統合デザイン学科卒業生インタビュー#04ほしあさひさん
ほしあさひ
映像制作会社勤務 プランナー
統合デザイン学科2期生 永井一史・岡室健プロジェクト所属
暇つぶしと実験とくだらないことが大好きな会社員です。
卒制期間中は髪の毛が墨汁まみれの状態で校内を練り歩き、後輩から見て見ぬふりをされていました。
趣味は音楽を聴きながら踊り狂うことです。
ー統合デザイン学科ではどのようなことを学んでいましたか?
永井一史・岡室健プロジェクトに所属してからは、対象についてリサーチを重ね理解した上で、アイデアを考え形にするということの繰り返しだったのですが、自分の生活や社会と向き合い課題を導き出す訓練になりました。
出された課題をただこなすのではなく、何が問題なのか?それを解決するにはどんなアイデアが必要か?解決に適したアウトプットは何か?ということをしつこく考えました。ここで培った考え方は今の仕事にも活きていると思います。
「健康」の課題で制作した顔ヨガの朝番組。
コミカルな顔をつくる過程で顔ヨガができる。
また、1年生から必修のインターフェースの授業で"ものごとを観察する"という視点がかなり身についたと感じています。
一つの事柄をいろんな角度から分析するような授業だったので、違う視点から物事を見ていくことの楽しさを覚えました。
その頃ぐらいから街中を注意深く観察するようになりましたし、どうでもいいようなことだけどなんか面白い!という事柄を探すのが楽しくなりました。
メンマって「僕はたけのこじゃありませんよ?」みたいな顔してていいなぁ、とか。おしりってどこからがおしりなのかな、とか。そういうことばっかり考えていました。
ー卒業後、現在はどのようなことをされていますか?今後はどのようなことをやっていきたいですか?
現在は映像制作会社でプランナーをしています。具体的に言うとキャンペーン広告の企画であったり、イベントの企画をしています。
自粛期間からリモートでの作業が主になったので、基本はずっと家にいます。最近は自分のことを家に住む妖怪なのではと思い始めました。
仕事をしながら、プライベートではnoteというメディアを使って自分で記事を書きはじめました。割り箸でメンマを作ったり、最近はセルフサバイバルをしたりしています。
まだそんなに記事を投稿してないんですが、細々と書き続けていけたらいいな〜と思っています。
noteの記事がきっかけでデイリーポータルZというWebメディアなどでライターとしても活動をはじめました。
今後は、バカっぽいことを真面目にやるコンテンツが大好きなので、そういうものを作っていきたいです。あと、生きるのに困らないくらいのお金が欲しいです。
ーどのように進路を決めましたか?
統合デザインで学んだ横断的な思考を活かしたくて、様々なコンテンツ制作を横断的に企画制作している会社に決めました。
あと面接試験で「今日のファッションポイントは?」とかマジでどうでもいい質問をされたのもすごく気に入りました。
ー在学中に制作した作品について紹介してください。
学生が放課後に銭湯に行く習慣を作るキャンペーン『銭湯部』
卒制以外だと「銭湯」をテーマにしたキャンペーンを作ったのが印象に残っています。
当時銭湯によく通っていたのですが、都内の銭湯がここ10年減少し続けている事実を知って、学生や若い人がどうしたら銭湯に来てくれるかなっていうのを考えて作りました。
学生が放課後部活に行くように、放課後に銭湯に行く習慣を作れないかなと思い「銭湯部」というキャンペーンを思いつきました。
この時期は、ユニークだったり思わず笑っちゃうような作品が自分に合っているかもと気づき、コミカルな要素が多い作品を作り始めました。
自分の好みに寄ったものを作っていくと、自然と先生や友達に褒められるようになり嬉しかったのを覚えています。
ー卒制テーマとそれに至った経緯、卒制作品紹介
人の"見なす習性"をテーマにしたアート作品『Regard Art』
様々なジャンルの作品を鑑賞した後、制作過程を記録した映像を見る。そこで実は制作過程が馬鹿馬鹿しく無意味であることがわかり、映像を見る前と見た後で作品の価値が変化する。
家族で美術館に行った時に、展示室にミシンが置いてあったんです。結果的にそれはただの美術館の備品だったんですけど。作品の中に紛れていることで、そのミシンを作品だと勘違いして皆ジロジロ見ていた光景がすごく面白くて。
それを見てから、人の見なす習性(目で見たものを勝手に想像して解釈する行為)をテーマにしようと考えました。
色々考えていく中で、「いい感じのアート作品だと思ったら、制作過程がとんでもなくふざけている」というアイデアを思いつきました。
出来上がった作品と制作過程の様子がかけ離れている方が面白いなと思ったので、作者の自分自身が身体を張って映像に映る方向性で作っていきました。
髪の毛を墨汁でビシャビシャにして後輩に引きずってもらったり、サークルの先輩をイルミネーションがある場所に呼び出してジャイアントスイングしてもらったり....協力してくれる人がいないと成り立たないので、こんなふざけたお願いを聞いてくれた皆さんに本当に感謝です。
ー卒制、卒展をやって感じたこと
とても個人的な話になってしまうのですが、実は卒業制作のテーマが全く決まらなくて困っていました。
「卒業制作展」って名前がもうプレッシャーじゃないですか?集大成感出すのやめてくれ、「ラスト作品大放出フィーバー展」ぐらいポップな名前にしてくれ、緊張しちゃうから!とか当時は思ってました。
卒業制作もそうですけど、自分で作品を作る上で大事なことかなと思うのは「パンツを脱ぐ」ってことです。
この言葉は中村勇吾先生が授業で言っていたんですけど印象に残っています。ノーパンになれって意味じゃないですよ!周りの評価とかを気にしないで、とにかく自分をさらけ出して作品を作るということです。
私は学生の時これがあまり出来なくて、先生に気に入られたい!とか、失敗しているところを同期に見られたくない!かっこつけたい!!!とにかく先生に褒められたい!!!!っていう気持ちが沢山ありました(今も全くないとは言い難いですが...涙)。
卒制のテーマがなかなか決まらなかったのも、みんなに凄いって言われる作品を作らなきゃ!っていう謎プレッシャーを勝手にかけていたような気がします。お恥ずかしい話ですが。
上手くできなくてもいいから「俺がマジで良いと思ってるのはこれなんや!!いいから黙って見ろ!!!!!」って言えるぐらいの作品をたくさん作っていけたら楽しいと思います。頑張ります。
在校生の皆さんは、是非パンツを脱ぎまくってください。恥ずかしかったら半脱ぎとかでもいいので!
ー統合デザイン学科で学生生活を送って感じたこと
私が過ごした大学生活は「同期たちと協力して、向かってくる課題をひたすらクリアしていくRPG」って感じでした。
日々迫ってくる課題締め切り...もう睡眠不足で耐えきれない身体...でもちゃんと提出したい...そして自分なりに良いものを作りたい!と日々葛藤している感じでした(私がマルチタスクがかなり苦手なのでそう感じていただけかもしれません)。
教授陣は現役で活躍している方々も多く、忙しい中容赦なく沢山課題を出してくれてました。今思えばありがたいことです。
課題を通して教授の方々や同期たちと本気で対話していく感じが最高に楽しかったと記憶しております!とても刺激的でした。
デザインを学ぶのにこれ以上ない環境だと思います。
Twitter:@hoshiasahi
note:https://note.com/hoshiasahi07
(インタビュー・編集:徳崎理沙、土屋陽和)
次回の統合デザイン学科卒業生インタビューは…!
制作に対する敬意と感謝。
坂本理恵(さかもと りえ)
作家
統合デザイン学科3期生 深澤直人・長崎綱雄プロジェクト所属
幼い頃から無意識に何かを作っていて、制作はストレス発散であり、リラックスするためのツールでもあるという坂本さん。
大学4年生の3月頃、自分の名前で作品制作ができなくなることへの不安で、本気で就職活動に取り組むことができなかったといいます。
そんな坂本さんが就職の代わりに全力で取り組んだことと、その結果見えた道とは。
卒業生インタビュー第5弾は明日公開です!乞うご期待!