクニカルでスピーディーな地上ルートが増えて、脅威間違いなし。コルパーニもようやくハマってきたとはいえ、前線が中央やハーフレーンに寄ることの意義がやや薄い試合もあるので、グズムンドソンの閃きや技術は具体的なブラッシュアップとして計算できます。

このような変化はWGにもアリ。

左はソッティル、右はイコネが入れば、WGの内寄り色が薄くなるカラーチェンジが発生します。彼らは普通にWGっぽい仕事をするということですね。

前者はローテーションができな不得手という側面や、後者はドドーに蓋をしてしまう側面があるのも否めず、収支がプラスかはなんとも言い難いですが、キャラクター由来の変化が出せるのは、他クラブ目線ではそれ自体が嫌なものです。2人ともパルプンテ要素もあるしね。

また、左SBビラーギはやっぱりクロス職人だし。左SBパリージはハーフレーンで輝くし、やっぱり違いを出せる選手が控えているのは大きい。

がしかし

懸念もまた、控えにあります。

変化を出せるキャラクターが揃っている反面、同種のパフォーマンスを担保できる”バックアップ的な控え”はあまり揃っていない感想です。これが冒頭に記載した「ベスメンとの壁は薄くない」の理由。

今絶好調とはいえ、パッラ政権初年度でECLもありますから、コンディションやバイオリズム、負傷などによる斜陽は他の上位勢よりも角度がエグいでしょう。

特に、PKを除くゴール期待値の半分を占めるケーン(チームの期待値16.8、ケーンの期待値8.2)と、戦術の核を担うドドーの依存度は大きく、離脱は考えられません。

右SBにはパリージとカヨデのヤングタレントがいるんですけどね。ドドーの壁があまりにも厚い。

●インテル目線のポイントは

インテル目線でフィオレンティーナ戦を考えると、個人的には右サイドがポイントだと妄想しています。

図解はスタメン予想ではないです

左サイドで相対するドドーの総合力の高さは前項の通りですが、質的優位性で何かに突出している訳ではなく、厄介ではあることに疑いはありませんが、ディマルコやムヒタリアン、バストーニらは噛み合わせ的に属性不利ではないかと。

したがって、左サイドはドドー個人のスカウティング(プレーの傾向など)を頭に入れつつ、むしろ自分達のプレーをしてディマルコをなるべく高めに維持させることでドドーをピン留めさせて攻撃力を削ぐ、的な考え方がいいと思っています。

逆に右サイドは噛み合わせで不安アリ。

パヴァールの離脱によりビセックがスターティングとなるでしょうが、彼は良くも悪くもボールへの喰いつきが強いので、フィオレンティーナのぐるぐるローテーションに引っ張られてスペースや時間を提供してしまうリスクは大いにあります。

チームのプレスに連動しようとしてのアクションなので、まだ若い彼を非として責めてはいません。周囲のスキャニング、出るタイミング、出るスピード、詰める距離感、背後の切り方などの細かい練度の話なので経験値がモノを言うでしょうし、アーセナル戦のように試合にハマれば既にスーパーですしね。

とはいえ、現実問題として”出方”によって失点に繋がってしまったシーンが発生しているのも事実ですから、サポート役として今回の右WBにはダルミアンを推したい

そのダルミアンはパヴァールの負傷から「右CB起用復活か!?」との声も上がっていますが、少なくてもフィオレンティーナ戦ではやらないんじゃないかと思っています。

アチェルビがもしかしたら間に合うかもしれませんが、確実に100%ではないでしょうから、右デフライ&中央アチェルビの考え方も今回は除外かな、と。

この攻防が黒字か赤字かは、試合の展望として大きいファクトだと思うのでチェックしたいですね。ビセック頑張れ!

今回は右CBを焦点にしましたが、視野を広くすると「様々なパターンにどう対応するか」。だもんで、まだまだ語りたいことですが、4500文字を超えてしまったので自重します。笑

4-2-3-1にしてから絶好調のフィオレンティーナ。紛うことなき強難敵ですが、今季上位勢相手に勝ち点を落としまくってる我が軍、勝点などの定量的なところではない定性的な山場かと考えます。

蹴散らしてやりましょう!超頑張れ、インテル⚫️🔵

最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯

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TORA
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