【在職エントリ】ユーザベース/NewsPicksに入社して3年経ったけど引き続きやっていく

世間は退職エントリの季節かと思いますが、「3年、5年いたけどまだまだやっていくぞ」という在職エントリにも需要があるらしいので、近況報告ついでにつらつらと書いてみます。
SREのチームリーダーからエンジニアリングマネージャーになるまでに葛藤があったけど今はスッキリ受け入れて前向きにやってますという話です。

1年ほど前の記事がこちらです。(この時はまだ迷っている)

現職でSREチームのリーダーをかれこれ2年以上やっていることになりますが、着実にチームとして学習と成長を繰り返して、プロダクト開発組織の中で存在感のあるチームになっていったので、育てゲーの面白さはずっと感じていました。

AWSコスト削減やセキュリティ対策、EOL対応を継続的に行うためのチームとしての仕組みができたことで、私が入社した時にはどんだけあるねんと思っていたEC2インスタンスとそのサーバー運用のトイルを次々に撲滅していくのが楽しかったです。当初はサーバーの台数多すぎて無理と思っていたのですが、いつのまにかほとんどがLambdaやFargateでマネージド化されて、運用負荷も減って多くをコードで管理できるようになって気持ちがいいです。

チームメンバーも自走力を高めたことで私の余力ができて、プロダクト開発組織のオブザーバビリティや障害対応をいい感じにするといった全体貢献的な運用改善の旗振りにも取り組めるようになってきました。

そういう仕事が評価されたのかチームに余裕があると思われたのか、今年の5月からはSREチームだけでなくPlatform領域(4チーム)のグループマネージャーということになっています。間接的には20人以上、1on1の直接ピープルマネジメントは10名近くになり、軸足がSREのプレイングマネージャーからエンジニアリングマネージャーに移りつつあります。

実は1年ほど前のエントリでは、まだ自分がSREのテックリードとして高みを目指すのかマネジメントに軸足を移すのかでうじうじと悩んでいて、プレイヤーとして成長したい気持ちもありました。正直、チームワークは自分が技術でリードできればなんとでもなるので、メンバーと一緒に楽しく仕事ができれば十分で、他人の成長やキャリアを考えるなんておこがましいし興味もないと思っていました。一時期エンジニア採用にもコミットしていましたが、「ハッピーな開発をするためには一緒に働く仲間が重要だからそこには妥協せず関わりたい」という利己的な理由でした。そんな自分がマネジメント(特にピープルマネジメントという人と向き合う仕事)に向いているとはとても思えなかったのもあります。

心境の変化としては、プロダクト開発組織の成長は、システムの進化につながるということを、自分の所属するSREチームの成長と担当するインフラの進化から実感できるようになったことがあります。開発チームの存在も、システムを構成するアーキテクチャの一部であり、強いプロダクト開発組織になることがシステムを進化させユーザーに価値を届けることにつながるんじゃないか?と思いました。

今年になって以下の2冊を読んだのですが、いい本でした。『スタッフエンジニア』は、自分がマネジメントではなくプレイヤーとして高みを目指すとしたらの参考として読んだのですが、「結局スタッフエンジニアにもリーダーシップが必要だからピープルマネジメントをやらないとしても組織に大きなインパクトをもたらす調整や意思決定支援に関わる。それってマネジメントレイヤーにいても同じだしむしろその席をもらったほうがやりやすいのでは」となったのが良い気づきでした。実際、スタッフエンジニアとしてエンジニアリングとマネジメント両方に席を持つことで影響力を高めている方の紹介がありました。マネジメントに挑戦することも両方のキャリアにとって無駄ではないと覚悟を決める踏ん切りがつきました。

新米EMとして『エレガントパズル』を読んでいる時には、作中で取り上げられる様々な組織の課題に対して「そうだよな〜」と終始首肯せざるをえない話がたくさんありました。個人的には以下の一節がツボに来ていて、自分も「仕事で最も誇らしいとき」を聞かれた時に誰かの成長を支援したときの話ができるようになりたいと思ったのでした。(この心境の変化には2児の子育てで子どもが可愛い盛りなことで遅れてきた父性の芽生えも関係していると思っています。)

マネージャーに最も誇らしいときを尋ねたら、誰かの成長を支援したときの話を語ってくれるだろう。

エレガントパズル エンジニアのマネジメントという難問にあなたはどう立ち向かうのか

Will Larson、岩瀬 義昌

私はこれまでがインフラエンジニアなので、「プロダクトの機能開発のこと以外で抜け落ちたボールは何でも拾って対応します」で価値を出してきた人間です。人が困ってることを見つけてシステムでその問題を解決するのはそんなに難しくないのですが、この問題領域がエンジニアの組織の問題や、個人のキャリアや成長支援の問題だったりすると、自分の専門性の領域を超えて共感力や傾聴力といったヒューマンスキルが必要になったり、大きな意思決定を動かすための文書化・言語化・ファシリテーション能力が必要になってきます。また、その領域で仕事をするとなると、『情報は発信する人に集まる』という今まで培ってきた技術コミュニティでの成長を応用したくなるので、EM界隈の勉強会にも出てみたいなと思います。ただ、EMの仕事は環境個別性が高い雑務や対話も多く自分の抽象化スキルでは発表や登壇に足りるまでまだまだ時間がかかりそうという力不足も感じます。

ということで、現職4年目ともなってコンフォートゾーンにいるかと言うと全然そんなことはなく、新しい挑戦の機会を次々といただけていることに感謝しかないです。しばらくはEMを軸に一角の人物になることを目指しつつ、SREチームの仕事には趣味で手を出していいとこどりでやっていきたいなと思っています。引き続きSREやPlatform Engineering、障害対応やEMの勉強会などに参加していきたいと思いますので、コミュニティでお会いすることがあれば仲良くしてください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?