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【潮目と代償】セリエA 23-24 第9節トリノvsインテル レビュー
こんにちは!TORAです🐯
今回はセリエA第9節トリノvsインテルのレビューです。
●スターティング
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後述しますが、トリノは4-2-3-1表記でもいいかも。
●前半-THE・ユリッチ
トリノの監督はセリエAファンにはお馴染みのユリッチ。
といえば、マンツーマンでのプレスやトランジションにフォーカスしたサッカーで有名ですが、個人的にはヴェローナを率いていた頃と比べると良い意味でも悪い意味でも角が取れた感想を持っています。
がしかし。
今日のトリノは「これぞ、ユリッチ」。
特徴を前面に押し出したフットボールでインテルに臨みました。特にマンツーマンでのプレスはリスク上等、ハッキリかつコッテリと発動。
さて、3-4-2-1と3-5-2のフォーメーションはそのままでは噛み合いません。誰かをスライドさせる必要があるので先ずはここを見てきましょう。
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噛み合わないインテルのアンカーポジションは左SH(WG)のヴラシッチがスライドして張り付き。
その分、ラザロとリカルド・ロドリゲスを1列上げて、それぞれパヴァールとダルミアンを見ました。
つまり、7節のサレルニターナのように4-2-3-1(っぽく)に変形したのです。
この配置だとトリノがマンツーマンプレスで嵌めることができた場合、決定的なパスを出せるヴラシッチが中央で指揮でき、突破が期待できるラザロがアタッカー化するので非常に論理的。
●前半-ホームの土俵に上がるインテル
対するインテルのビルドアップは昨今からすると”逆に”異質なやり方でした。
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能動的な選手配置の変化、つまりポジショナルプレーはかなり薄味。
3-5-2を綺麗に保って多角形を構成。斜め斜めに小気味よくパスを動かす前進を試み、そして徹底しました。
スペースでも言及した内容ですが、データでも如実に現れましたね。
下図はセリエA公式より引用した前半のボール保持時の平均ポジション図。
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変形して戦っていたトリノは3-4-2-1が崩れていますが、インテルはなんとも綺麗な3-5-2を保ってプレーしていたことが分かります。
そもそもインテルは瞬間的なポジショナルプレーは多くても、ハード面での可変は少ないんですが、だとしても普段はもう少し崩れます。特に今季のタスクからバレッラは右に位置することが多い。
ポジショナルプレー=良い、みたいな風潮がありますが、極論、ビルドアップできて決定機を作って得点が生みだせれば、わざわざ身体も頭を消費するこんなことはしなくてもいいです。
本節のインテルがどうだったかというと、トリノのハイプレスはポジティブに躱せていました。が、その先のリソース不足が悪目立ち。
原因としてピックアップしたいのは2点。
ⅰ)インテルが生き急ぎ過ぎた
ⅱ)トリノがプレスバック頑張り過ぎた
前者はバックパスややり直しパスが少なく「とにかく縦を狙う!」に傾倒。
精度よりも手数を重視したのかもしれませんが、物理的に中盤やWBの攻め上がりが間に合わず、ファイナルサードの枚数が少ないシーンが多発しましたし、そもそも手前でパスが引っかかることも少なくありませんでしたね。
翻って、後者。
トリノのプレスバック強度が異常でした。前からプレスは頑張りの割に突破されたと思いますが、そこからの帰陣が鬼。いや猛牛。
リソース不足のインテルに対し、数的優位でしっかり守れる由来となっていました。
結果、縦パスをつけてはミドルサードやファイナルサード手前側で引っかかり、裏返るを繰り返し続けます。
トリノはここでもユリッチ流全開。トランジションが起きたらボールを落ちかせることなく縦に進軍していたので、ピッチ内で行ったり来たりのラリーが多かった。
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全体的な単調で大味が「前半つまらない!」と持ってしまう温床だったと思います。
さて、インテル目線では特にWBの攻め上がり不足が響きました。レーンが限定されてしまった点がファイナルサードでの威力不足に直結。
だもんで、スペースで「クロスが少ない」と発しまして、試合後にスタッツを確認したところ顕著な低数値でした。
・インテルのクロス回数を比較
8節までの1試合平均:23.1回(リーグ1位)
本節トリノ戦:10回
・ディマルコのクロス回数を比較
8節までの1試合平均:11.0回(リーグ1位)
本節トリノ戦:3回
クロスが多いことの是非は置いておいて、いつもと違った土俵で戦っていたのは明らか。そして、その土俵の持ち主は文字通りホームのトリノであった、というのが前半の総括です。
トリノダービー後に行われたという決起集会?の効果なんですかねぇ。前半のトリノは本当によく頑張っていましたし、よく集中していました。
相方の青黒さんとダービー前にやれよ、と愚痴を漏らしつつ「でもこれは90分持たないよねぇ」と予想していましたが、後半現実のものとなります。
●後半-潮目は選手交代
立ち上がりは特に変化が感じられない後半。大勢を変えたのは選手交代でした。
先ずはトリノ側にアクシデント。
47分にスフールスが負傷交代。記事執筆時点でまだ確度の高い続報はありませんが非常に深刻な様子でした。心から軽傷を祈ります。
代わりに出てきたのは今季加入のサゾノフ。
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ファンカルの選手名鑑作成にあたり、現地の記事を必死に探しました。これまでのキャリアがほとんどが3バック採用のクラブだったらしく、適性や順応はかなり良さそう。
試合後にXを見ると、ガゼッタはじめ、そのプレーはなかなか辛辣に書かれてましたが、個人的には「そこまで言わなくても…」かな。
”コアCBが抜けた穴を今季加入の若手選手が埋める”、その中でやれる範囲のことはやったと思いますけどね。
確かにプレーに荒さと粗さは感じましたが、そもそもスフールスのパフォーマンスが良かったので相対的に悪く見えた、という要素は少なからずあるかなと。
とはいえ、スフールスが抜けた(≒サゾノフが代打)ことによる動揺は大きく、直後にインテルはこの試合で初めてと言っていい撤退守備攻略で決定機未遂を創造。
ここぞとばかりにシモーネ監督が交代カードを3枚切ると見事、チームのプラスに。トリノのマイナスも相まって、潮目が発生しました。
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端的に言えば、インテルのWBが攻め上がれるようになりました。
背景として先に挙げたいのはトリノのプレス。前線は引き続き積極的に圧をかけますが、前線以下がついてこれなくなりました。
ゲームみたいにパラメーターで確認できませんが断言できる原因のひとつは疲労。
まだ60分前後の時間帯ですが、劣勢時や混乱時にこれまでの借金が一気に表面化するのはサッカーに限らずスポーツあるあるです。やばい時って疲れが出ますよね。
加えて、スフールス離脱そのもの。途中交代のサゾノフvsテュラムの1対1を防ぐリスクマネジメント(=後ろも気にしなくてはいけない)は取らざるを得ない。
事実、インテルもそれを狙っている節があり、テュラムがサゾノフを引き連れて降りてくるシーンが目立ちました。先ほどサゾノフをフォローしといてなんですが、まぁインテルとしては当然狙いますよね。
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結果としてミドルサードでボールが落ち着くようになったインテルは、良い意味でビルドアップがスピードダウン。乗じてWBが高い位置を取れるようになりました。
という局面で、すぐに結果を出したドゥンちゃんは個人的にゾマーと並ぶ今日のMOM。
ヘソを向ける正対でプレーの角度を広げ、選択肢を増やし、相手を押し込んだことによって生まれた”手前”という空間にしっかりマイナスを送れたプレーは一級品でした。
🇳🇱 @DenzelJMD2 + @MarcusThuram 🇫🇷 = ⚽️
— Inter (@Inter) October 21, 2023
⚫️🔵 Dynamic duo 🤝#ForzaInter #TorinoInter pic.twitter.com/xL1t92HKXp
先日「これができるのはクアドラードしかいない」と発しましたが、訂正が必要かもですね。訂正させて欲しいよドゥンちゃん。
見た目より合わせるのが難しかったと思いますが、決め切ったテュラムにも忘れずに拍手ですね。
さらに8分後。CKからエースキャプテンが11ゴール目。ペリシッチを思い出させる完璧なニアフリックをかましたアチェルビの勝利でした。今日はアシストが素晴らしい試合。
アクシデントの上、立て続けに2失点。
さらにデバフが乗った疲労に対して、奮起できるエネルギーはトリノにもう残っていなかったように見えます。
逆にインテルは攻めなければいけない相手にボールを譲り、誘引してからカウンター(と言っても鋭くない)モードで狡猾に終幕へ。
功を奏し、カルロス・アウグストのロングボールから襲撃者ムヒタリアンがPKを獲得。チャルハノールが沈め、閉幕前に勝利を決定づけたインテルが勝点3を掴みました。
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後半のトリノは前半の出来の代償をこれでもか、と払うハメになりましたね。
最終的にタメーズも負傷してしまったっぽく、ヴラシッチも失神してしまったらしいですが出し切ったからこそでしょう。リーグ戦であそこまで走り切れるのは蓄積が気になりつつも素直に「敵ながら天晴れ」。それダービーでもよろしくどうぞ。
以上!
最後までご覧いただきましてありがとうございました🐯
次はミッドウィーク!CLグループステージ!!絶対勝利!!!
超がんばれインテル⚫️🔵
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