2021.8.22 すべて人から始まっている
レズビアン 31歳 会社経営
「今日は生け花に行ってました。私、生け花を習っていて、お花や緑が好きです。あとは情けないけど、家の鍵を忘れちゃって。パートナーがいるんですけど、彼女も出かけていたので帰ってきたら家に入れなくて。実家もここからわりと近いんです。その実家もタイミングよくすごく安く購入できました。買った時と今の値段は1500万くらい違います。たまたまその時の売主がすぐ現金化したかったんでしょうね。
なんでもタイミングってすごく大事だなと。自分の仕事も含めて全て。もともと今のパートナーと一緒になったのが6年前で、初めて住んだ場所が西日暮里でした。そこに4年住んで、更新のタイミングで西新宿に引っ越しました。自分の仕事柄、人と会うことがすごく多くて。人が好きだし。人と会うのは新宿が多くて、西日暮里から新宿に出ると時間がかかるから新宿エリアがいいなと。それでいいタイミングで物件が見つかって、ここだ、と。西新宿は最高にいいですね。意外と静かなところだし、家賃以上の価値を感じます。
仕事は、メインは不動産の売買の仲介。あとは中国からものを輸入して日本のECで売ったり、店舗に卸したり。あとは介護の仕事です。介護の資格を持っているんです。その前は映画の仕事をしていました。独立したての時は、日本の映画を中国に持っていって映画祭で配給したり。その時一緒に仕事していたのが中国人で、その人のお父さんが実は投資家ですごい人だったという。その親子は語り出したら止まらないくらい破茶滅茶なんです。私は元々両親が中国人で、純チャイニーズです。中国に留学も行っていました。
そのお父さんが元々ビジネスマンで、「日本の介護事業を中国に持っていきたい」と相談を受けたんですよ。それで私は介護のビジネスをするために資格をとったんです。介護についていろんな人に話を聞いていた時に、ある介護会社の社長から「うちの会社を手伝って欲しい」と言われて、その会社で人材紹介の部署を立ち上げたりして。
自分の生き方も仕事の仕方も、全て人から始まっているんです。自分自身、何か能力があるわけではないし、専門性もないし、同じことをやり続けてきたというのもないんですよ。皆の方がよっぽど凄い。サポートしてくれたり声をかけてくださる方たちに支えられて今まで来たという。だから、人との繋がりを一番大事にしています。自分自身何も持っていなかったから、なぜここまで来れたのかって、運が良かったのに尽きるなと。タイミングも良かったし。
私のセクシャリティは、一応レズビアンだと言っているんです。でもそれは人に説明するためですね。自分自身は、FtXです。例えば、FtM(Female to Male)。女性として生まれたけど心は男性で、男性になりたかったり、既になった人。逆はMtF(Male to Female)。最初、自分はFtMなのかなと思っていたんですよ。小さい頃から服装も髪型も男みたいなものが好きで、一時期は男性になりたいと思っていた時もあったんです。同じ学校の同級生にFtMが2人いるんですよ。2人とも体を手術をしてホルモンも打って完全に男性になりました。1人は戸籍も変えて。もう1人は胸の手術をして、子宮は取っていないんです。日本の法律上、生殖機能を取らないと性別を変えられないんです。その2人とは仲が良くていろいろと話すんですけど、FtMの人は自分の体が受け入れられなくて、男の体を取り戻したいと思うみたいです。元々心が男だから「なぜ自分はこの体なんだろう、本来の自分に戻りたい」と。それを聞くと、自分はそこまで思っていなくて。手術したいと思わないし、今の自分でいいなと。そうなるとFtMではないなと。かと言って、私は女ですというのもしっくり来ない。自分の性自認がクエスチョン、という人をXジェンダーと言うらしいです。自分は男になりたいわけじゃないけど性別は女だし、理論上はレズビアンだよなと。正確に言うと、自分自身の性別をあまり気にしていないというところです。
今、ワクワクしていることがあって。自分は誰もやっていないことをするのが好きなんですよ。今は中東で仕事をしたいんです。高校の後輩がアブダビに駐在していて、この間アブダビに行ったんです。アブダビは超裕福な国で、税金がないし、医療・教育全て無料で国民は政府から土地と家が与えられるんです。これは面白い国だ、と。この機会にイスラム教のことも勉強したら、知れば知るほどイスラム教は素晴らしい宗教だなと。イスラムの文化もすごく好きになった。その折に周りの人にイスラムの話をすると、どんどん向こうに繋がる人たちが出てきたんです。
そこで化粧品のビジネスが始まりそうなんです。同級生の親族が化粧品会社を経営していて「中東で売れないかな?」と聞いたら、「中東は全然ツテがないからやってもいいよ」と。商品もすごくいいものだから、それをサウジの方に話したら「ぜひこれはやってほしい」と猛プッシュを受けていて。こんなスピードで進むと思わなかったけど、とにかく確実に一歩一歩やっています。最初の門を開けるところが一番大変だから。すごくワクワクしています。」
この記事はBE AT TOKYOのプロジェクト、【BE AT TOKYO DIARY】で制作しました。
※感染症等の対策を十分行った上で取材しています。