【What I am】#04 山本さら
4年間、構築してきた「私」
山本さら
多摩美術大学統合デザイン学科3期生
プロジェクトA所属
【指導教員】深澤直人、長崎綱雄
-入学後に見つけた自分の意外なカラーや創作媒体について
統合デザイン学科に入学した当初、私はグラフィックデザインに興味がありました。
この学科の魅力の一つとして幅広い領域のデザインを学べるということがあります。しかし、グラフィックを学びたいと思っていた私にとって、苦手意識のある立体や全く知識のないインターフェースの授業があるのはとても不安でした。
しかし、1年生の基礎過程で様々な分野の授業を受けているうちに入学当初と比べて気持ちは大きく変わりました。
デザインがグラフィック、プロダクトなどで簡単に分類できるものではないこと、そしてデザインとはアートのような感覚的な一面と冷静な分析の上にある客観的な視点の両方を持った概念だということを知りました。
入学当初は自分の狭い視野でしかデザインを見ることができませんでしたが、その外には自分が知らなかったデザインの領域や興味深い考え方があふれており、学校で習うこと一つ一つが新鮮で楽しかったです。
様々なことを学んでいくうちに、モノと人と環境の関係性に興味を持ち3年生から深澤先生のプロジェクトに所属しました。4年生の今でもモノを作りながらデザインと向き合っています。
3年次プロジェクト① : 目薬
目薬をさす行為を互いに観察し合い、そこから着想を得てデザインを考える。
これは人が目薬をさす時、親指と人差し指で容器を押しているのに着目し、その二つの指で自然に液体を押し出せる目薬の容器を制作した。
-今回の卒業制作のテーマとそれに至った経緯
卒制については試行錯誤を続けている最中ですが、これまで私はモノづくりの中でデザインを学んできたと感じているため、集大成である卒制もモノを中心として考え制作したいと思っています。
その中でも4年生の前期に3Dプリンターを使って制作したメガネでは、データ上で作っていたものが立体になり機能を持つことに面白さを感じました。卒業制作では前期とはまた違う視点で3Dプリンターを捉えその特徴を生かして作品を制作していきたいと思います。
入学当初立体に苦手意識を感じていた私ですが、この思いも4年間で大きく変わりました。卒業制作を通して4年間の成長を示せるよう努めたいと思います。
4年前期プロジェクト:「メガネ」
-卒制を経てどんな「私」を構築したいか
私は統合に入学したばかりの時、自分は何が好きで何が嫌いで何が得意なのか、そんなことさえもよく分かっていませんでした。
しかし、4年間様々な課題や授業を通して、次第に自分の興味のある領域や好きなことが分かってきました。今までぼんやりとしか見えていなかった「私」が鮮明に見えるようになってきたのです。
私はこの卒制で、4年間で構築した「私」に一つの区切りをつけたいと思っています。そしてそれを礎として、次の新しい環境ではまた別の「私」を構築していきたいです。
これからいくつも「私」は更新されていくかもしれないけれど、迷ってしまった時悩んだ時に立ち戻れるような「私」が今回の卒制になったらいいなと思います。
-最後に卒制にいらっしゃるみなさんに一言
統合の卒業制作展は作品のジャンルが幅広く、デザインに関わる方もそうでない方も見ていて楽しく、刺激があると思います。
デザインというと身構えてしまうかもしれませんが、周りを見渡すとすべてのものにデザインがなされています。
統合の卒展をきっかけにデザインに関心がなかった方が関心を持っていただけたら幸いですし、デザインに関わっている方も、統合で学んだ4年間の美意識が各々の作品に現れていると思うのでぜひ見ていただきたいです。