アクチュアリー試験【会計解説】平成29年問題3(2)
棚卸資産は昔から粉飾決算でよく使われています。
論点によくあがるのが、損失の繰り延べ(先送り)となる場合ですね。
売れる見込みがない商品を、「いや、まだ売れる」と頑なに資産計上しているようなケースはよく見かけます。
棚卸資産が膨れ上がっている決算書を見たときは要注意ですね。
(2)は棚卸資産の評価に関する問題です。教科書P161に記述されています。ちなみに、評価というのは、簿価をいくらにするのかということです。
棚卸資産は何も問題がなければ、取得原価で評価します。しかし、損失の繰り延べを避けるためには、時価が下がった時には評価損をする必要があります。(低価基準)
この趣旨から考えて、(B)の「期末の正味売却価額が取得原価より上昇または下落している場合にかかわらず、正味売却価額をもって貸借対照表の計上額とする」が誤りだとわかります。
この正味売却価額は、次のように考えます。
(a) 売価から、追加的な製造原価の見積額および販売に要する直接経費の見積額を控除する
(b) 期末の売価が観察可能でなければ、期末前後の販売実績の価額を参照するなどした合理的な見積額
(c) 正味売却価額の推定が困難なものは、それに代えて処分見込価額や規則的に切下げた評価額
(d) 原材料のように再調達原価の方が把握しやすく、それが正味売却価額と連動すると想定される場合は、再調達原価
また、評価損を計上して簿価切下げを行ったその後の会計処理方法として次の2通りが考えられます。
★ 洗い替え方式
★ 切放し方式
これらは選択適用となっています。
ただし、(D)にある通り特別損失に計上した場合は、臨時・多額な場合が想定されるため、洗い替え方式は適用できません。
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