アクチュアリー試験【会計解説】平成29年問題2(5)
ここでアクチュアリー試験の解説をしている理由ですが、前にも書いた気がします。アクチュアリーを目指す優秀な人たちが、高々25点分の会計で苦しんで欲しくないという気持ちからです。
ですので、アクチュアリー試験のKKTを受験する人にこの解説はなんとか届いて欲しいと思っています。
(5)は四半期財務諸表の開示です。教科書P322の図表12-17からの出題となっています。
四半期財務諸表では、貸借対照表および期首からの累計期間の損益計算書と包括利益計算書が開示されます。また、キャッシュ・フロー計算書も開示されますが、中間財務諸表の名残もあり、実務上の手間を勘案して、第1四半期と第3四半期は省略が可能となっています。
したがって、本問の答えは(G)ウのみ正しいとなります。
実務で携わっている人以外は、あまり知らないことではないでしょうか。本問については、制度がこのようになっていますとしか言いようがないのですが、利益とキャッシュ・フローでは当然に利益が重要視されることを考えれば、選択肢を狭めることができるかと思います。
四半期財務諸表に関連して整理しておくこととしては、1.四半期財務諸表の性質の2つの考え方と2.四半期特有の会計処理ですね。
1.四半期財務諸表の性質の2つの考え方
★ 実績主義
3か月間を年度と並ぶ独立の会計期間とみなし、正規の年度決算の場合と同じ会計処理を行うことにより、あくまで3か月間の経済活動の確定的な実績を表示すべきであるとする立場をいいます。
★ 予測主義
3か月間を1事業年度の構成部分とみなす考え方をいいます。
日本で採用されているのは実績主義となります。
2.四半期特有の会計処理
四半期報告書は、四半期末から45日以内に届け出でなければなりません。そのため迅速性が要求されます。
また、本決算ではないことからも一定の簡便な会計処理が許容されています。
税金費用の計算については過去に出題もされており、教科書P459の設例4を確認しておくとよいでしょう。実務においては(c)が選択されていることが多くなっています。
★原価差異の繰延処理
★税金費用の計算
(a) 年度決算と同様の方法
(b) 年間の見積り実効税率を用いた四半期特有の会計処理
(c) 重要性が乏しい連結会社においては、税引前四半期純利益に、前年度の損益計算書による税金負担率を乗じて計算することができる
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