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2021.8.17 妻は聖母マリアだと思う

男性 44歳 料理人

「僕、ドラえもんののび太と同じ誕生日です。寝ることが好きなので、のび太と一緒だなと。

僕はうちの会社の総料理長という立場です。とりあえずやってみようというタイプで、買い物もあまり悩まないです。今までにした大胆な決定は、マンション購入ですね。子供が生まれて引っ越そうと考えて、友人に「隣の部屋が空いたよ」と言われて。僕は仕事で行けなかったけど嫁に内見に行ってもらい、「すごく良かった」と言われたので物件を見ずに決めました。実際に住んでみて、めちゃくちゃ良いです。自分の中で選ぶ基準というのが多分あって、直感的にいいなと思う部分が当てはまりました。結構、そういうのは多いかもしれないです。結婚もそうですし。

嫁とは、僕が25歳の時に出会って27歳になる前に結婚しました。「この人と結婚するだろうな」と直感で決めました。それまでの相手は、僕が相手を幸せにしてあげる、と思っていたんですよ。今の嫁は、この人と結婚したら僕が幸せになるだろうと思ったんです。嫁は、叱ったりせずに諭すような人なんです。人との接し方がすごく尊敬できるし、言葉の選び方がすごいなと。会社で起きたことで部下に伝えなきゃいけないことなんかがあるじゃないですか。そういう時に「なんて言ってあげたらいい?」と毎回嫁に聞きます。嫁は、僕の中で聖母マリアだと思っています。人間の手本なんです。そんな人に出会ったことはなかったです。




元々嫁は銀行員で、お金を貯めて、パティシエになるために学校に通った後にパリに留学したんです。その生き方に感銘を受けて。自分で選んで自分の力で生きているじゃないですか。そのあと、ニューヨークに語学留学に行ってるんですよ。すごいなこの人、と。日本に帰ってきてパティシエをやって、その後僕と出会いました。結婚して子供が出来た時も、お互い職場が飲食店だと子育てが難しいから、医療系の学校に通って今は医療事務をしています。病院の事務は夜6時には仕事が終わるんです。僕は飲食店で深夜に帰ることが多いので。そういうことも自分の中で計画を立ててやってくれている。なんだこの人は、と尊敬します。

飲食店って、お客さんは幸福を求めてやってくるじゃないですか。プラスの状態を求める。病院だと、患者さんはマイナスの状態からやってくるじゃないですか。医療事務って定着率が悪いらしく、すぐ辞めちゃうらしいです。接客が大変だから。うちの嫁は具合が悪い人のことをちゃんと受け止めて、その返しがすごくいいから揉めないんですよ。ブレない芯があるから、患者さんも先生も納得するんです。うちの娘が、嫁のマリア的な部分を少し受け継いでるんです。娘に言われたことですごいと思ったことがあって。昔、僕が「人生ってどうなれたらハッピーだと思う?」と質問したら「自分が納得してるかしてないかでしょ」と言われたんです。すごいなと。対して、息子は「金儲けしたい」と言ってました。単細胞だな〜と。

僕はもともとはデザイナー、編集系、アートとか服がすごく好きなんです。ところが大学浪人をしている間に就職氷河期になったんですよ。本当はアートの世界に行きたかったけど、周りから「食べていけない」とすごく批判されて。大学に行くか悩んでいた時に母親の知り合いのお寿司屋さんに「手に職がないとだめな時代がやってくる」と言われて。僕は食べることが好きだったので「料理人になれ」と言われて。そこでロシア料理店に連れて行かれてコース料理を食べて。全ての料理に感動を覚えて、5年間そこで働いていました。そこから独立したいと思って、5年で500万円貯めました。先輩を引き抜いて独立しようと思ったけど皆に猛反対されて、それからはフランス料理の道に行きました。そこから今に至ります。

もともとものづくりがすごく好きで、自分のブランドを持ちたいというのが昔からあったんです。このコロナ禍で時間に余裕ができたのもあって、皆、このままでいいのかなと思い始めているじゃないですか。今後、本当に好きなことをやっていきたいと思い始めて洋服のブランドを作ったんです。元々絵を描くのが好きで、こんな感じで描いているんです。多肉植物も大好きです。環境破壊とかにも興味があって。このアクセサリーもマイクロプラスチックをイメージしてるんです。ゴミに手を加えて価値のあるものに生まれ変われば、サステナブルですよね。そういうことをしたいなと。

洋服のブランドを作った時、全部自分で考えて、友人が働いている企業に頼んだんですよ。タグネームを作ってもらったり、ちゃんと洋服関係の人と仕事をした喜びがありました。すごく嬉しかった。なんでもっと早くやらなかったんだろうと思った反面、自分が好きで楽しいことをやる方がモチベーションが上がるし、絶対諦めずに続けていこうと思いました。その時の環境で、いろいろ理由づけをして先延ばしにしちゃうじゃないですか。でも、やれるようにするにはどうしたらいいかを考える方がいいな、と。思い立って自分がやりたいことを等身大でやるのがいいのかなと。自分の歩幅より少し大股くらいで。」

この記事はBE AT TOKYOのプロジェクト、【BE AT TOKYO DIARY】で制作しました。

※感染症等の対策を十分行った上で取材しています。

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