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【局面操縦】セリエA23-24 第2節 カリアリvsインテル レビュー

こんにちは!TORAです🐯

今回はセリエA第2節カリアリvsインテルのレビューです。


●スタメン

●前半-机上の理論をモノともせず

事前報道では4-4-2が濃厚なカリアリでしたが、蓋を開けてみたら4-2-3-1

データサイトの額面通りで判断するならば、4-2-3-1がカリアリのスタンダードですね(中身は分かりません)。

キックオフ直後の見どころは配置的に必然と噛み合う3-5-2への前からプレス

嚙み合わせがバチコリ噛み合うメリットは「基本マークは対面!」と設定することで非保持の基準点がクリアになること。

インテルはまだフィットに時間を要するゾマーを逃げ道ではなく前進のためのビルドアップに絡めるシーンが明らかに少なく、同数プレスは机上の理論では嫌がりそう!と膝を叩けます

実際、ホームチームの立ち上がりはそれが目的であるかのようにアグレッシブでした。WG(SH)はしっかりとインテルの両CBに圧をかけ、SBも連動してWBを捕まえます。

しかし、インテルは意に返さず。

ラウタロが狭所でもボールをキープし、テュラムも広域でシンプルなポストプレーが光る。中央の怖さを見せつけつつ、進軍が光ったのはアウトレーン(とハーフレーン)。

自慢の中盤がタイミング良くWBにパスを付け、斜め斜めに小気味よく深くまで進軍。効果的なアタックが増加していきます。

紐づくは配置の質。
トランジション時のカウンタープレスは切り替えをさらにひっくり返し、敵陣占有の大きな要因に

アウェイチームがすっかりウニポル・ドムスを制圧すると、迎えた21分。

こぼれ球を拾ったテュラムがそのままサイドに流れ、ポケット侵入を試みたドゥンフリースに素晴らしいパスを送ると、右ポケットで右足を振り抜きファーサイドを揺らします。

ストライカーよろしくなゴールを沈めた2番の姿に失点チーム以上にざわつくインテリスタが印象的でした。

時間を巻き戻しますが、インテルが同数プレスを躱して進軍するに比例してカリアリのプレス強度はトーンダウン

失点直前はすっかり”待ち構える成分”が濃くなっていましたが、失点後は4-4-1-1と表現すべき非保持陣形でした。

インテリスタ期待のオリスタニオくんは可変部分のタスクで今日は犠牲になった感。心身も消耗されたでしょう。結果、バストーニお兄さん、いや”鬼威惨”が無慈悲なタックルで封殺。今日はHT交代もやむなし。

反対にカリアリサイドで光っていたのはパヴォレッティの負傷交代によって投入されたルヴンボ

黒人のバネ全開の小柄の若手かつ、まだそんなに名が売れていないドリブラー。
インテルが苦手とするトッピング全部乗せ

おそらくほとんどのインテリスタが「嗚呼、こりゃ手を焼くだろうな」という未来図を描いたと思います。で、期待を裏切らずに手を焼く我が軍

尚、これで「良い選手じゃん!追ってみよう!」となっても、その他の試合ではこれほどまでに活躍しないのがインテルあるある。元ボローニャのジュワラどこ行ったんだ?笑

・ルヴンボのスタッツ
ドリブル突破:3/4回成功(両チーム1位)
ゴール方向へのキャリー:5回(両チーム2位)
シュートに繋がった2つ前までのプレー:5回(両チーム2位)
うーん、やられましたねぇ笑

FBrefを参照

だいぶ脱線しましたが、ハード面を変えても戦況に影響はなく、30分にはディマルコがテュラムとのワンツーでアウトレーンを進むと、難しくバウンドしたボールをコントロールしながら絶妙なラストパス。

キャプテンでエースな10番は暗殺者となり、クールな追加点を決めました。このシーンはサッカーがお上手すぎて語彙力が失われましたね。「ほわぁ、上手い」とかそんな感想しか出てこなかった。

机上の理論をあっさり攻略したインテル。
決してホリゾンタルではありませんが、かといって「縦方向だけじゃないよ」と言わんばかりの前半。

あまり賛同を得られないと思いますが、19-20あたりのシモーネラツィオの進軍っぽいなと思いました。斜めの段差の付け方が抜群だった時代。

●後半-テコ入れと省エネ

スコア差以上の実力差を感じた前半。

しかしそこは千軍万馬のラニエリ監督。後半しっかりと手を打ってきました。

4-2-3-1(4-4-1-1)から3-4-2-1へと陣形変更。

3-4-2-1もカリアリの基本装備です。個人的にはこちらの方が印象強いかも。

これがハマりました。

設計が正確かつ緻密で実にラニエリらしいクオリティ

前半と変わらず「前から行かず、ある程度引いて迎え撃つ」がスタンスですが、全体が5-4-1ではなく3-6-1を継続できたことがポイント。

要はディフェンシブサードではなく、ミドルサードで戦うデザインだったということです。

特に良かったのが出て行った先のスライド

例えば、心臓部チャルハノールからバストーニの攻め上がりを促すパスが出たとします。

すると対面のナンデスが出ていきますが(圧をかけるだけで球際は強くない)、その際のスライドがお見事。

対岸を離して(1人で2人見る)、ボールサイドにリソースをかけるのは非保持におけるオーバーロードのセオリーですが、シンプルに質が良かった。

図解しませんが、WBが出て行く→CBが埋める→さらにその穴をCHが埋める、みたいなポジショナルムーブもあり、敵ながら天晴。

ま、カリアリの質もさることながら、「インテルがリスクかけずに省エネで戦ったから」というファクトも大き過ぎるんですけどね。

具体的に説明すると、ビルドアップ隊をセーフティーに残すのが後半のミソでした。

カリアリは3-6-1で守るので2枚残っていれば数的有利で被カウンター対応できますが、3枚残る場面が多かったです。たまにリスクをかけても同数は絶対避ける

特にチャルハノールはパスを割り振った後も攻撃参加する機会が非常に少なく、リスクマネジメント最優先モードでしたね。

中盤から前線でリソース不足のインテルは必然、やり直しも多くなり、珍しくパス試行数を積み重ねていきました

最終的な着地はなんと725回。開幕モンツァ戦が509回というとその多さが伝わるでしょうか。

チャルハノールは109回で両チームトップ。さらに成功数も104回(成功率95.4%)というドレスアップされたスタッツ。

「チャルハノールのパス精度すげぇ!」

と読むことも決して間違いではありませんが、より正確に表現すれば「圧が少ない状況で余裕を持ってプレーしていた、ゆえ、その精度をいかんなく発揮できていた」でしょう。

カリアリも85分のザッパ→ショムロドフで3-4-3の『終盤リスク背負って点取りたい形態』へと移行しますが、流石にね、時すでに遅し

ルヴンボの単騎突破カウンターは確かにトラウマがデジャヴュしかけましたが、リソースの配分で火力を出せなかったカリアリ。高いテトラポットを築いたインテル。

とはいえ「配分が間違っていたとは一概に言えない」。そんな試合。

インテルの完勝です。

●雑感-局面操縦

いやー。

強いわ。

インテル強い。

システムが3-5-2になってからスタートダッシュの完成度は一番じゃないですかね?

今季はどう考えても縦志向強めのチームになっており、実際PSMではその片鱗は垣間見えたんですが、開幕戦、第2節と前から来ない相手に対して、

「心臓部を可動させなくても、他で血流を促せるよ」

「縦や斜めだけど別にそんなに急がなくても攻略できるよ」

「塩漬けとまでいかなくても、省エネで時間殺せるよ」

等々、シチュエーションを見極めて掌握する術に長けているように感じました。いや、実際長けてた。

ピンポイントな盤面を常に制圧するのではなく、もう少しマクロをコントロールする。点じゃなくて面。

アクションというよりもリアクション感が強い。後出しの引き出しが多く、また、クーリングブレイクやHTなどの分かりやすい”指示タイミング”がなくても流れの中でナチュラルに色々引き出せる

定性感全開ですが、これが僕の感想。

自他共に認める今季の目標『スクデット』。
これまでの2試合は、その後の36試合という長いレースを高次元に安定して走り切る期待を示してくれました。

次節は来年以上に難敵感が強いフィオレンティーナ。次々節は攻撃陣が好調なミラン。

序盤のヤマをどう乗り越えるか。どう操縦するか。
今から楽しみでなりませんね。

次節も絶対勝利!!!
がんばれインテル!!!!!

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