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アクチュアリー試験【会計解説】平成29年問題4(1)

問題4からはようやく計算問題となります。
とはいっても会計の計算は複雑なものはほとんどなく、どういった考え方によって処理(仕訳)しているかが理解できれば十分です。

教科書の設例の仕訳の意味が理解できること、そして、自分で仕訳ができるようになることを目指していきましょう。

(1)は満期保有目的の債券についての償却原価法(定額法)についての問題です。教科書ではP101の設例7となります。

解答に至るには、以下の二つの仕訳を考えれば十分です。

(借)未収有価証券利息 20,000 (貸)有価証券利息 20,000
(借)投資有価証券        15,000 (貸)有価証券利息 15,000

一つ目の仕訳は、2017年12月から2018年3月までの4か月分の利息を認識する仕訳です。
金額の計算は以下のように算出しています。

額面 1,500,000円 × 利子率 4% × 4ヶ月/12ヶ月 = 20,000円

2つ目の仕訳は、額面と取得原価の差額について貸借対照表価額に加算していく仕訳になります。

(額面 1,500,000円 - 取得価額 1,425,000円)× 1年/5年 = 15,000円

そして、①と②を合算して(H)35,000となります。


償却原価法とは、債券等をその額面金額と異なる価額で取得した場合に、その差額を償還期まで毎期一定の方法で、逐次、貸借対照表価額に加算または減算する方法をいいます。

なお、額面より安く取得したものを増額する場合をアキュムレーション、額面より高く取得したものを減額する場合をアモチゼーションとよんでいます。

償却原価法によって差額を調整する方法は次の2通りがあります。

利息法:実効利子率による複利計算を前提とした方法
定額法:毎期均等額ずつ差額を配分する方法

文章ではイメージが湧きにくいかと思いますので、設例などを使って確認しておきましょう。

出題の仕方について

私はこの問題4(1)に対しては出題文に少し問題があると考えています。

求めさせている「期末における有価証券利息」ということばが曖昧です。

問題文の流れから2つの仕訳を考え、そこに出てくる有価証券利息を合わせたものを意図しているのだと思います。
教科書の設例においてはこのような表現はされていないことからも、これは出題者の意図となります。

しかし、期中に利払いを受けていることから損益計算書に計上される有価証券利息は上記の合計とはなりません。
期末における有価証券利息」を損益計算書計上額と考えた受験生は、たとえ償却原価法を正しく理解していたとしても、正しい選択肢にたどり着けないこととなります。

この「期末における有価証券利息」という言葉は一般的に共通認識があるものではないため、出題者の意図忖度する必要があります。
会計の理論を問う試験であり、意図を読み取らせるような出題の仕方はやめてもらいたいですね。


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